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連載:ITエロ進化論「コピープロテクトの攻防(3)~CD-R対策と誤爆との戦い~」

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by [2014年4月02日]

▼連載:ITエロ進化論「コピープロテクトの攻防」目次▼

  • アダルトビデオとマクロビジョン
  • 思いつく限りの手段が講じられたフロッピーディスクのプロテクト
  • CD-R対策と誤爆との戦い
  • オンライン認証の時代
  • 著作権法改正
  • ▲目次▲

    CD-R対策と誤爆との戦い

    フロッピーディスクはデジタルデータであっても磁気信号で記録する方式であったため、かなり乱暴な(非常に高度な)プロテクトが許容されていたのですが、CD-ROMの時代になると、CDのフォーマットがかなり硬直的な仕様であったことから、物理フォーマットレベルのプロテクトでできることには限界がありました。

    もっとも、初期には今のようにCD-Rが存在しなかった(※1988年の開発後、長らく対応ドライブが40万円~数百万円、記録メディアも1枚3000円以上と大変高価でした)ことから、「ソフトをCD-ROMに収録して販売する=一般には複製不能」と見なされていて、そもそもプロテクト自体が基本的にありませんでした。

    また、Windows 95のおかげで世間一般のパソコンにCD-ROMドライブが普及し、さらに家庭用ゲーム機でもCD-ROMドライブの搭載が一般化した1996年の時点でも、一部で通常は固定長のトラックごとのギャップを意図的に操作して複製を困難にする、といったプロテクトの採用が音楽CDを中心に始まっていたものの、ゲームソフトのCD-ROMでは記録されるデータサイズの合計を650メガバイト以上とすれば(80分メディアの入手が困難かつ高価であったことから)それで十分プロテクトの役割を果たしていました。

    Plextor PX-R820Ti(上)
    SONY CDU948S(下)
    いずれも1998年頃に一世を風靡したCD-Rドライブ。PX-R820Tiは初期のSafeDiskのかかったCD-ROMをEDCが誤った状態のまま正確に読み込めた数少ないドライブの1つで、CDU948SはPlayStation用ソフトのマスタリング業務に用いられたことで知られる。

    CD-Rドライブと記録メディアが十分に低価格化し、書き込み速度も高速化して一般に普及し始めたのは1998年か1999年頃の話で、CD-ROMのプロテクトが話題になり始めたのもちょうどこの頃のことでした。

    CD-Rの時代の代表的なプロテクトとしては、ディスクの途中に意図して物理的な不良セクタを作る「リングプロテクト」、CD-ROMでエラー訂正のために付与されるEDCと呼ばれるデータをわざと誤ったものとし、標準的なCD-Rドライブで読み込ませると自動でEDCを「正しい値」に訂正して出力してしまう機能を利用し、「EDCが誤っていない=非正規ディスク」と判定するなどCD-ROMの仕組みをフルに悪用(?)したマクロビジョンの「SafeDisk」、それにわざと同じ番号のセクタを複数用意し、CD-ROMの複製で前から順番に読むと連続する2つの同じ番号のセクタの前の方だけ読み込んで後ろのセクタは無視されるのを利用してプログラム起動時にわざとセクタを後ろから読み込ませ、「飛ばされたセクタが存在しない=非正規ディスク」と判定する「AlphaROM」などがあります。

    ちなみにAlphaROMの手法はとある日本メーカー製のドライブで正規のディスクなのに正しく読み込めずプログラムが起動しない、通称「誤爆」という致命的な問題(※これはAlphaROMの開発元が韓国企業で、日本ではある程度普及していたそのメーカー製のドライブの挙動を知らなかったために起きたと伝えられています)が発生したこともありました。

    (次回、「オンライン認証の時代」へ続きます)

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