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WiMAXは死なず

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by [2014年7月28日]

現在でこそ、モバイル機器における3G/LTE回線によるデータ通信の代替手段としておおむね認識されていますが、WiMAXは元々有線の固定回線設置が難しい地域で高速通信を実現する手段として、つまり俗に言う「ラスト・ワンマイル」問題の解決策として誕生した、という歴史的経緯があります。

地形的な理由などで有線の高速回線敷設が困難な地域で、大型アンテナなどの固定設備を用いて有線の回線に代わる無線高速回線を低コストで構築するというのが、元々のWiMAXの出発点だったのです。

一時はauからもスルーされたWiMAX

しかし、その後様々な事情からモバイルWiMAX、つまりこのWiMAX技術のモバイル通信への応用・転用が行われ、日本では2009年にKDDI傘下のUQコミュニケーションズによってモバイルWiMAXとしての商用サービスが開始され、以後Wi-Fiよりも広範囲な3G/LTE通信のオフロード先、つまり代替手段として普及してきました。

もっとも、近年のLTE通信の普及などからそれよりも通信速度で劣るWiMAXは人気が低下し、UQコミュニケーションズの親会社であり、一時は製品ラインナップの大半でWiMAXをサポートしていたKDDI、つまりauのスマートフォンでさえ2012年冬頃にはLTEへの対応が優先されほとんどの新製品がWiMAX非対応のモデルばかりになる(当時機種変更を行った筆者はauのショップでやたらWi-Fi契約を勧められた記憶があります)、という悲惨な状況を呈していました。

LTE技術の導入で復活

このように、一時は大変失礼ながら半ば鳴かず飛ばずの状況となっていたWiMAXですが、TD-LTEの技術を導入して高速化を実現したWiMAX2が制定され、UQコミュニケーションズでもWiMAX2+の名称で2013年10月末からこの高速通信サービスの提供が開始され、巻き返しが始まりました。

現段階でさえ各キャリアのLTE通信と充分競合しうるほど高速化された(※注1)上に、どこにでもアクセスポイントがあるとは限らないWi-Fiよりも使い勝手が良く、またUQコミュニケーションズの努力で低価格でのサービスが展開されていること、WiMAXでは速度は遅いものの現状でLTEのようにデータ通信量による速度制限が行われていないこと、それにauがスマートフォンの最新機種でWiMAX2+への対応を行ったことなどから、WiMAX2+はヘビーユーザーを中心に次第に普及が進みつつあります。

 ※注1:下り最大110Mbpsを実現。

WiMAX2+に対応した、モバイルルーター

そんなWiMAX2+ですが、auが提供する通常のスマートフォンタイプの対応端末の他に、auとUQコミュニケーションズの双方から対応モバイルルーターが提供されています。

2013年のWiMAX2+サービス開始時に用意されたのは中国のファーウェイ(華為技術有限公司:Huawei)製の「Wi-Fi WALKER WiMAX 2+ HWD14」(※以下、HWD14と略記)という機種でしたが、今年6月にはNECアクセステクニカ製「Wi-Fi WALKER WiMAX 2+ NAD11」(※以下、NAD11と略記)が発売され、今後HWD14の後継機種となるファーウェイ製「Wi-Fi WALKER WiMAX 2+ HWD15」(※以下HWD15と略記)の発売が予定されています。

長時間使用を重視したHWD15

HWD15はHWD14と同様にWAN側すなわちネットワークの上流に位置する、よりグローバルな側の通信ではWiMAX2+およびWiMAXに加え、auの4G LTE通信の3系統の通信方式とIEEE 802.11a/b/g/n(2.5GHzおよび5GHz対応)によるWi-Fi接続に対応しています。

一方LAN側、つまりネットワークの下流にあたるローカルなパソコンやスマートフォン、タブレットとの接続についてもIEEE 802.11/b/g/nによるWi-Fi接続を使用しており、同じWi-FiでもWANとLANで通信速度に差が付けられています。

また、バッテリー容量は3,000mAh、重量は140gで最大32GBまでのSDHCカード接続に対応し、設定操作のために、対角線長2.4インチのタッチパネル液晶を搭載、とここまでの仕様は既存のHWD14と全く同一です。

その一方で、HWD15はWiMAXハイパワー機能に対応してWiMAX接続時の送受信性能が向上したほか、通信アンテナの大型化と通信用パワーアンプの改良による送受信感度の向上および消費電力の低減、そしてこれに伴う連続通信時間の拡大(WiMAX2+:540分→650分)により額面上のスペックは同一でも使用時の実用性が大きく向上しています。

ちなみにHWD14でオプション提供されていたワイヤレス充電台はこのHWD15では廃止となり、代わりに専用クレードルがオプションで提供されています。これにより後述するNAD11と同様に、これと接続した場合にLAN側で高速な1000Base-T接続、つまりいわゆるGbE接続での有線LAN接続が可能となりました。

上流にあたるWiMAX2+での現在の通信速度上限が下りでも110Mbps、この機種で対応するLTE通信の速度が下りで最大75Mbpsですから、通信プロトコルのオーバーヘッドを考慮するとGbEに対応してもあまり大きな効果は期待できないのですが、自宅のデスクトップパソコンの有線LANポートとこのクレードルおよびACアダプタを接続して置いておけば、外出時にHWD15本体だけを持ち出して使用し、帰宅後HWD15本体をクレードルに載せるだけで、このHWD15経由で自宅のパソコンでも外出時のモバイル機器でも同様にWiMAX2+接続が利用可能となります。

もちろん、無線LAN機能を持たないデスクトップパソコンでもUSB接続の無線LANアダプタを挿せばWi-Fi接続でHWD15にアクセスできますが、わざわざそれなりに高価な無線LANアダプタを購入してまでして干渉に弱いWi-Fi接続を使用するよりは、今時のデスクトップパソコンならばほぼ当然のように標準搭載されているGbEポート経由でLANケーブルをつないで直に有線LAN接続した方がより簡単かつ安定した通信が期待できます。

このため、自宅でのパソコン使用時間が短い人の場合、インターネット接続をこのルーター利用を前提としてWiMAX2+接続に一本化した方が毎月の使用料金の観点で安くつく場合もあるでしょう。

外出時に長時間利用可能で他の機器を接続せずともスタンドアローンで接続設定を操作でき、しかもLTE通信にも対応し、重量がやや重いのは難点といえば難点ですが、それによる大容量バッテリーの搭載でスマートフォン等への給電も可能となるなど、ある意味万能機的な利用ができることがこのHWD15の持ち味ということになりそうです。

機能を局限しコンパクト化したNAD11

UQコミュニケーションズが採用したNAD11は、NECアクセステクニカ(※現・NECプラットフォームズ。2014年7月1日改組)が開発した、WAN側でWiMAX2+とWiMAX(ハイパワーモード対応)、それにWi-Fi接続に対応するモバイルルーターです。

恐らくは、利用者の使用実態がauのLTE接続に対応するスマートフォンとの併用となるケースが多かったことを反映したものと考えられますが、スマートフォン側に専用アプリをインストールしてリモート操作で設定することを前提に本体の設定用液晶タッチパネルディスプレイを省略(※最小限の動作モード表示を行う小型液晶ディスプレイは搭載しています)し、WAN側でのLTE通信の機能を切り捨て、さらに近年のスマートフォン側でバッテリーの大容量化が進んでいることを受けて外部給電の機能を省きバッテリー容量もある程度のレベルに抑えた結果、WiMAX2+接続時の連続通信時間が最大420分とHWD14やHWD15よりも短くなった代わりに、厚さ8.2mm、重量約81gとこの種のモバイルルーターとしては最小最軽量クラスの非常にコンパクトな本体サイズと重量が実現しています。

また、Wi-Fi接続で最新のIEEE 802.11acに対応し、より高速でのWi-Fi接続に対応しているのも見逃せません。このことからこのNAD11はHWD14/15よりも搭載するコントローラレベルで一世代以上新しいと考えられます。このあたりは、IEEE 802.11acについてドラフト段階から積極的に製品化を進めてきたNECアクセステクニカならではの構成と言えるでしょう。

ちなみにこちらの機種でも専用クレードル経由での有線LAN接続に対応しています。HWD15と比較すると使いどころが限定されますが、例えばより高速なIEEE 802.11ac接続対応のWi-Fiスポットでこの規格に直接対応しないが有線GbEポートは備えるノートパソコンを利用したい場合など、うまく使用状況に適合すればHWD15よりも高速な通信環境を得られる機種です。

auユーザー限定で提供される割引

そもそもUQコミュニケーションズがモバイルWiMAXサービスを実施するためにKDDIによって設立された、という歴史を考えれば当然の話なのですが、同社のWiMAX2+/WiMAXサービスではauのスマートフォンを利用していることを前提とした割引サービスが充実しています。

基本的な使用料金はau側が「WiMAX 2+ おトク割」、UQコミュニケーションズ側が「UQ Flat ツープラス」と称する割引プランの利用によっていずれも2年契約で月額3,696円(税抜)となっているのですが、ここから更にau側では「auスマートバリュー mine」、UQコミュニケーションズ側では「auスマホ割(2年/4年)ハート割」と称してauのスマートフォン契約を行っていることを前提条件とした割引プランがさらに用意されていて、これを適用した場合現状では月額934円(税抜)がauスマートフォンの毎月の利用料金から割り引かれるようになっています。

つまり、auのスマートフォンユーザーがこれらの割引を全部適用した場合、月額2,762円(税抜)、税込でも月額2,983円でWiMAX2+サービスが利用できるわけです。

ただし、これらの割引を適用した場合、WiMAX2+のハイスピードモード使用でかつLTEを併用しその月内のデータ通信量が7GBを超過するとLTE通信だけでなくWiMAX2+側でも速度規制が発動するという制約があります。

そのため、データ通信量の多い方はデータ授受の場合に遅くとも制限のないWiMAXにモードを切り替えるなどの対処が必要となるでしょう。

WiMAX2+のあした

WiMAX2+については、通信アンテナ本数を増やすMIMO技術の強化や、auのLTE通信で既に採用されているキャリアアグリゲーションの導入などにより、今後さらなる高速化が予定・計画されています。

こうなってくるとLTEとどう違うんだという話にもなってくるのですが、WiMAX2+は移動する列車内での利用に適するなど得意分野が微妙に異なるため、当面はこのまま併存が続くのでしょう。

ただ長時間利用を考慮すると、次の世代のモバイルルーターではNECアクセステクニカの最新鋭LTE対応機種であるMR03LNで採用されたように、ぜひLAN側でBluetooth接続をサポートして欲しいと思います。

▼参考リンク
WiMAX 2+対応Wi-Fi ルーター「Wi-Fi WALKER WiMAX 2+ NAD11」の発売について
「Wi-Fi WALKER WiMAX 2+ HWD15」の発売について
WiMAX 2+、WiMAX、4G LTE対応モバイルルーター「Wi-Fi WALKER WiMAX 2+ HWD15 (ワイファイ ウォーカー ワイマックス ツープラス エイチダブリュディ15)」の発売について
Wi-Fi WALKER WiMAX 2+ NAD11|UQ WiMAX|超高速モバイルインターネットWiMAX2+
Wi-Fi WALKER WiMAX 2+ HWD15|UQ WiMAX|超高速モバイルインターネットWiMAX 2+
Wi-Fi WALKER WiMAX 2+(ワイファイウォーカーワイマックスツープラス) HWD15 | データ通信端末 | au

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