5インチ2Dタイプフロッピーディスク中央にクランプで固定するための大きな丸穴があり、その直下にデータ読み書き用のヘッドを接触させるための窓が開けられている。クランプ用丸穴の右に見える小さな丸穴が、ディスクの位置決めを行うためのインデックスホールである。

連載:ITエロ進化論「コピープロテクトの攻防(1)~アダルトビデオとマクロビジョン~」

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by [2014年3月31日]

何故かは知りませんが、アダルトコンテンツはゲームにしろビデオにしろ、いわゆる違法コピーが後を絶たないジャンルの一つです。
そこで今回はアダルトコンテンツのコピープロテクトについて考えてみたいと思います。

▼連載:ITエロ進化論「コピープロテクトの攻防」目次▼

  • アダルトビデオとマクロビジョン
  • 思いつく限りの手段が講じられたフロッピーディスクのプロテクト
  • CD-R対策と誤爆との戦い
  • オンライン認証の時代
  • 著作権法改正
  • ▲目次▲

    アダルトビデオとマクロビジョン

    アダルトビデオの普及がビデオ規格戦争におけるVHS方式の勝因の一つに数えられたことでも明らかなように、1970年代後半から1990年代にかけて主にVHS方式のテープに記録され、市場に供給されたアダルトビデオ群は、社会的にも無視の出来ない規模を持っていました。

    しかし、ビニ本と呼ばれるアングラなアダルト書籍が、出所不明なるが故に無断で複製された海賊版の横行する無法地帯であったのと同様、アダルトビデオもまた同様に違法な海賊版が横行していました。

    ダビングのできるビデオテープはビニ本と比較すれば格段にお手軽に海賊版が作れるようになったと言え、実際にもアダルトビデオではその出現以来記録媒体がDVDやBDに移行した現在に至るまで海賊版対策が深刻な問題となり続けています。

    アダルトビデオなどで冒頭に表示される警告文の例
    18歳未満視聴禁止の警告文とセットで表示される場合が多い。

    そのため、ビデオ冒頭に警告文を表示する、あるいはそれに付け加えて海賊版通報制度を用意する、といった対策も採られたのですが、ビデオテープ時代の後半にはダビングそのものを封じる手段が模索されるようになりました。

    この方法論で最終的に主流となったのが、マクロビジョン(※同名の企業が開発)と呼ばれる技術です。

    通常、NTSCの映像信号は画面の色情報を示す色信号、明るさを制御する輝度信号、そしてそれらの信号を区分する水平ブランキング期間と呼ばれる時間帯に搬送される、水平同期信号および色信号を復調する際に用いるマスタークロックとしてのカラーバースト信号、そして1フィールド単位で挿入される垂直ブランキング期間に搬送される垂直同期信号によって構成されています。

    マクロビジョンが行っているのは、ブランキング期間に意図して正常ではない信号(スクランブル信号)を混入させ、テレビなどで表示する分には問題はないものの、映像信号の入力レベルを一定に保つためにAGC(Auto Gain Control:自動利得制御)と呼ばれる機能が搭載されているのが一般的なビデオデッキで録画しようとすれば同期タイミングの取得に失敗する、あるいはAGCが入力レベルを誤判定して正常な映像信号が得られないようにする、という手法です。

    つまり、この技術を用いると通常の家庭用ビデオデッキを用いてテープに記録されている映像コンテンツをダビングしようとした場合に、正常な再生ができないコピーができてしまうわけです。

    もっともこの技術は録画側デッキで同期信号が乱れたりAGCが誤動作するのがダビング防止の根幹ですから、再生側デッキから出力される映像信号の同期信号を一旦除去し、新たに「正しい形で生成して」出力してやれば無効化できることになります。

    デジタルTBCを搭載したD-VHSビデオデッキの例
    中央下に「DIGITAL TBC」の文字が示されている。この機能を搭載したビデオデッキでは、マクロビジョンの技術によるコピープロテクトが無効化されるケースが多かった。

    実際にも、「画質改善」用信号安定化装置などと称してマクロビジョン(および類似の同種技術)を解除してしまう装置が複数市販されていたものでした。また、市販の一般向けビデオデッキでも末期に登場したデジタルTBC(Time Base Corrector:時間軸基準補正)機能を搭載するS-VHS/D-VHSデッキなどを用いれば、画像ノイズ除去の「ついで」にマクロビジョンで追加されたスクランブル信号も除去されてしまう、という問題がありました。

    そのため、市販DVDソフトでは現在もなおこの技術がアナログ出力経由でのダビングに対するコピーガードの手段の一つとして採用されている(※パソコンのビデオキャプチャーカードやDVD/BDレコーダーでも多くがこの種の信号を検出すると録画を停止するようになっています)ものの、カジュアルなダビングの防止には役だっても重度のマニアや業者によるダビングの防止にはあまり役立っていなかったりします。

    (次回、「思いつく限りの手段が講じられたフロッピーディスクのプロテクト」へ続きます)

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