eye5

これからのインターネットは現実世界を変えていく【B Dash Camp 2014】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

by [2014年7月25日]


 B Dash Venturesの主催する「B Dash Camp 2014 Summer IN Fukuoka」が7月17日から18日まで開催されました。インターネット業界としては最大級の招待制イベントであるB Dash Campは今回で5回目。アジアを中心に15カ国から集まった500名を越える人々は、業界の第一線で活躍するスピーカーたちによるセッションに耳を傾けました。

モデレーターはアンブリア株式会社
代表取締役ファウンダー 久保田朋彦氏

 ここでは、「プレイステーション」の開発と事業化を指揮し、ソニー・コンピュータエンタテインメントの代表を務め、現在はサイバーアイ・エンタテインメントの代表取締役社長CEOを務める久夛良木(くたらぎ)健氏と、ガンホー・オンライン・エンターテイメント代表取締役会長・MOVIDA JAPAN代表取締役社長兼CEOの孫泰蔵氏による「これからのテクノロジー、これからのインターネット」をレポートします。

あらゆるモノがリアルタイムにネットに繋がる

───「これからのテクノロジー、これからのインターネット」という題目なんですが、どうなっていきますか?

久夛良木 今、ネットワークがどんどんリアルタイム化していますよね。GoogleやYahoo!での検索や株の取引システムはコンマ何秒単位でリアルタイムに行われています。プレイステーションなどのゲームでも、クライアントの中では全てリアルタイムで動いてレスポンスが返ってきます。20~30年前に夢だったことが、現実として起こりつつあるんです。
 プレイステーションを始めた時、携帯電話やiモードも無かったんですが、コンピュータとエンターテイメントを一緒にしたいと思っていたんです。PS2の次の世代向けにはネットワークに特化しなければと言っていたんですが、まだブロードバンドは無かったんですよね。そうやって、夢を持って数年後、十数年後の先に向かってみんなで仕掛けていくっていう感じは楽しかったですね。今はクラウドっていう形で実現されようとしているじゃないですか。次のネットワークはどうなるかっていうと、情報処理そのものがネットワーク側で出来るようになり、全てがリアルタイムになると思います。これは、プレイステーションを作っている場合じゃない、これからとんでもないことが起こせるな、と直感しています。みなさんなら、私の想像しているもの以上のものを実現してくれると思っています。

───今のは、リアルとサイバーが同時に繋がって、それがリアルタイムで融合して処理されていくというお話ですが、インターネットのあり方は、どうなっていきますか?

 日本のインターネットの歴史を振り返ってみると、インターネットが商用化された1995年、ブロードバンド化が進行した2002年、スティーブ・ジョブズがiPhoneを発表した2007年。
 2014年という年は、5年後、10年後に振り返ってみても、4番目のビッグウェーブが始まった年になると確信めいたものを持っています。それは、世の中的にいうとインターネット・オブ・シングスと呼ばれるものです。インターネットが出来てそれがモバイルネットワーク化してきて、今後はありとあらゆるものがネットワークに繋がってくる。そこにセンサーが入っていて、リアルタイムでその情報をセンシングして、それに対してフィードバックをユーザーに返していく。それが単に個別な事象ではなく、クラウド側でビッグデータとして処理されていくことで、社会インフラ全体として最適化されていく。そうしたパラダイムシフトが起こる時は、非連続的な思考をしなくてはならないと思っています。最近、モバイルのパラダイムの世界がやっと見えてきたという感じですが、僕としてはその成功体験を全部捨てて、インターネット・オブ・シングスの世界の考え方を今必死で身につけたいなと思っています。それで、スマホを使わないようにどうやって過ごそうかを考えています。

ユーザー体験の変革は加速していく

───今まで開発者側の話が多かったので、これからのインターネットによってユーザーの生活はどのように変わるかのお話を聞きたいと思います。

 僕にとって、インターネットは機会損失を無くしていくメディアなんです。というのも、僕自身が物心ついたときに見たものが、Yahoo!だったんですね。その頃はまだサーチエンジンという言葉もなくて、創業者のジェリー・ヤンはディレクトリサービスと呼んでいたんですけど(僕は)「何ですか、それ?」状態だったんです。その時に彼が「Yahoo!は、ニュートンの前にりんごを落とすようなサービスだ」と言ったんです。ニュートンの前にりんごが落ちたことで、万有引力の法則の着想を得たというエピソードがありますけど、もしニュートンの前にりんごが落ちてこなかったらどうなっていたと思う?と。恐らく、ニュートンはりんごの木を素通りして何も思いつかない。現代のサイエンスの基礎である物理学は大分遅れ、科学はこんなに発達していなくて、僕らはたぶんカゴで移動して、電気もなくてろうそくの明かりの元で過ごしていたかもしれないです。人類のありとあらゆる知恵・知識がネットワーク上でデジタル情報化しても、欲しい情報がその人の前に現れなければ存在しないのと同じで、未来のアインシュタインやニュートンのような発明・発見をするような人達が着想を得られないかもしれない。それは人類にとって、物凄い機会損失である。だから僕(ジェリー・ヤン)はその機会損失を無くしたいんだと。当時1995年だったんですけど、23歳の僕はすごいショックを受けました。

久夛良木 僕にとってインターネットは、妄想実現システムですね。SF小説で見たようなことが、スマホで普通に出来たりしている。スマホがファーストデバイスである今の子ども達から見ると、4年後、10年後にとんでもないことが起こせるんじゃないかと思っています。膨大なデータを我々だけでなく人工知能も見ることができるし、様々な人達とコミュニケーションできるので、10年かかったものが5年、5年かかったものが2年と、もっと先のことだと思っていたことが、あっという間に出来る時代がやってくると思うんです。
 この時代にいるってことは、人類の歴史の中ですごく幸せなことだと思っています。これから来るだろうと思っていたことを、我々は年々と体験しながら生きているんですよ。さらに、体験するだけでなくクリエイトして生きていくことが出来るんですよ。こんなことがやりたいと思ったら、何人か仲間を集めて世界の英知を集めて出来るんです。

 実は今年から、シリコンバレーのスタートアップベンチャーに投資しています。彼らがやろうとしているサービスは、ドローンを使ったeコマースなんです。モノを買うと地図が出てきて、倉庫みたいなところから今飛び立ちました、と出るんですよ。それからドローンは空を飛ぶので自分のところにまっすぐ来るんです。ドローンが自分のところに近づいてくると「サインをお願いします」とアプリに通知が来ます。サインをすると上から降りてきて(買ったモノを)渡してくれるんです。このドローンには、マリーン(海兵隊)の垂直戦闘機のエンジニアも絡んでいると聞いているのですが、SFでしか見たこと無い世界が目の前で繰り広げられていて、インターネットが、非常に現実世界に食い込んできているなと感じますね。

久夛良木 今までのネットは、過去のデータがたくさん集まってきている場所じゃないですか。それをサーチエンジンで探してくる。そこに広告を出稿すると言っても、結局はマス・マーケティングの中で繋げてくるという20世紀型のビジネスモデルですよね。それに対して、ネットはリアルとどんどん同期している。あるところまで行くと、本当にリアルなんですよね。
 孫さんが言った空飛ぶドローンなんかは、もうちょっと時間がかかるにしても、車の自動運転なんかはどんどん実験が進んでいて、それは今の地図を見ているんですが、それだけじゃなくて犬が道路を横切ったとかの脊髄反射系の出来事も、クライアントととしての車と情報システムとを統合的に扱おうとする実験ができたら、これはすごいことになりますよね。

 この間、Googleカーに乗せてもらったんですけど、Googleカーには上にレーザースキャナーが載っていて、1秒間に120万枚くらいスキャンしているとか。車の四隅にレーザーがついていて、もちろんGoogle Mapsを使って道路を通っているんですけど、同時にスキャンしたデータをリアルタイムで取って、Google Mapsに補正をかけながら走っているんですよね。

久夛良木 今まで我々は、パソコンとかゲーム機とかクライアント機器を手元に置いていたじゃないですか。でもそこには制限があったんですよね。値段とかデータベースの容量とか。ところが、それをクライアント側でリアルタイムで実現できるようになるとすると、そういった制限を突破してくれるので、今まで感覚的に無理だと思っていたことが実現できるようになるかもしれない。
 例えば、フォーミュラは優勝するためにものすごいお金をかけるんですよ。スーパーコンピュータを持ち込んだりして、300km走るフォーミュラカーに、センサーが200個以上埋め込まれていて、センサーがドライバーのハンドルだけでなく、各車体と地面の間に何mmの隙間があるかとか、リアルタイムで見ているんです。さらに、他のチームが過去にどのような走りをしたか、それぞれのベースキャンプがあるところを結んでリアルタイムでやりとりをしているんですよ。こういったことを、広範囲で使えるようになるんじゃないかと思っています。エンジニアからしたらとんでもない話ですよね、振動計でどこに共振周波数があって、それを制御するにはどういうコンピュータがいるかなんて考えると、とても家庭用には実現出来ないけれど、ミリタリーとかセキュリティとかミッション・クリティカルな分野では実現しているんです。
 数年前のSF映画『イーグル・アイ』に出てくる世界は、信号や車がすべてネットワークに繋がっているんです。そのコンピュータは、ビジュアルとしては並列になっていて、そこで何をするかというと、主人公が車に乗って逃げているんですが、追ってくる車が主人公の車に対して、信号を両方とも青にするんです。衝突させて逃走を阻止しようとするんですが、主人公なので逃げ回るんですね。最後に、センサーが無いようなだだっ広い場所に出るんです。ただ、追っかけてきた車の上に送電線があって、AIが送電線に負荷をかけて送電線を焼ききってしまうんです。そして落ちてきた送電線で、焼け死んでしまうんです。こうしたことも、今だったらやるかやらないかは別として、実現可能ですよね。近い将来、どこかで歯止めをかけなければならないようなことがあるかもしれません。

スケールの大きな発想とロマンが大事

───Pepper※に関してどう思います?
※ペッパー。ソフトバンクが開発した、世界初の感情認識パーソナルロボット。

久夛良木 あれを19万8,000円で出してしまうのもすごいと思ったんですが、孫正義さん(ソフトバンクグループ代表)がやることは、結局クラウドに繋がるんだなと思いました。今はあのような姿をしていますが、ネットワークに繋がる癒し系の話し相手とかはとんでもなく楽しいんじゃないかなと思います。

 もうちょっと付加価値つけないと、まずいなと思いました。でもあれには、孫正義のやりたいことを表現しているなと思うんですよね。「情報革命で人々を幸せに」というのがソフトバンクのキャッチコピーなんで、やっぱり感情を認識して、究極的には人間らしい感情や愛を感じたり与えたりできるような癒し系ロボットくんにしたいんだと言っています。非常に難しいテーマですよね。

久夛良木 日本の人口減少に対して、ロボットを投入すればいいみたいな話もありますが、どうですか?

 彼は、3000万台のロボットが24時間働けば、1日8時間労働の人間に換算するとで3倍だから1億人分になるという計算をしていましたね。本当にクレイジーなんですけれど、やっぱりクレイジーなビジョンから物事は変わっていくんですよね。そういう発想にかなりのツッコミがあるというのは、彼もよくわかっているんです。でも、わかりながらあえてセンセーショナルな言い方を選んで、表現しているというのが彼なりのユーモアであり、真剣に思っているというところもあるのかなと思いますね。

久夛良木 私も孫さんのことを存じ上げていて、尊敬する部分がいくつもあるんですが、やっぱりロマンチストですよね。人間ってロマンが大事ですよね。ちょっとかっこ悪いなとも思うんですが、それが突き動かすってことがあるじゃないですか。目先のことよりも、もっと夢をみんなで語って同時にやってみようよと思いますね。否定的になったり、自分を納得させることで終わらせるんではなくて、本気になってやる。そうすると、何かが起きますよ。

 僕の兄(孫正義氏)や久夛良木さんの世代の方が、ものすごい大きいビジョンや夢を持っていて、それを実際に実現されているんですよね。目先のスタートアップを立ち上げていくことも大事なんですけど、せっかくITというイノベーションが起こるホットな時代にいるので、僕らももっとスケールの大きなものを考えだす、世の中を変えるということをやるべきだなと思いますね。

───久夛良木さんは、どういった大志を持ってプレイステーションを始められたのですか。

久夛良木 私の場合は、大体15年くらいでプロダクトを考えるのですが、プレイステーションのときは(5年単位で)1、2、3まで構想していました。1年、2年だとどうしても中長期的計画みたいになってしまうんですけど、5年だとこれくらいは出来るよね、と言ったときに否定するのは難しい。
 今でも、15年先の2030年のことを考えるとワクワクしますよね。私が好きな未来学者の1人にレイ・カーツワイルさんがいて、彼は、今まで起こったことを全部プロットすると、そのペースが続くならこの頃にこんなことが起こるという、いろいろなレポートを書いているんです。元々の研究領域は人工知能なんですが、2029年に1,000ドルで買えるコンピュータシステムが人間1人分の知識と思考能力を持つと言っているんですよ。今までに起こったことを10年のベースで予測しているんですが、全部ログが直線上に乗っているんですよ。昔は1,000ドルで、手元にあるパソコンがこれだけの能力を持つなんて、すごいよねと感じていたと思うんですが、今だとデータセンターやFacebookなどのクラウドはもっと膨大なシステムで出来上がっているわけだから、時間が加速できるわけです。それをベースに今GoogleやFacebookが、ロボットの会社や、人工知能だけでなくヒューマンインタフェースを搭載したドローンなど、様々なテクノロジーをどんどん買収しています。これは、彼らが、カーツワイルさん言ったことを2029年ではなく、もっと早い時期に実現したいんじゃないかと予測できます。

───孫さんからみて、スケールが大きいなと思う人はどなたですか?

 Googleと、テスラモーターズのイーロン・マスクさん、あとスケールの大きさでいうとダントツでアリババのジャック・マーさんですね。アリババはもうすぐIPOすると言われていますけど、そうすると時価総額で20兆円くらいになりそうだと。10%くらいはIPOのときに売りだして、2兆円くらい調達しようとしているそうなんですね。中国はEC大国で、実はアメリカよりもEC化率がすごいんですよ。全コマースに占めるeコマースの割合は、アメリカがAmazonを入れてもたった7%くらい、それに対して中国は半分くらいあるらしいんです。
 それだけeコマースが発達している中国なんですけど、ロジスティクス(物流)という点でいうと遅配が起きたりしています。ジャックさんは、これを変えたいと思っていて、新疆ウイグル自治区から北京まで、必ず24時間以内に届くような物流ネットワークを作るためにどうしたらいいか、真剣に研究していらっしゃるんです。中国には6大物流会社があり、それぞれがトラックドライバーを100万人くらいずつ抱えています。
 ジャックさんは、それぞれの会社が物流ネットワークを作ることを無駄と考え、中国全土の物流ネットワークを最適化したんです。全国に20箇所位のターミナルを用意し、そこに飛行場や高速鉄道、高速道路を作って、そこをハブにしたローカル配送のネットワークインフラをアリババが6大物流会社と共に全部自前で作ると。そして「君たちは、これに合わせなさい、合わせないなら取引しません」と言って、重複しているドライバーを再分配したんです。国家レベルのインフラ整備を、1企業がやるという、ジャックさんってとてつもないなと思うんですよね。壮大な構想がまだまだあるというジャックさんは、学生時代には学生運動で20万人を束ねたリーダーだったらしいんですよ。何十年に1人という、三国志でいう曹操みたいな人なのかもしれないと思いました。

好奇心と長期的なビジョンを

───日本の産業がダメになっている1つの象徴に、ソニーが挙げられると思います。立て直してくれと言われた場合どうしますか。

久夛良木 企業は、創業者達の思いと熱意がベンチャーという形になって作られていくと思うんですよ。ソニーの場合、井深さんと盛田さんの思いがあって、六十数年前に作られてこれまで色々なことをやってきたわけじゃないですか。それを引き継いでいくっていうのは、ソニーに限らず面白くないと思うんです。やりたいことがあるんだったら、自分たちでベンチャーを起こしてスタートアップの企業を起こして、そこでやればいいと思うんです。例えば、GoogleにしたってFacebookにしたって、20年前にはなかったじゃないですか。彼らはやりたいことがあって、自分たちで会社を作るわけです。Googleで30年くらい働き続けましたっていうと、それはそれで大変なことだとは思うけれども、やっぱりワクワクしないですよね。
 やりたいことがあったらどんどん飛び出していく。例えば、先ほどのイーロン・マスクなんてやりたいことだらけなんですよね。しかも彼はロマンチストで、自分ではやらないけどなんて言いながら、サンフランシスコからロサンゼルスまでの超特急列車を走らせるとか。ああいう人たちが(日本にも)出てきて欲しいなって思っているんです。だから、愛があるとかないとかではなくてソニーにどうこう言うのやめましょう(笑)。

 久夛良木さんは、クリエイターでありイノベーターなので、立て直すっていう発想自体がマイナスからのスタートですよね。せっかくすごいパラダイムシフトが起こっていて、まさしくITがもたらす社会を変革する要素技術がやっときて、これからは考えついたありとあらゆることが実現できるカンブリア爆発みたいなタイミングで、今までのことをどう立て直すかっていうことはそれだけで発想に制約がかかってしまっている。それで社長をやれって言われても面白くないよね、というかやりたくないですね。

久夛良木 今も起きていますけど、多様性の爆発はこれからも起き続けると思います。例えば、コンピュータや半導体が生まれてまだ50年、60年じゃないですか。人類の歴史において、そんな短い間にこれだけのことが起こったんです。実は、これは次に行く準備期間をみんなでやっていたんじゃないかと思うんですよ。これから起こることは、カンブリア爆発というよりもルネッサンスだと思うんです。ついこの間まではソニーも含めて中世だったんですよね。中世の世界の中でこんなもんだって言って留まっていたんだけど、ルネッサンスを仕掛けようとしている人は、今世界中にいて、シリコンバレーだけじゃなくて中国だったりインドだったり。だからみなさんも、中世にいないで、早く飛び出ていってほしいと思います。

───みなさんにメッセージをお願いします。

 日々の活動っていうのは、基礎を作る上ですごく大事ですけど、だからといってそれに忙殺されているのは本当に良くないなと思いました。兄がよく言っていたんですけど、航海をしていたとして、目の前に襲いかかってくる波を避けないと転覆するんだけど、あそこに到達してみせるって遠くの一点を見ると、細かいノイズのような波は何も見えないので、見据える視点があれば絶対にブレないんだ、という話を思い出しました。みなさんも是非実践しましょうね。

久夛良木 好奇心って一番大切だと思うんです。好奇心を失うってことは、死に近づいているってことだと思うし、好奇心旺盛だとそれだけコミュニケーションがとれる。日々仕事をしたりしている中で、好奇心をもっていろいろなものを吸収して、自分がどう考えるかっていうことを思い続けてほしいんです。
 一番怖いのは、人工知能は好奇心の塊だってことなんですよ。マシンが、ビッグデータやリアルタイムのデータ、我々がどんなことを考えて何をしているかっていうことまで見て、学習するんですよ。彼らの好奇心が人間を超えてしまったらまずいじゃないですか。だから、やんちゃしましょう。人工知能っていうのは、やんちゃな相手とか予測不能な相手にすごく弱いので。
 最近みんなちょっといい子になりすぎだよね。失敗するのが怖いとか言うけど、能力がある人がやらない、一歩を踏みださないっていうのが一番よくないと思うんです。やっちゃったほうがいいし、失敗しても気持ちが良いんですよ。どうせやるなら大きな失敗をなるべく早くにするといいです。みなさんの中から、次のジェリー・ヤンさんとかジャック・マーさんみたいな人が出てくることを期待しています。

 インターネットの歴史から始まる、大局的な視野に立った対談でした。あらゆる事象がセンシングされてデジタル情報となりネットワークに繋がる未来が見えてきた今、現実とインターネットに境界を設けて考えることが無意味になりつつあります。eコマースがロジスティクス・インフラの分野に進出するなど、民間が国家レベルの資本と視野を得ている事例も出てきました。久夛良木氏によると、数十年という短期間で起きたこれまでの技術的躍進も、これからへの「準備期間」ではないかとのこと。危険性を孕みながらも技術革新が加速するこの時代をどう受け止めるかは、好奇心の多寡にかかっているのではないでしょうか。

コメントは受け付けていません。

PageTopへ