JR西日本500系新幹線電車(東京駅にて)周波数60Hzのエリアを営業エリアとするJR西日本の山陽新幹線用に開発された電車だが、乗り入れ先の東海道新幹線が単相交流25000V、周波数60Hz電化であるため、特に何の対策も無く50Hzエリア内の東京駅まで直通運転が可能であった。

連載:IT因縁話「コンセントの電圧と周波数(1)~東西で分かたれた日本の商用電源周波数~」

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by [2014年4月21日]

よく知られているように、現在の日本では一般家庭向けに単相交流100V、周波数50Hzないしは60Hzで電力供給が行われています。

世界的に見ると、ヨーロッパ系は115~240V 50Hz、日本を除くアメリカ系は110V~240V 60Hzで、発展途上国を含めても日本は飛び抜けて低電圧設定かつ2周波数共存という世界的にきわめて珍しい状況となっています。

今回は各家庭やオフィス・工場のコンセントに供給されている電圧と周波数、そしてそれに関連する事柄について考えてみたいと思います。

▼連載目次▼
東西で分かたれた日本の商用電源周波数
世界的には極端に低い日本の商用電源電圧
・交流の変圧と整流による直流変換
・電圧や周波数を変えると何に影響する?
・日本の商用電源は今のまま続くのか?
▲連載目次▲

東西で分かたれた日本の商用電源周波数

現在の日本で商用電源周波数が糸魚川静岡構造線付近を境界として東日本が50Hz、西日本が60Hzに分かれているのは、明治時代に東西の電力会社が輸入した交流発電機のメーカーの相違が原因でした。

元々、日本の商用電源は、当初エジソンの直流送電システムを導入してスタートし、その後アメリカのウェスティングハウス・エレクトリック社が実用化した高圧交流に移行した歴史があります。

その際にまず西日本の電力会社(大阪電燈)がアメリカ製の交流発電機を導入しこれが60Hz対応だったのに対し、それに少し遅れて交流を導入した東日本の電力会社(東京電燈)はドイツ製の交流発電機を輸入したのですが、こちらは50Hz対応でした。

そしてそれぞれの周辺に次々に設立された電力会社が先行する大手二社のシステムにならった結果、東日本は50Hz主体、西日本は60Hz主体で勢力的に互いに拮抗するという状況となってしまったのです。

アメリカで60Hzが標準化したのは、高速な蒸気タービンが実用化されると従来よりも簡単な構造で発電機が設計できたことと、周波数をむやみに上げすぎると今度は高圧長距離送電の際に送電線の見かけ上の抵抗値(インピーダンス)が大きくなって送電効率が著しく低下するという問題があったことが一因です。

そのため、電灯(※当時のことですから当然白熱電球です)のちらつきの少なさや交流モーターや電圧を変化させる変圧器、それに交流と直流を相互変換する変流機の作りやすさなども考慮の上で、「交流の父」ニコラ=テスラやウェスティングハウス・エレクトリック社などが60Hzを推奨した結果、これが標準化したものでした。

一方、ドイツでは技術開発で先行したアメリカとは異なり、各メーカー・各電力事業者が乱立して様々な新方式を提唱するような状況ではありませんでした。

また高回転数の発電機も普及していなかったことなどから初期に開発された比較的低い周波数が常用される状況にあり、結果として低周波数の交流送電で一般的であった16 2/3Hz(※ドイツの鉄道の交流電化区間では現在もこの周波数の近似値である16.7Hzが広く用いられています)の3倍となる50Hzが標準規格として選ばれました。

JR西日本500系新幹線電車(東京駅にて)
全区間が60Hzのエリア内にある山陽新幹線用に開発されたが、乗り入れ先の東海道新幹線が周波数60Hzの交流電化で統一されているため、特に何の対策も無く50Hzエリア内の東京駅まで直通運転が可能であった。

つまり、それぞれ歴史的な経緯や開発事情などが絡み合って決定された周波数だったわけですが、それだけにいずれか一方に統一するのは、それぞれの周波数に依存する機器が利用されていることもあって難しい問題です。

世界的に見てもヨーロッパの技術を導入した国は50Hz、アメリカの技術を導入した国では60Hzときれいに分かれており、両方から技術を導入した日本では、必然的に国内で2種の周波数が併存することにならざるを得なかったと言えます。

これらの優劣については様々な論争があり、戦前から戦後に至るまで何度もいずれか一方に統一することが議論されたのですが、統一は未だ成っていません。

ちなみに、東海道新幹線は運転区間が東日本と西日本にまたがっていますが、複周波数対応のために車両重量を増やしたくなかったことや将来的に全区間60Hzエリア内の山陽新幹線と直通が計画されていたことなどから例外的に60Hzに統一されており、50Hzエリア内では各電力会社から給電された電力をわざわざ60Hzに変換して利用するようになっています。

(次回、『世界的には極端に低い日本の商用電源電圧』に続きます)

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