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安全と監視、街灯センサにみる都市の未来

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by [2014年7月02日]

シカゴ市に設置される予定の特殊な街灯センサ。空気の状態、気温、騒音、降雨量、光度、歩行者の数などといった膨大なデータを収集することを目的としており、収集されたデータは、例えば、安全で快適な都市をつくるための都市計画を考えるときなどに使用される。歩行者の数は携帯端末を感知して調べるとのことで、市民の一部にはプライバシーの侵害が懸念されている。シカゴ大学とアルゴンヌ国立研究所の共同プロジェクトのもとセンサの設置が行われ、設置規模は、まず7月の中旬にミシガン通りの8つの交差点に、年内までにビジネス中心街のループへと順次範囲を拡大していく見込みだ。

データ収集の問題

 今回のシカゴで試みられるセンサからのデータ収集は、今後の都市の新しいあり方を提示するものとなるだろう。例えば、最近よく聞くスマートシティもそのうちのひとつである。スマートシティは情報通信技術を利用しながら、環境にも配慮し、高度なインフラを構築する都市のことだ。日本のスマートシティへの動きとしては、阪神淡路大震災、東日本大震災と二十年の間に二つも大型の都市型災害が起きたこともあり、過密な住宅地、建造物の耐震性、防災インフラなどへの関心が高まっていることや、あるいは化石燃料の枯渇や世界的な環境意識の高まりといった背景がある。ただ、こうしたスマートシティは、シカゴの街灯センサでも同じことが懸念されているのだが、省エネや効率的なインフラを実現するためのデータ収集において、匿名性が保障されるかどうか一般市民にはわからず、プライバシーがどこまで守られるのかという問題を抱えている。もちろんインターネットでの「炎上」のように「仮想空間」で匿名性が保障されていない例はいくつもあるが、それでも都市という「現実空間」において特定され、そして管理されることはまったく次元が違うものである。仮想空間は特定されないように行動を慎重にするというように自身の心構えに拠るところがあるが、携帯電話やパソコンなどを扱わざるを得ない現実空間では端末や機器に個人を特定するためのシステムが組み込まれていたら、特定を回避することは非常に難しくなるなど物質的な面での制約を加えられているからだ。
 このような事態を防ぐために、行政や企業は、市民の声を反映した適切なデータ収集を心がけるべきだ。そうすれば市民の方からも、住みやすい、暮らしやすい都市を切望し、データ収集にも協力するようになることだろう。

シカゴ・トリビューン紙
ギズモード・ジャパン

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