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連載:ITエロ進化論「3Dグラフィックへの道(4)~立ちはだかった「不気味の谷」~」

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by [2014年5月02日]

▼連載目次▼
はじめにレイトレーシングありき
難航した映像コンテンツへのレイトレーシングの応用
ポリゴン技術の登場
立ちはだかった「不気味の谷」
意外と少ない3Dアダルトゲーム
▲目次▲

立ちはだかった「不気味の谷」

1990年代後半に入ると、3Dグラフィックチップメーカーの勃興やそれらの競争、家庭用ゲーム機での3DCG機能の一般化などもあり、ポリゴンによるリアルタイム3DCG描画機能はゲームでは当たり前の機能の一つとなりました。

しかし、にもかかわらず3DCGで描画されるのは相も変わらずメカや無機物が中心で、人物をポリゴン表示する例は対戦格闘ゲームなどに限られ、しかもそれらでさえ「仮面をつけた謎の男」やごつ苦しいご面相の格闘家、果ては謎のロボットや宇宙人など人外のキャラクターが列をなす有様で、女性キャラクターはごくごく限られていました。

「バーチャファイター」シリーズでは最新作まで含めても全キャラクターに占める女性の割合は約1/3、汗臭いオッサンの印象しかない「鉄拳」シリーズ(ナムコ→バンダイナムコ)では1/4で、いずれのシリーズでも後になるほど女性キャラの比率が上がっています。

2D対戦格闘ゲームでは1990年代中盤の時点で、「あすか120% BURNING Fest.」(ファミリーソフト)のようにいわゆる「ギャルゲー」としての要素をほとんど持たないにもかかわらず登場キャラクターのほぼ全員が女性というタイトルも現れていてかなり熱狂的な支持を受けていましたから、初期には3D対戦格闘ゲームでの女性キャラクターのモデリングが難しかったことがわかります。

その一つの要因となったのが、「不気味の谷」と呼ばれる経験則です。

これは、人型のキャラクターなりマネキン人形なりがあるレベルまで外見を本物の人間に近づけると人はそれに好印象を抱くものの、それが微妙に本物と違う、というレベルに達すると嫌悪感を覚え、さらにそこから一段本物に近づいて外見上本物の人間と区別付かないレベルに達すると今度は強い好印象を抱くようになる、というものです。

つまり、その外観の忠実度によって見る者の好悪の感情がV字グラフ(谷)を描くことから不気味の「谷」と呼ばれたわけですが、1990年代後半~2000年代初頭にかけて急速にレベルアップしつつあったポリゴン技術では、人体モデリング、とくに女性キャラクターはリアルにすればするほどこの「不気味の谷」の罠に陥りやすかったのです。

その最たる例は当時絶頂期にあったスクエア(当時)の経営を傾けた2001年の映画「ファイナルファンタジー」で、中途半端にリアルで生理的に違和感の強いキャラクター描写がこの映画の不振の一因とする意見は少なくありません。

そのため、この問題が深刻な問題として認識されるようになった2000年代初頭以降、特に女性キャラクターのキャラクター造形の指向性をマンガ的な記号を取り入れる方向にあえて振ってデフォルメすることで、つまり具体的には例えば「萌え」の方向性にキャラクターモデリングを振ることで「不気味の谷」を回避する手法(それはそれで立体として違和感の無いようにモデリングするノウハウの確立が大変だったのですが)が流行し、その流れはやがて「ゆめりあ」(2003年)から「THE IDOLM@STER」シリーズ(2005年~)に至る一連のナムコ→バンダイナムコによる美少女キャラクターを中核に据えたゲームタイトル群を産み出すことになりました。

言い換えれば、3DCGはここへきてようやくアダルトコンテンツ、中でも特に「美少女ゲーム」への適用が可能な技術水準に到達したのです。

(次回、『意外と少ない3Dアダルトゲーム』へ続きます)

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