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連載:ITエロ進化論「コピープロテクトの攻防(2)~フロッピーディスクのプロテクト~」

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by [2014年4月01日]

▼連載:ITエロ進化論「コピープロテクトの攻防」目次▼

  • アダルトビデオとマクロビジョン
  • 思いつく限りの手段が講じられたフロッピーディスクのプロテクト
  • CD-R対策と誤爆との戦い
  • オンライン認証の時代
  • 著作権法改正
  • ▲目次▲

    思いつく限りの手段が講じられた
    フロッピーディスクのプロテクト

    ビデオテープのダビング防止はアナログ映像信号を扱う関係でデリケートな部分があったため、乱暴な手段を講じることが出来なかったのですが、違法コピーの横行に悩んだという点でアダルトビデオと同様、いやそれ以上にひどい状況にあったパソコン向けゲームソフトでは、製品を収めたフロッピーディスクの複製防止のためにありとあらゆる手段が講じられました。

    5インチ2Dタイプフロッピーディスク
    中央にクランプで固定するための大きな丸穴があり、その直下にデータ読み書き用のヘッドを接触させるための窓が開けられている。クランプ用丸穴の右に見える小さな丸穴が、ディスクの位置決めを行うためのインデックスホールである。

    フロッピーディスクでは通常、同心円状にディスク面を区切ってトラックと呼び、さらにそれを一定量ずつ区切ってセクタと呼ぶデータ記録構造を備えていて、OSごとに、そして記録メディアの種類ごとにそのトラックとセクタの配置が定められています。また、セクタの位置を正しく制御し、また知るためにディスクには必ずインデックスホールと呼ばれる穴が開けられていて、その穴の位置を基準にして回転角を制御することで所定のトラック・セクタにあるデータの読み書きを制御しています。

    ゲームソフトのプロテクトでは、そういったディスクフォーマットの仕様を出し抜いて「ディスクのデータをすべて正しく読み出させない」=「正しいディスクの複製を作らせない」ことに注力されました。

    例えば、ダミーのインデックスホールを複数開いて、コピーする際に本来のインデックスホールの位置を誤認させる、特定のフロッピーディスクコントローラ(FDC)やドライブにのみ備わっている機能を利用して「正しくない」長さのデータを書き込んで通常ならば書き込まれている筈のデータを意図的に上書きして潰し、コピーの手がかりをなくしてしまう、あるいはFDCのチップそのものに発見されたバグを悪用して、通常は利用しない領域をイレギュラーな形にフォーマットし、そこを読み出そうとしたらFDCが誤動作して読み出しそのものがフリーズしてしまう、などよくもここまで悪辣な方法が思いつくものだ、と感心してしまうような手法が次々に考案・実用化されてゆきました。

    さらに、ソフトウェアによるプロテクト破りに対する最終的な手段として、書き込みに使うドライブやパソコンそのものをハードウェア的に改造し、回転数やドライブの制御信号を通常とは異なる状態にして書き込むことで、通常のパソコンを使う限り絶対に正しく複製できないディスクを作りソフト起動時などにそのディスクの状態をチェックする、ということまで行われました。

    もっとも、こんな面倒な方法を採っていたのではディスクのデュプリケートは大変な手間が必要で、そこまでしても「物理的にディスク面に記録されている磁気信号をそのまま別のディスクに複写する」ハードウェア的なコピー手段を完全に防ぐのが難しく、さらに「プロテクトをチェックするプログラムを改変され無効化されてしまえばどうしようもない」(※この傾向は一般的なOS上でゲームが動作するようになり、ハードディスクにデータやプログラムをインストールしてゲームを動作させるようになるに従い、急速に強まりました)という問題もあったのですが、専用のコピーツール(※当時の著作権法では合法扱いでした)を使わねば正しい複製が作れないことで、これらのコピープロテクトにはそれはそれでコピー防止に一定の効果がありました。

    (次回、「CD-R対策と誤爆との戦い」へ続きます)

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