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連載:IT因縁話「コンセントの電圧と周波数(5)~日本の商用電源は今のまま続くのか?~」

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by [2014年5月01日]

▼連載目次▼
東西で分かたれた日本の商用電源周波数
世界的には極端に低い日本の商用電源電圧
交流の変圧と整流による直流変換
電圧や周波数を変えると何に影響する?
日本の商用電源は今のまま続くのか?
▲連載目次▲

日本の商用電源は今のまま続くのか?

日本の商用電源電圧は極端な低電圧で、さらに周波数が2種類併存しているという、二重苦状態になっているわけですが、今後これらが変更される可能性はあるのでしょうか?

周波数については、東日本大震災の際に東京電力のエリア内で計画停電を実施せねばならなくなった際などにも問題視されました。

全国の電力会社間で電力を融通し合うための専用回線の途中に周波数変換施設が事実上必須で、しかもその容量が(その後ある程度増強されたとはいえ)限られていたために思うような電力融通ができなかったのです。

もし周波数が50Hzか60Hzのいずれか、電力効率を考えると60Hzで統一されていればあの震災の直後の時期でもあそこまでひどい電力不足にはならなかったと考えられ、周波数の不統一がもたらす社会的な不利益についてはいずれ検討が必要でしょう。

もっとも、近年の技術では高圧交流よりも高圧直流で送電した方が遙かに効率が良くなっており、各電力会社間を高圧直流送電網で結び、受け取った側で必要な周波数の交流に変換して自社送電網に流すようなシステムを構築できるのであれば、周波数の不統一は少なくともこうした電力融通の観点では問題ではなくなります。

また、こうした周波数の変更は大きな設備投資を要する工場設備の改造、あるいは機器更新などで巨額の費用負担を契約事業者に強いることになります。

これまでも周波数の統一が何度も検討されながら、葬り去られてきたのは正にこうした産業界に与える影響、あるいは被害の甚大さ故でした。

長くともおおむね5年から10年の範囲で機器寿命が訪れ代替、あるいは廃棄される家庭用電気製品では周波数切り替えは準備期間さえ確保できるならそれほど大きな負担となりませんが、15年から20年、ものによっては半世紀近くも使用され設備投資も大きな工場施設で対応周波数を切り替えるのは、予算規模的にも作業工数的にも並大抵のことではありません。

そのため、周波数については不便を承知で今後も50Hzと60Hzが併存する状態が続くことになるでしょう。

電圧については、現在既に家庭用でも空調機器用を中心に200Vでの送電が可能となっており、本当に必要な機器に限って200V化可能な選択肢が用意されているのであれば、無理にすべてを200V以上に昇圧する必要は無い、と言えます。

むしろ、100Vと電圧が低いお陰で電気ひげそりなどの水濡れしやすい機器での感電事故が未然に防げているとも言え、一般家庭では空調機器だけ200V化すれば、後はむしろ100Vのままでも特に困らない状況です。

そのため、低電圧であるが故の送電ロスが問題視されるような厳しい電力事情にでもならない限り、日本で商用電源電圧の完全昇圧が実施に移されることはないでしょう。

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