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連載:IT因縁話「ビデオ信号が決めたCDのスペック(3)~デジタルインターフェイスもビデオに縛られた~」

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by [2014年3月19日]


前回から引き続き、連載「ビデオ信号が決めたCDのスペック」をお送りします。

連載目次:「ビデオ信号が決めたCDのスペック」
1.PCMという記録方式
2.テレビ放送に由来するサンプリング周波数
3.デジタルインターフェイスもビデオに縛られた(今回の記事)
4.ソニーが死守した量子化ビット数 14ビットでも16ビットに負けなかったフィリップスのDAC
5.革命となった1ビットDAC

デジタルインターフェイスもビデオに縛られた

ちなみに、CDのマスタリング作業では初期にはCD開発元の1社であるソニーの開発しPCM-1610・PCM-1630というPCMプロセッサを利用し、同じくソニーの開発したビデオ規格であるUマチックという規格のデッキで記録したテープをCD工場に提出するのが一般的でした。

つまり、この時代に制作されたCDはほぼ例外なくPCM-1610ないしはその後継機種であるPCM-1630を経由した音声信号が記録されているということで、1980年代後半にはそれが音質に一定の傾向をもたらしていることに気づいたビクター音楽産業(同社はケンウッドと組んで1987年に「K2 TECHNOLOGY」と総称される高音質化技術を開発しています)をはじめとする日本のレコードメーカー各社により、PCM-1630の信号変換部に手を加えて音質向上を目指す技術開発競争が起きたりしたものでした。

SPDIF入出力端子の例
右側に並んでいる内側がオレンジ色のRCA同軸(COAXIAL)端子のインピーダンスは75オームで、アナログビデオの映像入出力端子と全く同じ電気特性を備え、ケーブルの流用も可能である。

話を元に戻すと、このPCM-1610/1630とUマチックレコーダの間では、NTSCの映像信号という形で信号線が(3本のBNCケーブルを用いて)接続されていました。

一般にNTSCの映像信号は特性インピーダンスが75オームのケーブルを用いて伝送されますが、これらのPCMプロセッサとビデオデッキ間の接続でもこの規格が当然のごとく流用された結果、SPDIF(Sony Philips Digital InterFace)と名付けられた民生機器用の、あるいはAES/EBUと呼ばれる業務機器用の汎用デジタル音声信号インターフェイス規格でもこのインピーダンス値はそのまま踏襲されています。

CDのマスターとなる録音データの作成にビデオデッキを利用したことが、こんなところにまで影響を及ぼしているのです。

(次回、「ソニーが死守した量子化ビット数 14ビットでも16ビットに負けなかったフィリップスのDAC」に続く)

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