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連載:ITエロ進化論「3Dグラフィックへの道(3)~ポリゴン技術の登場~」

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by [2014年5月01日]

▼連載目次▼
はじめにレイトレーシングありき
難航した映像コンテンツへのレイトレーシングの応用
ポリゴン技術の登場
立ちはだかった「不気味の谷」
意外と少ない3Dアダルトゲーム
▲目次▲

ポリゴン技術の登場

レイトレーシング技術の実用化後、3DCGで一つの転機となったのは、1980年代後半から1990年代前半にかけて、リアルなフライトシミュレータを切実に必要とした航空産業などに後押しされた、ポリゴンによるリアルタイム3DCG描画技術の確立でした。

元々ポリゴンは「多くの(Poly)角形(gon)」つまり多角形を意味する語ですが、3DCG技術においては、指定された頂点を結んで三角形や四角形などの多角形を描くことで立体を表現する技法のことを指します。

レイトレーシングの場合、オブジェクトの何もない空間もすべて総当たりで光源計算して描画を行うため、恐ろしく無駄が多かったのですが、あらかじめ色情報を定めた多角形の組み合わせで立体を表現するポリゴンの場合、頂点座標さえ算出すればあとはそれほど複雑な計算をせずとも立体を描けたため、1990年代初頭の貧弱なハードウェア資源であっても3DCGをリアルタイム描画することが可能となったのです。

ポリゴンを用いた3DCGソフト(Shade 8)の例
ポリゴンでは球体でも微細な三角形の集合体として表現するため、特別な処理を行わない限り右上のようにカクカクした表現になる。なお、表面に陰影が示されているが、これはシェーディング処理による。

もっとも、このポリゴンには様々な問題点がありました。

まず、最初期にこの技術を導入したナムコのレースゲーム「ウィニングラン」(1988年)に始まり、ナムコに次いでポリゴン3D描画の導入に熱心だったセガエンタープライゼスの開発した3D対戦格闘ゲーム「バーチャファイター」(1993年)あたりまでの時期に制作された初期の3Dゲームをプレイした経験のある方ならばご存じのことと思いますが、この時代のポリゴン描画では多角形で立体を表現する=どんな立体もカクカクした表現になる、という問題がありました。

さらに、これらの立体は多角形(※通常は計算の楽な三角形を用います)の面の集合体として表現され、その面は単色で示されていたのですが、レイトレーシングとは違って光の強弱の表現が難しいという問題もありました。

これらの問題は、頂点数の増大とスムージングによる擬似的な曲面表示や、テクスチャマッピングと呼ばれるポリゴン表面への物体表面画像データの貼り付け、それにシェーディング(影付け)と呼ばれる光源計算を含むポリゴンの「面」の色変化処理といった技術の導入によって順次解決されてゆきましたが、1996年の「バーチャファイター3」登場の頃になるまで、ポリゴンで柔らかな人体をそれほど違和感を抱かないレベルでリアルタイム描画するのは至難の業でした。

つまり、少なくともこの時期までの3DCG技術はアダルトコンテンツにはおよそ不向きで、せいぜいタイトルロゴなどの表示に用いるのが関の山だったのです。

(次回、『立ちはだかった「不気味の谷」』へ続きます)

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