ATA_SATA

連載:IT因縁話「ディスクインターフェイスの天下統一(4)~SASとSATA~」

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by [2014年4月16日]

▼連載「ディスクインターフェイスの天下統一」目次▼
黎明のハードディスクインターフェイス
SASIからSCSIへ
IDE/ATAそしてATAPI
SASとSATA
直接接続への回帰
▲連載目次▲

SASとSATA

1980年代後半以降、用途の相違からATAとSCSIの2つの規格が併存してきたディスクインターフェイスですが、2000年代に入ると両規格共に性能向上が頭打ちとなりました。

ATAやSCSIのように同時に複数ビットのデータを送受信するパラレルインターフェイスでは、転送速度が高くなればなるほど各ビットの経路長の差や素子の動作のばらつきなどから送受信タイミングがずれるクロックスキューと呼ばれる現象が生じ、また多数の信号線を用いるため設計製造に大きなコストがかかるという難問があり、それが表面化したのです。

そのため、SCSIでは予定されていたUltra 640 SCSI(※最大640メガバイト毎秒)の規格化が断念され、Ultra DMA 6のサポートにより最大133メガバイト毎秒でのデータ転送が可能となった2005年のATA/ATAPI-7でATAの速度向上が止まりました。

ATA ハードディスクドライブ(上)と
SATA ハードディスクドライブ(下)
パラレルインターフェイスからシリアルインターフェイスへの移行により、接続される信号線の本数が大幅に減った。また、電源コネクタも5Vと12Vを給電するだけの4ピンコネクタから3.3V給電が追加され活線挿抜に対応する、15ピンの新型に変更されている。

このクロックスキューなどによる諸問題の解決策として選ばれたのが、データバスをシリアル通信、つまり上下各1本の信号線でデータをやりとりする簡素な通信方式への移行案でした。

シリアル通信そのものは古くからありましたが、ハードディスインターフェイスでは基準となるクロック周波数を少なくともATAやSCSIと比較して8倍は高くせねばならず(※実際にはオーバーヘッドがあるので、さらに高速での動作が必須です)、高周波信号を通すため回路のノイズ対策を厳重に行わねばならないのですが、先に挙げたクロックスキューの問題が原理的に発生しないため、基板レベルでは従来方式と比較して設計を大幅に簡素化しつつ高速化できます。

また、ドライブとインターフェイスの間が1対1の接続となるため接続ケーブルの本数が増えますがケーブルが大幅に細くなり、SATAとSASはATAやSCSIと比較してケーブルの取り回しが格段に楽になる、というメリットがあります。

そうした事情から、ATAの後継としてまずSerial ATA Revision 1.0が2000年に、それからやや遅れて2003年にUltra 320 SCSIの後継としてSAS(Serial Attached SCSI)-1.0が、それぞれ制定されました。

最後のSCSIであるUltra 320 SCSIの規格化が2000年ですからSASはSATAと比較して1世代遅れに見えますが、これは使用条件の厳しいSCSIはその時点では無理にシリアル化をする必要が無かったためです。

SAS ハードディスクドライブ(上)と
SATA ハードディスクドライブ(下)
SATAドライブでは電源コネクタ(左下)とSATAコネクタ(左中央)が分離しているが、SASドライブではこれら2つのコネクタが一体化した専用コネクタを採用する。また、このコネクタはSATA用コネクタケーブルが物理的に挿せない形状で、互換性のないSATAインターフェイスに誤ってSASドライブが接続されるのを予防している。

ちなみにSASではSATAの物理的な回路設計を流用しつつ、SCSIの通信プロトコルを組み合わせて構成されており、そのためSASインターフェイスでは下位互換としてSATAドライブの接続がサポートされます(※逆にSATAインターフェイスでは高機能なSASドライブは動作しません)。

SCSI時代にはATAドライブを混在接続できませんでしたから、これは使い勝手の面で大きな進歩でした。

SATAとSASはそれぞれ何度か規格の拡張が行われて速度が向上し、2014年現在も幅広く利用されています。

(次回、『直接接続への回帰』へ続きます)

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