ステッカー_50mmx50mm3-672x372

石川温氏「MVNOとSIMフリー、2014年のスマホ業界動向」【ABC2014 Spring】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

by [2014年3月25日]

スマホ・ケータイジャーナリスト石川温氏

3月21日、秋葉原UDXにて国内最大級のAndroid祭典「Android Bazaae and Coference 2014 Spring ANDROID REBONE」が開催された。石川温氏による講演、「MVNOとSIMフリー、2014年のスマホ業界動向」をお伝えする。

ツートップ戦略の失敗がメーカーの意識をSIMフリーへ向けさせた


2013年夏、iPhoneを持たないドコモはXperiaとGalaxyを推す「ツートップ戦略」を掲げた。その結果、ソニーとサムスンは短期的には売れたものの、差別化戦略が契機となり、その他の日本メーカーであるパナソニック、NECカシオはスマホ事業撤退を余儀なくされた。また、冬商戦ではiPhoneの登場により、「ドコモのオススメ3機種」が数十万の在庫を抱えるという事態に陥った。ドコモとメーカーが手に手を組んで歩んで進めてきた販売戦略が破綻し、メーカーが「キャリア離れ」を引き起こした。従来のようにキャリアの戦略に合わせて端末を供給する姿勢から、キャリアに縛られないSIMロックフリー端末を供給する姿勢に切り替わりつつある。

キャリアに裏切られたメーカーの戦略

実際に各メーカーの幹部にSIMフリーについて話を聞いてみた。

Xperia Z Ultraなどのファブレットを持つソニーモバイルは、「SIMフリーについては勉強中」と言うにとどまった。ブランド力や販売網、ユーザーサポート体制といった面からSIMフリービジネスに最も向いていると思われるソニー。もう一歩SIMフリー端末に踏み込むとSIMフリー業界も盛り上がりそうだ


一方、京セラはSIMフリー端末(TORQUE)を既に出している。法人向けの端末であり、非常に高価な端末ではあるものの、個人からの問い合わせもあるようだ。SIMフリーの取り組みは一般大衆向けとしては難しいかもしれないが、法人向けビジネスとしては可能性は十分にあるのではないだろうか。


一般向けのスマホから撤退したパナソニックは、法人向けにTOUGHPADをSIMフリー端末で用意している。今後はそれ以外の機種もSIMフリーで積極的に復活させたいと語っている。


日本では一部のコアなファンがいるのみに留まっている韓国メーカーは、SIMフリー端末で日本でのブランドを構築していきたいようだ。

進まぬMVNO




キャリアと契約を結ばずに、キャリアとの2年契約や、それに伴う割賦期間を気にせず、用途によってはキャリアより通信費を抑えることのできるのが、SIMフリーの魅力の一つである。実際、昨年は格安プランを提供する会社も増えた。音声付プランも増え始め、専門メディアのみならず一般メディアにも取りあげられている。ブームはたしかに起きそうである。しかし、現状の日本のMVNO市場は日本のスマホ市場の8%程度であり、しかもその8%の内の半分はキャリアの提供するMVNOであり「本来のMVNO」の市場規模は全体の4%程度でしかない。ただ、総務省がMVNO市場の活性化を積極的に支援しており、国レベルでの支援がMVNO市場の盛り上がりに一役買うことを期待したい。

海外のSIMフリー事情に日本の未来を読む

SIMフリーの普及が進んでいる海外と比較してみると、SIMフリーの活性化で今後、日本がどう変わり得るのか読めてくる。

アメリカのラスベガス空港やロシアのモスクワ空港では、自動販売機でSIMフリー端末を購入することができる。また、アメリカの家電量販店では、SIM端末とプランのセット販売が主流であり、iPadでのプリペイド契約もオンラインで容易に完結する。


ドイツではT-MobileのSIMカードが入っていればweb起動時にプラン契約画面が開かれ、オンラインで契約が完結する。スペインではキャリアショップでMVNOのSIMフリー端末を販売や追加チャージも可能である。

上海では日本の企業が独自に日本人向けのプランを提供しており、日本人にとってはSIMフリーが整備されている。上記のどの国でも日本と比べて非常に手軽で、かつ使いたい時に使いたい量だけ契約できる。日本と同様に本人確認が厳しい韓国においても、なんとか日本人でもSIMカードを買えるようになってきた。ソチオリンピックでは現地キャリアのMegafonが2014ルーブルで一週間LTEを無制限で使える特別SIMといった展開も行われた。オリンピックといった臨時イベントにおいてもSIMフリーが活躍している。海外は非常にフレキシブルだ。

日本のMVNO市場拡大における問題点


日本のMVNO市場拡大における最も大きな問題は、キャリアが現在も行っているキャッシュバックである。実質的にキャリア端末がかなり安く買えるため、数万円もするSIMフリー端末の購買意欲は喚起しづらい。


SIMカード購入時の本人確認が厳しいことも問題である。SIMフリー端末の良さを実感してもらうためには、手軽にSIMカードを購入できる環境を整えることが重要である。


また、技適マークの緩和も重要である。日本では技適マークのない海外のSIMフリー端末が使えないからだ。


ドコモが一社体制でSIMカードを提供している現状も問題である。KDDIやソフトバンクもSIMカードを出し、価格競争の結果魅力的なプランが出てくることを期待したい。NTTドコモグループの禁止行為規制もMVNO普及の上で弊害である。

※編集部注
NTTグループでは特定のMVNOと協業することができないという規定があり、そのためディズニーモバイルなどはMVNOになれず、ブランド使用のライセンスを端末に付与する形になっている。端末にディズニーのサービスをセットして販売することができない。また、全てのMVNOに同じ条件で回線を貸すという規制もあり、海外のように子会社MVNOを設立して低廉なプランを提供することはできない。しかし、総務省で情報通信審議会が4月に行われる予定であり、低廉なプランが実現すればSIMフリー端末が活性化されることが予想される。

iPhone時代の終わりと2014年のスマホ業界動向


iPhoneが3キャリア体制になり、iPhoneでは他のキャリアとの差別化が難しくなった。また、iPhoneのMNPキャッシュバックが経営を圧迫しはじめている現状を考えると、「iPhone6」の販売のタイミングで各社ともiPhoneから引いたスタンスへ移行することもありうる。


ソフトバンクではドコモのiPhone参入をうけ、孫社長がAndroidでの差別化を進めているようだ。アメリカから買収したSprintとともにXperiaシリーズなどのAndroidのラインナップを充実させていくだろう


一方、KDDIではFirefox、Android、iOSの3つのOSをバランス良く扱うトレンドがある。Androidでは定番となっているGalaxyやXperiaなどの機種は勿論扱い、LGのG Flexなどのギークな機種も扱う流れだ。Firefox OSに関してはKDDIの得意とするデザインモデルINFOBARシリーズに投入する噂もある。


今年の夏商戦は、ドコモとKDDIはLTE回線で音声通話を実現するVoLTEを、KDDIは更にWiMAX 2対応モデルを投入し、ネットワークの強化が一つの争点になるだろう。ソフトバンクはSprintと共同で端末を調達することができれば、取り扱う機種のメーカー数が増えるだろう。SamsungのGear 2やGear fitなども発表され、今後はウェアラブルデバイスの動向にも注目していきたい。

コメントは受け付けていません。

PageTopへ