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「アドテクの進化とこれから」世界を変えてきたインターネット広告を支える技術

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by [2014年5月23日]

株式会社フリークアウト 執行役員 明石信之氏

国内最大級のアドテクノロジーカンファレンス”Ad Engineering Summit”が5月15日と16日の両日にわたって開催された。
この中から、基調講演「アドテクの進化とこれから」で明石信之氏が語った、現在のAD Technologyの概要、将来のAD Technologyの姿、そしてフリークアウトの理念について、お伝えしていきたい。

そもそもアドテクって?

広告に関わる人は、広告主・パブリッシャー・ユーザーの3つに大きく分けられる。
インターネット広告で言えば、バナー広告などで宣伝をしている企業が広告主であり、パブリッシャーはサイトの運営者、そしてユーザーがサイト訪問者となる。この3者はそれぞれがそれぞれのニーズを持っている。
広告主は当然、自身のメッセージを最適にユーザーに届けたい、と思っており、パブリッシャーは自分のサイトのインプレッションを最大限に活かして収益最大化を図りたい。また、ユーザーは潜在的に有用な情報を欲している。
簡単に言えば、この3者それぞれのニーズを最大限満たすための技術がアドテクなのである。

現在のアドテク業界はカオスな世界

アドテク業界というのは、言ってしまえばある意味でスキマ産業であり、課題解決のために元々の技術の上にプラットフォームを重ねるような発展をしてきたことも多く、あまりに階層の多いカオスな世界になっている。
下の画像は”カオスマップ”として有名な、LUMA Partnersが作成した”LUMA Scape”というアドテク業界の地図だが、見れば分かるとおり非常に複雑で全容を把握することが難しい様々なプラットフォームのごった煮のような状態になっている。

ADプラットフォーム

そんなアドテク業界での主要なプラットフォームについて、基本的なものから順に説明していく。

Ad Server


上の図はAd Serverを説明したものである。Ad Serverは基本的にはパブリッシャーに管理されており、ユーザーがパブリッシャーのサイトに訪問する際に送られるAd Requestを受け取ったAd Serverが、広告主から入稿されている広告の中から最適な広告を選びだしてサイトに送り返す。Ad Requestにはユーザー情報が含まれており、この情報は最適な広告を選び出すのに用いられる。

Ad Network


Ad Networkは、複数のパブリッシャーに対して広告を配信できる以外の点は基本的にはAd Serverと同じである。
Ad Networkは簡単に言えばセット販売されたAd Serverのようなものである。広告主が一つ一つのサイトに営業をかけ広告を配信しなくても、Ad Networkに広告を配信するだけでサイトを横断して広告を配信することが可能なのである。しかし、ブランディングの効果が薄いサイトに広告が配信される可能性や、広告の価格設定が不透明である、などの問題も抱えている。

3PAS


3PASと呼ばれるプラットフォームもある。これは3rd Party Ad Serverの略であり、Ad Networkと違う点は、パートナー以外からも自由にパブリッシャーを選ぶことができるという点である。
このプラットフォームでは、パブリッシャーのAd Serverには広告タグだけを入稿する。広告そのものは3PASに入稿し、配信も3PASからなされる。複数のサイトの効果測定を統一的に行えるという強みがこのプラットフォームの利点である。

Ad Exchange


Ad Exchangeは広告の取引市場のようなプラットフォームである。広告を出したい広告主と広告枠が欲しいパブリッシャーをマッチングするための機能を持っている。3PAS同様、広告そのものはAd Exchangeに入稿され、パブリッシャーのAd Serverには広告タグが入稿される。

SSP/DSP


これに対してSSP/DSPというのは競りのようなプラットフォームであり、いわばDSPが広告の卸売業者でSSPは広告の仲買人である。
パブリッシャーサイトからオーディエンス情報を含むAd Requestを受け取ったSSPは、Bid Requestを全てのDSPに送りつける。Bid Requestを受け取ったDSPは、ユーザー情報をもとに入稿された広告の中から一番効果の高い広告を選びBid ResponseをSSPに返す。SSPは返ってきたBid Responseの中から一番収益性の高いものを選びパブリッシャーに返し、その広告がDSPからパブリッシャーに配信される。
この仕組みはRTB(Real-Time Bidding)というオンラインのリアルタイムオークションを可能にするアルゴリズムに支えられている。

日本のアドテクの歴史

日本のアドテクの歴史は、当然のことながらインターネットの歴史に追従している。

インターネットが普及し始めた1996年、ディスプレイ広告がYahoo!によって配信され始めた。
ディスプレイ広告とはブランディング・認知を目的をしたバナー広告の延長線のようなものである。
2000年頃には、ログイン時の情報やIPの位置情報などを頼りに男性のみをターゲットにした広告や特定の地域に向けた広告が出始めた。これらはデモグラフィックターゲティング広告と呼ばれ、テレビ広告とインターネット広告の一番の違いであるといわれる。
テレビ広告はマスに向けて広く広告を発信していくが、インターネット広告はデモグラフィック情報(統計情報)を用いて一人一人にフィックスした広告を提供する。
2001年にYahoo!BBをきっかけにパソコンが普及し、ブロードバンド接続も徐々に高速になってきたことを受けて、2003年に動画広告も現れた。2005年にはweb上の行動からターゲティングをする広告も出始め、2007年にはAd Networkが普及した。
パフォーマンス広告とは、ディスプレイ広告のように認知を目的とした広告とは違い、CPAやROIといった広告費のコストパフォーマンスを重視した広告のことであるが、こちらはGoogleが2002年に検索連動型広告を導入したのをきっかけに発達し、現在はNative Adと呼ばれるTwitterやFacebookなどを利用した広告も発達している。

広告配信システム概要

広告の配信システムを基本的なものから順に見ていこう。

ディスプレイ広告

先ほども少し触れたが、ディスプレイ広告とはブランディング・認知を目的とした広告であり、1,000インプレッションごとでの販売(CPM = Cost Per Milleでの販売)が主流である(インプレッション = 掲載数)。
基本的にはこの広告枠にはClass1 インベントリ(純広)と呼ばれるインプレッション保証が付いている枠とClass2 インベントリ(Remnant)と呼ばれるインプレッション非保証の枠が存在している。
例えば、Class1 インベントリでは100万インプレッションを期待して純広枠を購入した場合、その広告は100万インプレッションを達成するまで掲載される。Class2 インベントリでは100万インプレッションを期待していながら50万インプレッションしかなかった場合、50万インプレッション分の代金が発生する。
このディスプレイ広告の掲載には残りの配信期間と目標インプレッションまでの残インプレッション、さらに最小配信管理時間(サイトに掲載される長さ)から計算して、ある期間中にどれだけのインプレッションを配信すべきかを決定するアルゴリズムが用いられている。配信広告のターゲティング種別にプライオリティを決めて広告の効果を高める工夫などもしている。

検索連動型広告

これは1997年に導入された広告システムであり、ユーザーが入力した検索キーワードに関連した広告を表示するシステムである。これはユーザーが自分の興味関心を自ら入力するという点で、インターネット広告で唯一のPull型広告であると言え、CPC(Cost Per Click)での販売が主流である。
仕組みとしては、広告タグに入稿キーワードを紐付けしておき、その入稿キーワードとユーザーから入力された検索キーワードの一致率を計算し、他にクリック率や広告単価も含めて算出したスコアの高い広告を表示するアルゴリズムが用いられている。

コンテンツ連動型広告

こちらは、現在閲覧中のコンテンツと関連する広告システムであり、検索連動型広告と同様CPC(Cost Per Click)での販売が主流である。仕組みも検索連動型広告と根本的には同じで、閲覧中のコンテンツ中の名詞キーワードと入稿キーワードとの一致率、広告単価、クリック率から計算したスコアの高いものを掲載するアルゴリズムを用いている。

最近のアドテクの動向

TwitterやFacebookなど、TimeLine型のメディアの台頭により、それらのメディアコンテンツの一機能としての広告であるNative Adが発達し、また、一人が複数の端末を持つようになってきたためマルチデバイス対応やデバイス識別も重要になってきた。これらについて詳しく見ていこう。

Native Ad

Native Adとは上でも触れたとおり、メディアコンテンツの1機能としての広告である。これには2種類あり、1つはTimeLine型、もう一つはRecommendation型である。前者はFacebookやTwitterのTimeline内にフィードされた広告であり、後者はTimelineなどにNewsと共に関連記事へのリンクをフィードしたり、概要と共に外部サイトへのリンクをフィードした広告である。

マルチデバイスへの対応

一人が複数台の端末を持つようになり、さらに今後家電などあらゆるモノがインターネットを介してつながるIoT(= Internet of Things)と呼ばれる時代が近いことから、アプリとブラウザ間での認証やマルチデバイスの認識が重要になってきた。
しかし、プライバシーの問題から、第三者Cookieを受け付けないブラウザも多くなってきている。そこで、複数のアプリを同一のブラウザ・デバイス上で認証するためにCookieに代わるものとしてFingerPrint Technologyというものが用いられてもいるが、まだまだ問題点も多い(必ずしもCookieに代わるものではない)。
また、マルチデバイスの識別については、現在GoogleやAppleが解決策としてログインをさせるという方法を取っている他に、FingerPrint Technologyのような非Privacy情報から同一ユーザーであると推定するMining技術も出てきている。

Ad Verification

アドテクの発達により、広告がブランディング上マイナスとなるようなサイトに掲載されてしまうリスクも増大してしまった。このリスクを事前に回避したり、実際にそのような状況になった際の対処を可能にするものとしてAd Verificationという仕組みも最近注目されている。

フリークアウトの目指すところ


このようなアドテク業界でプラットフォームを提供しているフリークアウトは、「人に人らしい仕事を」という言葉を掲げ、機械がやるべき仕事は機械にやらせて、人がより人らしい仕事をできる環境を目指している。

また、今後来るべきのIoT(Internet of Things)の時代を見据えて、全てのモノに対して接点を持ち、データとテクノロジーを用いてマーケターが理想とするコミュニケーションの場を作ることを目標としている。

これは言い換えれば、あらゆるチャネルを統合し、適正にチャネルを評価・選定し活用するということである。

これまで、Ad Technologyに支えられたインターネット広告が世の中の消費者の行動を大きく変えてきた。しかし、日本でAd Technologyという言葉が知られるようになったのはここ3~4年のことであり、まだまだ日本から発信されるAd Technologyのプロダクトは世界に劣っているのではないか。これから日本発のアドテクが世界を変えていくのを期待したい。

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