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連載:IT因縁話「ディスクインターフェイスの天下統一(3)~IDE/ATAそしてATAPI~」

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by [2014年4月15日]

▼連載「ディスクインターフェイスの天下統一」目次▼
黎明のハードディスクインターフェイス
SASIからSCSIへ
IDE/ATAそしてATAPI
SASとSATA
直接接続への回帰
▲連載目次▲

IDE/ATAそしてATAPI

SCSIへの移行で標準化が一段落ついたインテリジェントタイプのディスクインターフェイスですが、これは従来型のインターフェイスと比較すると、1つ泣き所がありました。

ATA ハードディスクドライブ(上)と
SCSI ハードディスクドライブ(下)
同じバス幅(8ビット)だが、長い信号線の引き回し(※規格によって異なるが、最大で12m)に対応するためノイズ対策が重視されるSCSIは、内蔵専用のATAと比較してコネクタのピン数が10本多い。

それ自体がCPUコアを内蔵する高機能なコントローラを搭載するため、SCSIは対応ハードウェアがかなり高価だったのです。

そのため、低価格化圧力の強かったPC/AT互換機市場ではSCSIよりも低価格でESDIよりも性能の高いインターフェイスが求められました。

そこで当時PC/AT互換機メーカーでは最大手であったコンパック・コンピュータ(※現在のヒューレット・パッカードの前身の1つ)と、Seagateの創立者の一人がコンパックの援助を受けて創立したコナー・ペリフェラル(※1996年にSagateに吸収合併)の2社が、1986年にIDE(Integrated Drive Electronics)と呼ばれる新しいインターフェイスを開発しました。

IDEは最低限の制御をドライブ搭載のコントローラに処理させ、SCSIほど高度な機能はサポートせずハードディスクドライブに特化することで、インテリジェント化を比較的低コストで実現しました。

このインターフェイスはSCSIほどの絶対性能は出ず、また機能的にも色々制限されていたのですが、コストパフォーマンスが良かったことから瞬く間に普及しました。

もっともこのIDE、当初は規格の定義が甘く、複数のメーカー製の機器を混在した際などにいわゆる相性問題が多発しました。

それゆえ、1989年にATA(Advanced Technology Attachment)として業界標準規格が制定され、さらに1994年にはATA-1としてANSIによって正式な規格化が行われました。

以後、順次高速化や高機能化が進められて行きましたが、この過程で重大な問題が生じました。マルチメディア機能の拡充に伴い、ATA(IDE)インターフェイスでもCD-ROMドライブを接続できるようにして欲しい、という要求が強まったのです。しかし、前述のとおりATAはハードディスクに特化した仕様で、そのままではCD-ROMドライブを接続できませんでした。

松下寿電子 CR-563BBZ
松下寿電子独自規格のCD-ROMドライブインターフェイス(MKEインターフェイス)を搭載したCD-ROMドライブの例。これはATAと同様に40ピンのコネクタを備えるが、上のラベル表記にもあるように4台のドライブを選択するジャンパピンが用意されており、ATA/ATAPIとは似て非なる規格であることがわかる。

その解決策として、松下寿電子をはじめとする光学ドライブメーカー各社はATAを基本として自社独自仕様の光学ドライブ接続を可能としたインターフェイスを開発しましたが、これは複数の互換性が全く無い方式が乱立する結果になりました。

この問題は最終的にATAPI(ATA Packet Interface)としてATAを基本としつつSCSIのサブセットとなる各種デバイス向け制御コマンドをパケット通信するための規格が制定され、決着がつきました。

ATAPIの制定時期はWindows 95登場前夜で、これはドライブの低価格化によりWindowsパソコンでCD-ROMが一般化するのに大きく貢献しています。

(次回、『SASとSATA』へ続きます)

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