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連載:ITエロ進化論「入力操作を巡る葛藤(2)~意外と使いづらかったジョイパッド~」

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by [2014年3月25日]

▼連載目次▼
煩雑だったキーボード
意外と使いづらかったジョイパッド
事実上の標準入力機器となったマウス
思わぬ操作性を発揮したトラックボール
可能性の封じられたタッチパッド
▲目次▲

意外と使いづらかったジョイパッド

パソコンの入力機器としての歴史で見ると、ジョイパッド(および同一の入出力インターフェイスを利用するジョイスティック)はキーボードに次ぐ歴史の古さを持っています。

しかし、少なくとも筆者の確認できた範囲ではいわゆるアダルトゲームの入力機器としてジョイパッドが利用されたケースはきわめて少数派です。

これは、ジョイパッドの構造的な特徴が災いしたと考えられます。

というのも、ジョイパッドの方向ボタンは一部のアナログ入力対応ジョイパッド/スティックを別にすると単位時間あたりの移動量がおおむね固定されていて正確な移動量コントロールが要求されるアクションゲームやシューティングゲームには好適な反面、意図したタイミングである程度不正確でも素早く移動操作を行うことが求められるシミュレーションゲームやある時期以降のアドベンチャーゲームの操作にははなはだ不向きだったためです。

SEGA Saturn PAD
家庭用ゲーム機のSEGA Saturnに標準添付されたジョイパッド。対戦格闘ゲームやシューティングゲームでは抜群の操作性で定評のあった機種だが「ギャルゲー」のプレイにはやや不向きで、そのため純正でマウスが用意された。

これを裏付けるように、ジョイパッドを標準入力デバイスとする家庭用ゲーム機、中でもアダルトゲームの移植作品を含め、いわゆる「ギャルゲー」が多数リリースされた日本電気ホームエレクトロニクスのPC-FXやセガ・エンタープライゼスのSEGA SATURN、それにDreamcastなどではオプションとしてマウスが提供され、そうした「ギャルゲー」ではほぼ例外なくマウス入力に対応していました。

つまり、ハードウェアメーカーもソフトハウスも共にこの種のゲームでのジョイパッド利用があまり快適なものではない、と見なしていたということになります。

NEC PC-9801-26K
PC-9800シリーズ用FM音源搭載サウンドボード。ATARI規格ジョイスティックポートを2基搭載する。

また、そうした「ギャルゲー」の移植元となったパソコン向けアダルトゲームの事実上の標準プラットホームとなっていた日本電気のPC-9800シリーズでは、ジョスティックインターフェイスは基本的にFM音源搭載のサウンドボードのおまけ機能の一つとして提供されていて、標準インターフェイスではなかったことも重要な意味を持っていました。

加えて、98のサウンドボードではサードパーティ製品を中心にそうしたインターフェイスを非搭載の機種が少なからず存在しており、更に言えばFM音源機能を標準搭載した98本体はジョイスティックインターフェイスを搭載しないか、しても専用のオプションケーブルが必要な機種がほとんどだったのです。

基本的にこの種のゲームでは標準搭載されていないインターフェイスに対応するのは「ついで」でしかありませんから、実際にもいわゆる98DOSエロゲーでジョイパッド/ジョイスティック操作に対応していたのは、そうしたサウンドボードのFM音源によるサウンド再生機能をサポートしたごく一部のタイトルに限られました。

(次回、「事実上の標準入力機器となったマウス」へ続きます)

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