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連載:IT因縁話「コンセントの電圧と周波数(2)~世界的には極端に低い日本の商用電源電圧~」

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by [2014年4月22日]

▼連載目次▼
東西で分かたれた日本の商用電源周波数
世界的には極端に低い日本の商用電源電圧
交流の変圧と整流による直流変換
電圧や周波数を変えると何に影響する?
日本の商用電源は今のまま続くのか?
▲連載目次▲

世界的には極端に低い日本の商用電源電圧

世界的に見ると、日本で用いられている商用交流電源の公称電圧100Vという値は、極端に低い部類に入ります。

明治期の、工業化も未発達だった当時の日本の国情や、温暖湿潤で絶縁を必要とする電気機器の利用には厳しい気候を考慮するとその値が選ばれたことも致し方ない面があります。

しかし、ジュールの法則から導き出されるように、送電時には同じ電力量でも電圧を高く電流量を小さくした方が発生する熱量を小さく抑制できることを考えると、現在も日本で標準的に利用されている100Vという値はあまりに低すぎたと言わざるを得ません。

しかも、そればかりか実際には送電中のロスによる電圧降下で公称電圧が出ていないケースがありました。

筆者の体験した範囲でも、夕方になると決まって起動しているパソコンにリセットがかかってしまう、という現象が起きて、調べてみるとアパート内の配電系統の老朽化に加え各家庭の電気炊飯器使用で各部屋のコンセントの電圧が極端に降下(どうやら80V程度まで下がっていたようです)したのが原因だと判明したことがありました。

115V/230V切替スイッチ付旧式電源の例
左側の赤い正方形のボタンの下にある赤く横長のスライドスイッチが115V/230V切り替えスイッチである。

1990年代後半から2000年代前半にかけての時期にパソコン自作をされた方なら恐らくご存じのことと思いますが、この時代(およびそれ以前)の自作パソコン用Baby AT規格あるいはATX規格の電源ユニットでは、背面のコンセント付近に「115V/230V」などと表記されたスライドスイッチが設けられていて、電源ユニットに入力される商用電源の電圧がアメリカや台湾などで用いられている値に近い115Vと、ヨーロッパなどで用いられている230Vの2つで切り替え可能となっていました。

実は、当時の日本で販売されていた自作パソコン用電源ユニットの大半は世界的にはマイノリティである日本向け100V定格での動作をほとんど考慮しておらず、100Vでも「電源ユニットの実力」で特に問題なく動作するものを選んで輸入して販売されていた(※現在国内販売されているパソコン用電源ユニットでは、一般に安定化電源回路の導入によりこの種のスイッチは廃止されています)のです。

先に挙げた謎のパソコンリセット事件で被害に遭ったパソコンも後で確かめると正にこうしたタイプの電源ユニットを積んでいて、夕方の同じ給電系統内での電気炊飯器複数使用で電源ユニットおよびマザーボード上の安定化電源回路の許容範囲を超えて入力電圧が低下したために、正常動作不能となってリセットがかかっていたのでありました。

(次回、『交流の変圧と整流による直流変換』に続きます)

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