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連載:IT因縁話「VGA≠画面解像度(5)~IBMによるハードウェア支配の終わり~」

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by [2014年4月04日]

現在、「VGA」や「XGA」はパソコンに限らずタブレットやスマートフォンなどでも画面解像度を指す言葉として広く用いられています。

▼連載目次▼
はじまりはMDA・CGAから
PC/ATのために開発されたEGA
PS/2と共にデビューしたVGA
IBM PCでの日本語対応
IBMによるハードウェア支配の終わり
▲目次▲

IBMによるハードウェア支配の終わり

IBMによる標準グラフィック機能の掉尾を飾るのが、1990年にPS/2用として発表されたXGA(eXtended Graphics Array)です。

IBM PC向け各グラフィックカードの画面解像度比較図
XGAは既存全規格を上回るか同等の解像度を実現した。

VGA上位互換、かつVGAと同時期に発表された8514/A(※他のグラフィックカードとの互換性を一切持たない特殊な規格で、1024×768ピクセル表示対応)との互換性も確保したこの規格は1024×768ピクセル、256色表示と縦横比をVGAと同じ4:3に保ったまま解像度を高めたため、高速描画の必要からPS/2固有のMCA(Micro Channel Architecture)バスに最適化して設計されました。

それ故、この規格はPC/AT互換機のISAバス対応カードとするのが難しいという問題を抱えていました。

しかも、MCA搭載のPS/2がIBM自身の政策ミスもあって不振に終わり、さらにSVGA(Super VGA)と呼ばれるWindows上では対応ドライバにより高解像度およびハードウェアアクセラレーション対応の独自モードで高速動作するタイプのVGA互換グラフィックコントローラ(およびそれに対応する32ビットローカルバス)が大流行するようになると、PS/2でしか動作せずWindows上では高速ではないXGAは瞬く間に駆逐され、多色化を図り更にISAバス対応も可能とした後継改良モデルのXGA-2も同様にほとんど普及せずに終わりました。

PS/2およびXGAの失敗はすなわちIBMがPCのハードウェアアーキテクチャの方向性を主導する力を喪ったことを意味しており、以後、グラフィックコントローラ市場はIBMの手を離れて各社の製品が乱立する戦国時代に突入しました。

もっとも、それでもBIOS起動およびDOSなどとの互換性確保の必要からそれらの製品でもVGA互換機能および対応ビデオBIOSの搭載が事実上必須となっており、中にはわざわざDOS互換のためだけにVGA互換コントローラを別途搭載したグラフィックカードさえありました。

さらに、IBMの影響力が失われた後、DOSの利用が激減するようになると、本来の定義が忘れ去られて640×480ピクセル・1,024×768ピクセルの画面解像度そのものが「VGA」・「XGA」と呼ばれるようになり、更にそれを敷衍してアナログRGB端子のことを「VGA端子」と呼ぶようにさえなってゆきました。

こうした変容は色々興味深い要素を含んでいるのですが、ともあれ、無数の互換機を生んだPC/ATのオリジネイターであったIBMが自社製グラフィックカードに付けた名称は、ある種の規格を示す語として今もなお生き続けているのです。

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