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連載:IT因縁話「コンセントの電圧と周波数(3)~交流の変圧と整流による直流変換~」

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by [2014年4月23日]

▼連載目次▼
東西で分かたれた日本の商用電源周波数
世界的には極端に低い日本の商用電源電圧
交流の変圧と整流による直流変換
電圧や周波数を変えると何に影響する?
日本の商用電源は今のまま続くのか?
▲連載目次▲

交流の変圧と整流による直流変換

ところで、交流と直流の変換にあたっては現在では所定の電圧を取り出す変圧トランスと4個のダイオード(電流を一方向にしか流さない半導体素子)を組み合わせて単相全波整流して必要な直流を固定電圧で得るか、さもなくばサイリスタのような整流機能とスイッチング機能を併せ持った制御整流子と呼ばれる素子を利用して、これを制御することで任意の電圧の直流を取り出すか、のいずれかの手法が用いられます。

前者の手法は得られる電圧が変圧トランスの出力側電圧(※トランスの入力側(1次巻線)と出力側(2次巻線)の巻き数比で決まり、自由に変更できません)によって定まり融通が利かない反面、回路構成が比較的簡素で製造コストを安くできるというメリットがあります。

SONY AC-E60L
変圧トランスと整流素子を組み合わせたもっとも単純な降圧・整流回路を持つACアダプタの例。この機種の場合は交流100V 50Hzないしは60Hzから直流6Vに変換する。

具体的に言えば、古いタイプの大きめでやけに「中身の詰まった」重い単電圧出力のACアダプタはほぼ例外なくこの手法を用いた整流回路を搭載しています。

ちなみに、前回触れた古いPC/AT互換機用電源ユニットの115V/230V切り替えスイッチも、実は内蔵された大型トランスの2次巻線の巻数を変更して出力電圧を変え、入力電圧が倍になっても出力電圧側で半分になるようにすることで実際の出力電圧を同じにするためのものでした。つまりこの世代までの電源ユニットでは、おおむね前者の手法を基本とする比較的単純な回路構成だったわけです。

後者の手法は制御整流子の素子に耐えられる最大電圧以下に降圧さえしておけば、後は比較的自由に必要な電圧を自由に「作って」出力でき、重い変圧トランスを構造単純化して小型化できる(ものによってはトランスを省略できる)という大きなメリットがあります。

また、出力電圧が制御整流子の制御内容によって定まるため、入力される電圧が変化しても特に問題なく、一つの整流回路で何種類もの入力電圧に対応可能となるというメリットもあります。

もっとも、こちらの手法は必要な耐圧の制御整流子素子が開発されるまでは実現困難で、また、任意の出力電圧を得るための制御回路が非常に複雑になる、という問題も抱えています。

とはいえ、むやみに重い変圧トランスを小型軽量化あるいは省略でき、しかも1つの変換機器で世界中どこの国でも利用できる(各国でコンセント形状・規格が異なるため、物理的な変換アダプタは必要ですが)ことのメリットは絶大で、近年のノートパソコン・タブレット用ACアダプタの大半でこの後者の手法が用いられており、特にスマートフォン用で急速充電モードを持つ、つまり出力電圧を制御し可変させる必要のあるようなACアダプタでは、事実上これ以外の選択肢が無いような状況となっています。

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