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We are the Worldをスマホで実現したい『nana』CEO文原氏インタビュー

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by [2014年7月10日]

スマホ一つで世界中の人と気軽にセッションができる音楽SNSアプリ、『nana』。
このアプリの特徴は、ハードルを感じることのない直感的で分かりやすいインターフェースで、それこそ鼻歌でも気軽に投稿できるところだ。
App Storeの音楽アプリ部門で一位にもなったこのアプリを作った、株式会社nana-musicの創業者・文原明臣氏にnanaのこれまでとこれからについて聞いてみた。

nana-music Founder/CEO 文原明臣氏

文原明臣氏 1985年10月31日生まれ。28歳。兵庫県神戸市出身。2006年神戸高専機械工学科卒業。学生時代に独学で歌を学び、敬愛するスティーヴィー・ワンダーを目標にシンガーを目指す。卒業後は歌とは遠く離れた別の道を歩むも、音楽への想いは尽きることなく、より良い音楽の在り方を求めて2011年にnanaを創業。

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We are the World for Haitiがきっかけ

nanaを創ろうと思った直接のきっかけは、2010年に起こったハイチ沖地震へのチャリティとして企画された「We are the World for Haiti」のYouTube映像を見て感銘を受けたことです。
ちょうどその頃、自分はiPhoneを買ったばかりで、iPhoneの未来感にわくわくしていた時期でした。
iPhone1つであらゆるものにつながれる、という期待を抱いていたときに、57人のアーティストがWe are the Worldを歌っているのを見て「iPhoneがマイクになればWe are the Worldと同じことを実現できるのではないか」と考えたのです。

名前の由来はハミング

nanaという名前は、ハミングの音を表しています。
また、世界展開した後のことを考えて、日本の女性に多い“なな”という名前を使うことで「日本発のアプリなんだ」というアイデンティティを持たせています。
初めは、ハミングの音から「lala」という名前を考えていたのですが、既にアップルが商標登録していたので、考え直したという経緯があります。

ハードルを感じさせない直感的なアプリを目指して

音楽に限らず、どんな表現においても「フィーリングを体現する」ためのツールはなるべく直感的であるべきです。
究極的には、自分が使っているツールを意識せずに表現できることが理想だと思うのですが、その点において今のデジタル音声処理ソフトはハードルが高いです。
例えば、DTM※のツールはボタンやつまみがたくさんあって、DTMを無意識に使いこなして表現できるようになるには訓練が必要です。※デスクトップミュージック。コンピュータを中心にした音楽制作全般を指す。
そのため、nanaを設計する上では「直感的で誰にとっても使いやすい」という点を何よりも重視しました。
例えば今後、エフェクト機能にフォルマント(男声~女声)を導入したいと考えているのですが、その際も色々なパラメータを設定してカスタマイズできるような機能ではなく「男声」「女声」のように選択するだけで簡単に使えるものを目指します。
エフェクトに精通している人には不便かもしれないですが、そうであっても「経験の無い初心者にとっても直感的で使いやすい」という部分は失いたくありません。
鼻歌感覚で歌ったものでも誰かに聴いてもらえて、コラボも気軽にできる、そういうものを提供したいんです。

録音ボタンをタップすれば録音開始

エフェクトはプリセットから選べばOK

アカペラアーティストに使われることを想定していた

元々想定していたメインユーザーはアカペラアーティストでしたが、実際は十代の女性を中心にしたカラオケ好きがメインになっています。
ニコニコ動画のボーカロイドや歌ってみたが大好きで、自分もスマホ一つで手軽に歌い手になれる、というのが魅力だったのだと思います。

その他には、ギターなどで演奏した伴奏を投稿するユーザーも根強いです。
自分の投稿した伴奏に「ありがとうございます。使わせて頂きます」というコメントが付いて、実際にボーカル付の投稿があがるのはすごく嬉しいことです。
初期のnanaでは、インプットの音量を調節できなかったので、音割れを防ぐためにバスタオルで包んだドラムを演奏している投稿などもあって印象的でした。

nanaの音源は、アプリ以外にWebプレイヤーからも聴くことができるのですが、アプリを使っている人とWebプレイヤーから音源を聴いている人の人数は同じくらいです。

大喜利のような想定外の使い方も流行に

使い方として面白いと感じたのは“五十問五十答”というものですね。
女の子がリズムに合わせて、回答をするスペースを空けながら五十問を読み上げていくだけの音源がすごく再生されているんです。
この音源を使って、女子中高生が自己紹介代わりに五十問に回答していくというのが流行っていて、こういう大喜利を前提とした使い方は想定していませんでした。

海外と日本の違い

海外でもnanaのアプリは配信していて、現在のユーザー数の半分くらいが海外のユーザーです。
日本のユーザーと海外のユーザーを比較してみると、コミュニケーションの仕方が全然違って面白いです。

日本のユーザーの場合は、誰かの伴奏に対して「伴奏お借りしました。ありがとうございます」とコメントするように、自分の作品に対しても謙遜するんですね。
「あんまり上手じゃないですけど、良かったら聴いてください」というコメントと共に投稿されたすごく上手な作品もたくさんあります。
その一方で、海外の人たちは「自分の歌は最高だからみんな聴いてよ!」というような投稿が多く、自分のYouTubeチャンネルの宣伝をしている人も多いです。
また、海外ではまだ楽器伴奏の投稿が少なくアカペラの投稿がメインである点も日本と違います。

伴奏を演奏できる人はnanaで人気が出やすい

nanaに投稿するユーザーの中では、歌い手よりも楽器を演奏するユーザーの方がまだまだ少ないです。なので、伴奏を投稿すると歌い手の人たちにコラボしてもらいやすくなり、再生数が伸びやすいですね。
LINEやTwitterのアカウントを公開して、リクエストされた音源の伴奏を投稿するユーザーも最近は出てきはじめました。

歌い手の場合は、nanaの中でフォロワーを増やしていってから人気になる人が多いです。
他の人の作品を聴いて拍手やコメントを送ったり、自らコラボをしにいったり、nana内でのコミュニケーションの結果フォロワーが増えていって、気付いたら再生数が増えている、というパターンが多いですね。
歌い手の方が人気になるためには、色んな作品に片っ端から拍手を送るということではなく、誠実にコミュニケーションをとることが重要です。

リアルイベント『nanaフェス』の大成功

今年の1月に、初めてのリアルライブイベント『nanaフェス』を開催しました。
約120名がこのイベントに集まり、ツイキャスの生放送では1万ビューを獲得し、大成功に終わりました。
今でも「nanaフェスがすごく楽しかった」「またやらないかなぁ」といった書き込みを見かけるのが嬉しいです。
ただ「東京以外でもやって欲しい」というような要望もあるので、そういう声には応えていきたいと思っています。
nanaフェス以外にも、去年8月に開催したnana公式のオフ会を今年もやる予定です。

スマホで気軽に世界中の人とコラボできるのがnanaですが、そこで一緒に音楽をやった人たちが実際に現実で出会うことには凄く意義があると思っています。
やはり重ね録りよりも、その場で一緒に音楽をやる方が一体感や共創感を感じられるので、nanaで出会った人たちを現実で引き合わせるリアルイベントはこれからも開催していきたいです。
特にnanaフェスは「私もnanaフェスに招かれてステージで歌いたい!」という皆の目標になる場にもしていきたいと思っています。

最終的にnanaは楽器に

nanaの今後の展開としては、APIを公開して、例えばギターアプリやDTMのソフトから取ってきた音をそのままnanaに投稿できるような仕組みも考えています。
その他にも、JOYSOUND等のカラオケとの連携ももっとしていきたいと思っています。

ただ、nanaの目標はビジネスとしての成功ではなく、音楽コラボの障壁を失くすことなので、無闇なマネタイズは今後もしないつもりです。
ただ、より良い音楽コラボの場を提供するために、ユーザー目線を意識したマネタイズについては検討しています。例えば、プレミアム会員のようなものです。

さらに、かなり先の話になると思うのですが、nanaを土台にしたハードウェアを出すことも構想しています。
これは、nanaを最高の音楽アプリや音楽SNSではなく、新しい楽器として進化させたいという私たちの目標からすると自然なアイディアです。
音楽の進化と共に楽器も進化してきたので、ネットで音を公開することが前提となっている新しい楽器があってもいいんじゃないかと考えています。
まずは、nanaアプリをもっとたくさんの方に使って頂いてから、ということになります。ご期待ください。

いかがだっただろうか? 機能が複雑でハードルがあがってしまった現代のDTMに対し、直感的で使いやすいことを何よりも優先しているnanaは、成熟しきったと思われていた音楽業界に新たな風を吹き込んでいる。文原氏が語ってくれたnanaの理想が現実になったとき、“メンバー募集”“パソコンの操作”といった音楽以外のことに煩わされずに、純粋に音楽だけを楽しむことができるだろう。

nana music | 世界と歌おう

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