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CNET Japan・TechCrunch Japan編集長から投資会社への転身 西田隆一氏インタビュー

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by [2014年7月29日]


雑誌「インターネットマガジン」、CNET Japan、TechCrunch Japanの編集長を歴任し、インターネット業界メディアの第一線で活躍し続けてきた西田隆一氏。
現在はインターネット業界にフォーカスしたベンチャーキャピタル「B Dash Ventures」に参加されています。メディアから投資会社への転身にはどんな思いがあったのでしょうか?
B Dash Venturesが主催するインターネット業界の招待制イベント「B Dash Camp 2014 Summer in Fukuoka」の閉会直後にインタビューさせて頂きました。

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ウェブメディア編集長から投資会社への転身

───西田さんはメディアの方というイメージが強かったのですが、どうしてVC(ベンチャーキャピタル)に転身されたのですか。

 僕自身、長い間メディアに携わり、インターネット業界の起業家に会ってきましたが、どこかで自分が取材する側よりも「やる側」に行くんだろうなとぼんやり考えていたんです。
 これまでいろんな人達と知り合って、スタートアップの人達を見てきたこともあり、自分で何か事業をやるというよりは、そういう人達を盛り上げていくという方が、自分が仕事としてやるには向いているなと思いました。今まで培ってきた人脈やイベントが活かせますし、友人の渡辺さん※が独立系のベンチャーファンドを立ち上げたというのもあって、投資する側になってみようと考えて転身しました。※渡辺洋行氏。B Dash Ventures代表取締役社長。

───B Dash Venturesが独自メディアを始める予定はありますか?

 アメリカでは独自にメディアを持っているような、あるいはブログを一生懸命書いているようなVCの方もたくさんいらっしゃいます。自分たちで情報発信していくというのもVCの競争力の1つなので、そこは改めて考えていかなければならないと思っています。ただ、私もまだTechCrunchの記事を書いたり編集会議に参加したりと良い関係が築けていますし、自分たちでメディアを立ち上げるかどうかというのは、はっきりしていません。
 そういう意味では、このB Dash Campにメディアとしての役割があるのかもしれません。今年は1回になりそうですが、(以降は)年2回のB Dash Campを軸に、プラスして何か細かいことができれば、我々としても情報発信し続けられる体制を作っていけるかなと思っています。

「B Dash Camp 2014 Summer in Fukuoka」で司会も務めていた西田氏

ビジネスにおけるネットワーキングの重要性

───今回、B Dash Campに初参加しましたが、招待制であることと、ネットワーキングの時間を長く取られていたのが印象的でした。今後もクローズドなイベント運営方針を続けていかれるのでしょうか。

 居心地の良い空間を作っていきたいので、我々の方からご招待した方、ご推薦頂いた方のみに参加して頂いています。
 しかし、我々の知らない、例えばスタートアップで今日ご登壇された有名な経営者の方に会ってみたいという方や、光るサービスをお持ちの方もいらっしゃいます。そういう方には、うまく門戸を開いて自分から推薦して入っていけるような仕組みを作っていきたいと思っています。

───B Dash Campは、大阪や福岡で開かれていますが、参加者は東京から来ている方が多いように感じました。

 日本の方だとほとんどが東京からいらっしゃっています。ただ我々としては、開催場所のスタートアップの方にもたくさん来ていただきたいと思っています。今回も福岡市のご協力もあり一部こちらからお声掛けして、地元からは十数社くらいが参加して下さいました。今後はより多くの地元の方に参加して頂けるような方法を考えていきます。

───これからも地方都市での開催にこだわりますか?

 海外の方にとっては、どこでやっても同じですし、むしろ東京でやってほしいという要望もあります。ただ、日本の方をお招きする時に、東京で開催してしまうと、長い時間を共有しづらい部分があります。
(今回のB Dash Campは2014年7月18日金曜日で終了なので)明日休みだから、もう1泊しますよね。そうしたら「今日は夜飲んで帰ろう」と、残った人達でコミュニケーションが生まれるじゃないですか。普段も東京で飲んではいるけれども、こうやって一堂に会していると、知らない人も呼んだりして関係性が築かれていくと思うんです。
 ビジネスって、ドライに物事が進むわけではなくて、人と人との間で触発されるものです。なるべく人が仲良くなることをやりたいと思っています。以前CNETをやっている時に「モバイルビジネスサミット」などのネットワーキングのイベントをやっていました。そういう場でビジネスが起きていることを目の当たりにしてきたので、招待制・泊まり・地方開催というところにこだわっています。

ベンチャーエコシステムの活性化を目指す

───他のベンチャーキャピタルでは、ビジョンや主張が打ち出されていることが多いのですが、B Dash Venturesのウェブサイトには非常に情報が少ないと感じました。これは意図的なものでしょうか。

 なぜ情報がないかというと、そこに注力してなかっただけです。本当は私が入ってから、メディアを作ってやっていこうという話はしていたんですが、イベントなどの本業のところに力を入れていて、少し疎かになっていたかもしれません。隠しているわけではないです。
 我々が投資としてどこを目指しているかというと、インターネット業界にフォーカスをしています。我々が長い間そこに携わってきたということもあるので、(投資対象としての)人やものを評価しやすいというのがあります。他には、eコマース、アドテクノロジー、そしてゲームです。これはビジネスとして大きく成長しやすいというのがあるので、そこに集中しています。あとはスマートフォン絡みのサービス、メディアにも投資し始めているという状況です。
 ビジョンとしては、大きな企業を作りたいということもあるんですが、我々としては、これまで培った人脈やノウハウを活かしたいろんな形でサポートできる手段を使って、どんな場面でも対応できるようなベンチャーキャピタルでありたいです。

───B Dash Venturesの特色は、メディアとネットワーキングのノウハウに強いことなのでしょうか。

 それは1つの側面です。我々としては、投資が主体のビジネスなので、まず投資で実績を上げることが重要です。今はおかげ様で、2年前に1号ファンドができているんですが、直近でいうと非常に良い成績を残しているベンチャーファンドになっています。こういうイベント(B Dash Camp)を皆さんにプラットフォームとして活用して頂けていますので、直結はしていないけれども、緩い関係性の中でファンドのパフォーマンスをうまく出せる仕組みができているんではないかと思います。(VCは)やはり人と人のビジネスなので、うまく投資先が成長できるきっかけを、B Dash Campでもらえているようです。
 競合のVCさんもいらっしゃっていますけど、皆さんにここをうまく活用して頂き、僕らだけの利益ではなくて、業界がよくなっていくようにとの思いで、このイベントを運営しています。自分たちの投資先のお披露目場というわけでもなく、むしろ今回はほとんどいないですし。まずは盛り上がればいいので、段階を踏んだ仕組みづくりが一番大事だと思っています。

───ありがとうございました。

メディアから金融と聞いて、当初はジャンルが全く違う転身のように感じました。しかし、インターネットベンチャー業界を活性化するという目的の前では、転身というよりも「手段の幅が広がった」ように思えます。インターネットメディアを熟知した西田氏が、良質なネットワーキングの場作りと投資によってベンチャー業界をどう盛り上げていくのか、今後の展開に期待です。

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