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東京の地下鉄で「艦これ」は遊べる? ~地下鉄通信事情2014初夏~

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by [2014年6月11日]

5月中旬、筆者が所用で新橋まで出かけ、都営地下鉄浅草線を利用した際のことです。

『艦隊これくしょん ~艦これ』通信エラー画面
艦これをプレイする提督たちにとって最大最悪の敵。2014年6月初頭現在、地下鉄線内でこのゲームを遊ぶと結構な高頻度で彼女の姿を拝む羽目に陥ることになる。

帰路にふと「地下鉄線内でスマホで『艦これ』を遊んだらどんな感じなんだろうか」と思い立ち、愛用のスマホ(HTC J butterfly(au))でFireFoxを起動し『艦これ』のサーバにログインしてみると(※このあたりの手順はこちらの記事をご参照下さい。なお、その後の定期サーバーメンテナンスで文字表示の欠落や応答が改善されています)、応答が部屋でWi-Fi接続した際と比較して一目でわかるほど激烈に遅く、それどころか駅に停車する度に通信がLTEから3Gに切り替わって通信エラーが出るなど、新橋から浅草橋に到着するまでの短時間ですら、およそ遊べるような状況ではありませんでした。

都営・東京メトロ共に全線全駅での携帯電話・スマートフォン利用が可能となったことが宣言されて久しいのですが、こと通信品質という観点では、どうやら未だ万全とは言いがたいようです。

そこで今回は、東京を中心とする地下鉄の通信事情について考えてみたいと思います。

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都内では全線全駅で利用可能となったものの…

猪瀬前都知事が副知事だった2011年にソフトバンクグループ代表の孫正義氏が直談判して整備が本格化した、都内の地下鉄線内での携帯電話・スマートフォン利用ですが、通信・通話そのものは2013年3月27日の都営地下鉄大江戸線落合南長崎駅~光が丘駅間の整備完了をもって一応全線での利用が可能となっています(※例外的に、連絡線工事を実施中の東京メトロ有楽町線・副都心線小竹向原駅~千川駅間については、工事完了予定の2016年度に利用可能となる予定です)。

実際、都内の地下鉄のどの路線に乗っても、一応は通信・通話が可能な状態が保たれていることが確認できます。

しかし、実際に車内でアンテナの受信状況をチェックしてみると、新宿線のように全線でLTE通信が可能な路線と、駅に停車する前後になる度にLTE通信が途切れて3G通信に切り替わってしまう区間の多い浅草線のような路線の2つに分かれることに気づきます。

つまり、確かに全線全駅での通信そのものは可能となっているのですが、現時点では路線ごとの通信品質にはまだ大きな格差が存在しているのです。

何が原因なのか

こうした通信品質の格差が生じる原因、それは当然ながら地上施設側の問題です。

移動通信基盤整備協会のサイトで公開されている地下鉄駅・地下鉄トンネルの移動用中継施設概念図
各社の基地局からの電波信号を光変換して搬送、LCXやアンテナを介して端末と通信する。

現在の地下鉄施設内での携帯電話・スマートフォンの通信は、キャリア各社が個別に基地局を設置してきた駅部と、公益社団法人移動通信基盤整備協会が整備主体となって光伝送装置および漏洩同軸ケーブル(Leaky Coaxial cable:LCX)の整備を進めている駅間部に大別できます。

駅部については、2004年の時点で既にほぼ全駅で3G通信が可能となっていたことでも明らかなように、早い時期から基地局設置が進んでいました。

その結果、地下鉄全線全駅での通信可能化にあたっては、移動通信基盤整備協会は駅間のトンネル部への漏洩同軸ケーブル敷設により通信不能区間を解消することを優先したため、先行設置で古い3G通信のみに対応する機器が設置された駅部(※東京の地下鉄は最新の副都心線でもLTE通信サービス開始前の2008年開業となります)と、最新のLTE通信対応基地局が新設された駅間トンネル部で、通信速度に格差が生じることになってしまったのです。

また、駅部でLTE対応を謳う場合でも、実際には駅間のLCXからの漏洩電波が届く範囲に依存して、十分なアンテナ整備を行っていないケースがある由で、そうした駅では場所によりLTE通信どころか3G通信でさえつながったりつながらなかったりすることになります。

NTTドコモが公開している地下鉄駅・駅間の携帯電話対応状況
整備が進んでいる都営地下鉄浅草線でさえ、相互乗り入れ区間の駅の一部でLTE対応が完了していない。

このあたり、auとソフトバンクモバイルのサイトで公表されている対応状況一覧では全線全駅でのLTE通信利用可能を謳っているのに対し、NTTドコモは後述するように割と正直にLTE通信が行えない/満足に利用できない駅を公表しており、対応が分かれています。

全線全駅間のLCX敷設完了後、移動通信基盤整備協会は駅部への光伝送装置およびアンテナ設置を進めているため、2014年夏中には現状で利用不能駅の存在を公表しているNTTドコモでも東京の地下鉄全駅にてLTE通信が利用可能となる予定ですが、少なくとも同社の公表している一覧を信用する限り、6月の現時点ではまだかなりの数の駅で3G通信のみ対応のままとなっています。

ちなみにNTTドコモがLTE通信利用不可としている駅を確認してみると、ほぼ例外なくWi-Fiの利用は可能(※3G通信のみ対応なのは目黒駅くらいのものです)としていて、過去の講演での担当者の発言も合わせて考えると、同社としては混雑する駅部ではLTEではなくWi-Fiへオフロードをして利用して欲しい、という明確な意図(※NTTドコモの場合、駅間ではWi-Fiは利用できません)が見え隠れしています。

ちなみに、NTTドコモの一覧で全国の地下鉄を見ると、小断面で工事の難しい京都市営地下鉄東西線および神戸市営地下鉄海岸線全線の駅間と、山岳トンネル区間でやはり工事の難しい神戸市営地下鉄山手線新神戸駅~妙法寺駅間の駅間(※これらの3線の駅部では3G・LTE通信可能です)で未整備となっている以外は、各社局とも全線全駅で3G・LTE通信可能となっています。

つまり、3G通信の時代に通信設備の整備で全国に先駆けた東京の地下鉄が、先行したがゆえに整備開始後にサービス開始したLTE通信への対応で後手に回っている状況が明らかになっています。

どこの駅がまだ3G通信なのか

それでは、2014年6月初頭の現時点で、都内の地下鉄のどの駅がLTE通信非対応なのでしょうか?

au・ソフトバンクの2社については全線全駅でのLTE通信可能を謳っていますが、冒頭にも記したとおり、少なくとも筆者が5月中旬にauの端末で浅草線内の一部区間で試した範囲では、駅に着く度に通信が3G通信に切り替わっており、それどころか通信が完全に途絶することすらありました。

そしてその状況、つまりLTE非対応かそれに近い状況にあった駅は、NTTドコモの一覧に記載されているものとほぼ一致しています。

あるいは、受信性能の良い端末ならば話は違う可能性もありますし、Wi-Fi契約を行っていればこんなことにならなかった可能性も当然あるのですが、この手の通信品質については最悪値で考えた方が安全なため、ここでは一番条件の悪いNTTドコモの発表を基準にして見てみることにしましょう。

NTTドコモの発表している東京メトロ・都営地下鉄でLTE通信非対応の地下鉄駅は以下の通りです。

東京メトロ

    銀座線:

  1. 渋谷と赤坂見附を除く全駅
  2. ※全駅とも2014年夏対応予定
    丸ノ内線(方南町支線を含む):

  1. 四谷三丁目・四ツ谷・赤坂見附を除く全駅
  2. ※全駅とも2014年夏対応予定
    日比谷線:

  1. 中目黒・南千住・北千住を除く全駅
  2. ※全駅とも2014年夏対応予定
    東西線:

  1. 中野・西葛西以東を除く全駅
  2. ※全駅とも2014年夏対応予定
    千代田線(北綾瀬支線を含む):

  1. 代々木上原・綾瀬・北綾瀬を除く全駅
  2. ※全駅とも2014年夏対応予定
    有楽町線:

  1. 和光市・永田町・新木場を除く全駅
  2. ※全駅とも2014年夏対応予定
    半蔵門線:

  1. 永田町を除く全駅
  2. ※全駅とも2014年夏対応予定
    南北線:

  1. 永田町・四ツ谷を除く全駅
  2. ※全駅とも2014年夏対応予定
    副都心線:

  1. 全駅
  2. ※全駅とも2014年夏対応予定

都営地下鉄

    浅草線:

  1. 泉岳寺~人形町間の各駅
  2. ※全駅とも2014年7月対応予定
    三田線:

  1. 目黒~内幸町・白山~志村坂上の各駅
  2. ※白山~志村坂上の各駅は2014年5月、芝公園~内幸町の各駅は2014年7月、目黒~三田の各駅は2014年夏対応予定
    新宿線:

  1. 該当駅無し
    大江戸線:

  1. 大門・落合南長崎~光が丘の各駅
  2. ※落合南長崎~光が丘の各駅は2014年6月、大門は2014年7月に対応予定

都営が先行しているがメトロはどうなるのか

以上より、少なくともNTTドコモは(そして恐らく移動通信基盤整備協会も)東京メトロそっちのけで都営地下鉄の各駅を優先してLTE対応工事を進めていることが見て取れます。

正直、一体何故新宿線だけそんなに手早くLTE対応ができたのか、あるいは何故同線が優先されたのか、と思わなくはありませんが、少なくとも現時点で同線の利用者については他線よりも安定して『艦これ』が車内で遊べそうです。

いずれの駅も、遅くとも「2014年夏」の内には大手3キャリア全てでLTE対応が実施される予定ですが、その「2014年夏」というのが一体いつからいつまでを指すのかが判然としないのが気にかかるところ(※早まる分には全く問題ありませんが)です。

移動通信基盤整備協会 Japan Mobile Communications Infrastructure Association

携帯電話がご利用いただける地下鉄の駅・駅間(NTTドコモ)
ご利用いただける地下鉄駅・地下駅間(4G LTE・3G)(au)
ご利用いただける地下駅・地下駅間(ソフトバンクモバイル)

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