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再エンゲージメントを高めるアプリ内広告の仕組み

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by [2014年5月29日]

アメリカのアドネットワーク業界をリードするCriteoでMobile VPを務めるジェイソン・モース氏は、AES(Ad Engineering Summit)にて、「スマートフォンアプリの再エンゲージメントを高めるアプリ内広告の仕組み」について講演を行ないました。

CriteoモバイルVP、ジェイソン・モース氏

Criteoに入社する以前はAdWhirlとYahooのモバイルチームで在籍していたというモース氏。本記事では、そんなモース氏によるセッションをレポートします。

 

今回は、モバイルアプリやモバイルウェブ、それらに提供する広告と、我々のアイディアやマーケットの方向性についてお話しします。さらに、モバイルアプリとマーケットの課題、再エンゲージメントやリターゲティングについて考え、そしてモバイルアプリ広告のエコシステムを見ていきます。

Criteoについて


Criteoは2013年にNASDAQに上場し、現在は6,000人のアクティブなパブリッシャーがいます。総従業員数は、世界で約1,000人で、その約半分はエンジニア、もしくはシステムを管理する人々です。

Criteoの製品では、クライアントとの統合やイベントに基づいて、リアルタイムでパーソナライズされた広告を提供しています。

Criteoが提供する製品

4つのモバイル向け製品

Criteoはモバイルウェブの広告製品を2013年9月に発表し、その後2014年に初のモバイルアプリ向け製品を発表しました。製品開発において、最も重要だったことは、完全なる商品提供をする事でした。これは、AndroidだけでなくSafari、iPhone、iPadを含むiOSにリターゲティングが利用できるという意味です。

モバイルアプリ周りのインフラは、昨年『Ad-x Tracking』という企業を買収した事により整備されました。Ad-x Trackingは、アプリの広告主がアプリインストールを行っている、個々のアドネットワークのパフォーマンスを測るための手段です。利用しているモバイルアドネットワークのパフォーマンスを測るための強力なツールで、CPA、CPIを見るために使用できます。

Criteoが最近注目し始めている分野は、複数のプラットフォームで活用できるクロスユーザーターゲティングです。ここからは、個々の製品の説明ではなく、市場そのものに視点を向けていきます。

各プラットフォームがもたらす機会とは?

▽モバイルウェブ:
広告の観点からモバイルウェブを見ると、通常のノートパソコンやオンラインで配信される広告と似た成果を出しています。これにより、広告プラットフォームとして、モバイルウェブは多くの機会を見込めます。我々は、信じられないほど高いCTRを確認しており、それほど高くないCRを見たとき、それにはいくつかの理由がありますが、我々はどのようにしてそれを改善するかについて検討しています。

▽アプリ内広告:
アプリ内広告は、例えばショッピング、旅行情報、フライト情報などを検索をする時は、モバイルアプリの方がより良い体験を得られます。しかし、広告の視点では新しい課題もあります。モバイルアプリの場合、多くの人が最も陥りやすいのが、スマートフォンにアプリをインストールするものの、そのアプリがある事を忘れてしまい、そのまま利用しない事です。マーケターやエンジニアが、アプリ開発やアプリをストアに配信するのに時間を費やしたことを考えると、これはとても残念なことです。そこで私は、新たな顧客を開拓するだけでなく、再エンゲージメントにチャンスがあると思うのです。

▽クロスデバイスID:
本当のチャンスは、オンライン、モバイルウェブやアプリ内で確認できるパフォーマンスが、マルチプラットフォームにおいても同じレベルを期待できる事です。

それではここから、各セクションについて説明していきます。

モバイルウェブ

モバイルウェブは、なぜ重要な市場機会とされるのでしょう? こちらは、2013年11月からのアメリカの統計です。

アメリカのオンライン販売(2013年11月)

ここで見えるのは、iOSの売上がAndroidの4倍ということだけでなく、その期間中にiPadの売上がスマートフォンの4倍近くあった事です。iPadを含むモバイルを利用したオンラインショッピングは、それだけ注目されているのです。私自身が興味深いと感じたのは、Androidスマートフォンでの売上がAndroidタブレットを超えると言う事でした。

それでは、世界中のeコマースサイトのトラフィックをモバイルプラットフォームごとに絞り込みをすると、iPadとiOSからのトラフィック割合が70%を占める事が分かります。リターゲティングに特化する弊社として、これはとても大きな市場です。同時に、広告主にとってはこれが課題となります。

iPadとiOSがeコマースのウェブトラフィックを占める

そこで気付いた事は、これらの膨大なトラフィックは、ユーザーとの再エンゲージメントを図れないがために、その繋がりを失うという事でした。我々が持つ広告クライアントとの強い連携、さらには全ページにサイトタグを組み込んでいるため、通知をヘッダーに配信するなど、広告クライアントに向けた適切なリターゲティングを行えるのではないかと考えました。

通知の言語は、ブラウザの設定に合わせてローカライズされます。また、プライバシー面を考えて、ユーザーがその機能からオプトアウトする事も可能です。

モバイルアプリ

アプリ内の広告はこれまで、他のアプリを販売促進するためにありました。この業界において、その考え方を変えるチャンスはあります。昨年の統計から確認できるように、アプリストアで集められたプレイ回数、有料アプリの売上、アプリ内課金合計において、日本がアメリカや他の国を差し置いて、アプリ内課金を最もする世界1位の大国である事が分かりました。

日本が月間アプリ売上で世界1位

これは、有料アプリの購入やアプリ内で課金するという意欲がある事を表しているのではないでしょうか? その意欲こそが、アプリ内課金だけでなく他の小売業、旅行会社やサービスにも活用できるかと思われます。以下のグラフでは、獲得単価(買収費用)は、ライフタイムバリュー(LTV)を超えてはいけない事を表しています。もし超えた場合は、赤字となり廃業する事になります。


多くのモバイルアプリは特に、低いCPA(顧客獲得単価)でどれだけの成果を獲得できるかに注目しています。ここからは、モバイルアプリをインストールする時の課題について触れていきます。


この図の左上を見ると、広告主はまず始めに、アプリのインストールに注目しており、それに取り組めるアドネットワークの数は約350社もあります。アプリをインストールした後に浮上する課題は、いかにユーザーを月1回以上利用させる(エンゲージメントを増やす)かになります。約70%のユーザーは、アクティブなユーザーとは言えず、アプリに費やした開発時間や広告費用は、ユーザーがアプリの使用を止めると、ムダになってしまうのです。

モバイルアプリで高いコンバージョン率を獲得すること、さらにはCRを特定するツール自体がモバイルアプリに対応していないことがあります。さらに、モバイルアプリは非常に低いライフタイムバリューがある事も課題として挙げられます。

これらの問題を解決するため、最適な方法を検討する必要があります。

ライフタイムバリューを改善するため


(1)リターゲティング:
1人当たりの月間売上高を増やす必要があります。Criteo製品の場合、パーソナライズされた広告ターゲティングを行うことで、獲得した顧客を逃さぬようリテンションを意識したメッセージを配信する事により、アプリから購入してもらうコンバージョンを増加させます。

(2)再アクティブ化:
アプリでの再エンゲージメントを増やす事でライフタイムバリューが上がります。

(3)クロス販売:
新規でリリースするアプリを、既存アプリでアクティブなユーザーに販売促進します。

これら3つが相互に影響することで、モバイルアプリの使用を増やすことができます。

ケーススタディ

例えば、ユーザーが実際に買物が出来る通販アプリをインストールしたとします。ユーザーは、アプリでズボンやシャツ、靴等を選んでいるとします。ユーザーがアプリを閲覧する度に、あらゆる情報が行き交います。Criteoは、昨年買収したAd-xを通してアプリにタグを埋め込む事で、ユーザーが閲覧した商品情報がリアルタイムに送信されます。その情報を通して、ユーザーがアプリを起動する時に、よりパーソナライズされた広告を配信する事を可能にします。


Criteoが配信する広告は、ユーザーが閲覧した商品に基づいてパーソナライズされたモノがアプリのボトム部分で表示されます。これにより、関連性が高い広告が増加する事になります。ユーザーが広告をクリックすると、アプリ内にある商品ページから元のアプリに通知が届く仕組みとなっています。

アプリ内でリターゲティングを行う場合、次の3つの方法があります。

(1)iOSのIDFA、またはAndroidの広告IDに基づいたアプリ内のイベント統合:
AD-x trackingの使用がオススメ。イベントや商品が閲覧される度に、IDFAや広告IDがCriteoに送信される。パブリッシャー側からインプレッションのリクエストがあると、その同じIDFAや広告IDをマッチングする。

(2)パーソナライズされたバナーをサポートするため、カタログ・フィードを統合:
Criteoのサーバー内に、広告主がモバイルアプリに表示している商品の画像、情報、価格などが全て統合される。これにより、どの商品をアプリ内に表示するかを予測できる。

(3)「ディープリンク」を統合:
アプリ内にある特定のページから同アプリにリンクする機能。

我々が理想とするものは、マーケティングや売上目標を共有して頂けるクライアントと仕事をする事です。弊社には、顧客獲得と既存の顧客(lower funnel)が混在します。そして顧客獲得は、次に獲得できる新規顧客を予測でき、lower funnel(再エンゲージメントやリターゲティング)は既存の顧客の情報を元に最適な広告を表示します。

クロスプラットフォーム

まず始めに、クロスユーザーターゲティングにおいて考える事は、プライバシーです。ユーザーのプライバシーを尊重しつつ、正確にターゲットしなければいけません。ブラウザやプラットフォームで行っているアクティブティを特定し、その情報を基に後日広告を配信出来れば、もの凄い価値を生みます。ノートパソコン等でウェブサイトをブラウジングした後に、そのユーザーを再度モバイル端末、モバイルウェブ、またはモバイルアプリ内でリターゲティング出来れば、特に小売業などのサービスに新たな機会を作り出します。

このクロスユーザープラットフォームにおけるターゲティングを実現するために、業界は2つの方向で動き始めていることをご紹介して講演を終了させて頂きます。

(1)完全なるマッチング:
広告主は、同社の広告パートナーに一致した広告を配信すること。ハッシュされたメールアドレス、CRM IDを収集すること。

(2)推測によるマッチング:
ユーザーのブラウジング履歴、実際のIPアドレス等のデータから推測します。推測によるマッチングは、ターゲットしたい本人とは別の人に広告を配信する割合は、プライバシーの問題に関わる可能性があります。

1つのプラットフォームで広告を切り、片方のプラットフォームでは広告を配信する様な、オプトアウト機能をどう提供するか? その意味では、我々は「完全なるマッチング」の方に注目しています。

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