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ICT教育は子供を賢くできる? 目黒区立第一中学校の挑戦

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by [2014年4月24日]

 目黒区教育委員会は21日、目黒区第一中学校において、ICT教育の実証プロジェクト「MPL21(Meguro Proactive Learning for the 21st-century)」の開始を発表した。日本マイクロソフト、NEC、NTT東日本の支援により、電子黒板やタブレット端末を活用した授業を展開する。最新鋭のICT技術の活用により「主体的に学ぶ態度」や「協働的問題解決能力」の育成を目指し、その結果を実証研究に生かすという。

 

目黒第一中学校のシステム導入図。合計70台のタブレットが導入される。

 目黒区第一中学校に導入されるのは、NECのタブレットPC「VersaPro J タイプVT」(Windows 8.1 Pro搭載)。マルチタッチとペン操作に対応し、12.5型の大画面をもつ本モデルは、すでに石川県津幡町、愛知県豊田市、東京都墨田区の各教育委員会で採用されている。目黒区第一中学校では視聴覚教室と多目的教室にそれぞれ32台ずつ設置され、生徒が一人一台のタブレットPCを使用できる環境を整備した。

 軽くて持ち運びのしやすいタブレット端末は、教育現場への浸透を深めている。北海道情報大学は今年度から、iPadを使用した電子教科書を導入した。こういったICT教育の推進に対し、岐阜女子大学の久世均教授はマイクロソフトのホームページに「デジタル教材やネット情報を駆使することで、理解やつまずきに応じて個別学習ができる。また Web カメラなどを使えば、学校外や海外と意見交換するといった“時空を超えた”協働学習も可能となる」とコメントを寄せている。

 一方で、ICT教育の推進に慎重な声も少なくない。「ICT教育反対」と題したブログの筆者はICT教育が生徒の受動的な態度を誘発させると指摘したうえで、次のように述べている。「図形をあれこれ角度を変えながら書いていくのとタブレットの画面をあちこちの角度から見続けるのとでは、頭に入るその入り方が異なる。(中略)勉強とは体を使うことだ。だから頭に入る」。

 技術の進歩により身体性が失われるという危険は確かにある。マイナビニュースによると、目黒区立第一中学校では3月にタブレットPCを活用した授業を試験的に実施し、社会科の授業では三鷹市にある農家と通信をむすび、生徒との直接対話する機会を設けたという。たしかに通信技術により「現場」に行かなくても「現場の声」を聞くことができるようになったのは、良い面もある。だが、「農家に行って話を聞いた」と「インターネット通信で話を聞いた」とでは生徒の経験として大きく異なる。ICT教育ばかりに頼るのではなく、時には現場に足を運ぶことも必要だろう。

79%が授業の電子化に賛成という結果だが、慎重な姿勢をとる賛同者も少なくない。

 しかしそれでも、ICT教育の推進に多くの人がメリットを感じているようだ。「ゼゼヒヒ – インターネット国民投票」の「授業の電子化推進に賛成? 反対?」と題したアンケートでは24日現在、賛成174(79%)、反対47(21%)という結果がでている。「もうこの流れは出来ている」と全面的に賛成する声もあった。

 ただ、ある賛同者は「効率化や情報共有の効果の点で必要」と述べたうえで、次のような指摘もしていた。「ただ、導入すれば効果抜群な魔法のツールではなく、コンテンツが大切なのは変わらないし、授業中できることが広がる分授業に集中させる教員の工夫が問われると思う」。

 IT革命後、利便性は高まったが、賢い人が増えたわけではない。だが、技術の進歩により教育の可能性が高まったのは確かだ。ICT教育は人を賢くできるのか?目黒区立第一中学校の挑戦に期待したい。

▽参考リンク
目黒区立第一中学校が、ICTを活用した授業の実証研究を開始
目黒第一中学校、1人1台のタブレットPCを活用した授業の実証研究を開始 | マイナビニュース
授業の電子化推進に賛成? 反対? | ゼゼヒヒ – インターネット国民投票
~教育機関向け~ タブレット端末のススメ
アンソロジー ICT教育反対

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