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大学による軍事研究の禁止がもたらす国外への頭脳流出

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by [2014年5月02日]

 アメリカ国防総省の極秘研究チームが、失われた記憶をよみがえさせる装置を開発している。AFP通信(日本語版)は2日、米国防高等研究計画局(DARPA)が進めている記憶回復装置の研究について報じた。

 報道によるとこの装置は脳に埋め込む型のもので、人や出来事、事実、数字といった陳述記憶(言葉で表現可能な記憶)の再現をめざしている。研究の成果は、軍務中にうけた外傷のために記憶を失った軍人や、アルツハイマー病患者など全米530万人に役立つという。研究は4年計画で進められており、今後数カ月以内にこれまでの進展が発表される予定だ。

東大は軍事研究禁止

 このニュースに対しては、「米軍ってこんな研究もしてるのかよ」とのコメントもあった。だが、アメリカでは軍事研究から最先端技術が生み出されることが少なくない。現在のインターネットの原型となったARPANETや、現在地確認に使用されるGPSなども、軍用として開発されたのちに大学や民間へ移管した歴史を持つ。

 その一方で、日本における軍事研究は非常にセンシティヴな問題だ。産経新聞は1日に、東京大学の教授らが米空軍傘下の団体から研究費名目などで現金で受領していたと報じた。東京大学は過去の評議会で全学部で軍事研究を禁止している。

「頭脳流出」の危惧

 産経新聞の記事では、予算を十分に確保できないことを理由に研究者たちが東大を離れて起業したベンチャー企業「SCHAFT」の事例を紹介。同社はその後グーグルに買収され、平成25年の米国防高等研究計画局(DARPA)災害救助ロボットコンテスト予選ではトップの成績を収めた。

 軍事研究を禁止することによる海外への「頭脳流出」が懸念されるなか、ツイッターでは「軍事だからダメ、という安保タブー視は止めたらどうか」という意見もあった。そのほかにも「インターネットだって元々は軍事技術として開発されたし、軍事分野からの資金は入りやすいのは事実だろう」、「独法化したとはいえ国立大が外国軍隊のための委託研究はさすがにまずい」などの声があった。

「日本版DARPA」は実現できるか?

 経済産業省が4月14日に発表したベンチャー有識者会議のとりまとめでは、イノベーションを促進するために「DARPA型研究開発支援スキーム等の創設」が提言された。また、昨年12月の国家安全保障戦略でも「産学官の力を結集させて安全保障分野においても有効に活用するように努めていく」としている。

 日本版DARPAは実現できるのだろうか?提言実現のためには、政府は東大をはじめとした各大学との間で、軍事研究をどう扱うかという点も含めた協議が必要になる。だが、東大や早稲田大など学内での軍事研究を禁止している日本の大学は多い。政府と学会の意見の隔たりは小さくなく、一筋縄ではいかなそうだ。
 
▽参考リンク
記憶を回復する脳インプラント、米軍研究が近日発表 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
東大独自ルール「軍事忌避」に反旗 複数の教授ら米軍から研究費 – MSN産経ニュース
ロボット開発にも東大独自ルールの壁 「頭脳流出」問われる姿勢 – MSN産経ニュース
ベンチャー有識者会議とりまとめ(経済産業省)

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