MUSIC_CD

連載:IT因縁話「ビデオ信号が決めたCDのスペック(1)~PCMという記録方式~」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

by [2014年3月17日]

1982年に最初の製品が発売されて以来、今もなお世界中で広く使用されているコンパクトディスク(CD)。

このCDではサンプリング周波数44.1kHz、量子化ビット数16ビットの音声データが2トラック(ステレオ)で収録され、容量にして最大で700メガバイト程度の収録を可能としています。

これらの仕様は1982年の最初のCDプレーヤーであるソニーのCDP-101が発売された時から現在まで全く変わっていません。

今回はそうしたCDの仕様決定に至るまでの背景と、規格制定と周辺技術開発で中心的役割を果たしたソニーとフィリップスの動きを見ていきたいと思います。

▼連載目次:「ビデオ信号が決めたCDのスペック」▼
1.PCMという記録方式(今回の記事)
2.テレビ放送に由来するサンプリング周波数
3.デジタルインターフェイスもビデオに縛られた
4.ソニーが死守した量子化ビット数 14ビットでも16ビットに負けなかったフィリップスのDAC
5.革命となった1ビットDAC
▲目次▲

PCMという記録方式

PCM方式の概念図
PCM方式では赤線のような波形の音声信号が入力されると、サンプリング周波数で区切られた時間ごとに信号の強弱を量子化ビット数としてデジタル化する。

CDの基礎となるのがはPCM(Pulse Code Modulation:パルス符号変調)という波形データのサンプリング技術です。

これは時間軸方向の分解能(サンプリング周波数)と音の大きさ(量子化ビット数)によるXY軸のグラフの上に音声信号波形をプロットし、ある時間にどれだけの音の大きさであったかというサンプリングデータの形で音声信号を記録する方式です。

つまり、この方式では理論上サンプリング周波数と量子化ビット数は大きければ大きいほど元の音声信号により近い、つまり原音により近い再生音が得られます。

そのため、CDの後で誕生したPCM方式による音声記録メディアではDAT(サンプリング周波数48.0KHz 量子化ビット数16ビット)そしてDVDオーディオ(サンプリング周波数96.0KHz(5.1ch)/192.0KHz(2ch) 量子化ビット数24ビット)と基本的に後で誕生したものほど記録媒体の容量が増えているためもあって、サンプリング周波数や量子化ビット数が大きくなっています。

このことが示すように、CDのフォーマットは現在の目で見れば音質的に決して十分なものではありません。

特にサンプリング周波数の値から一般に可聴域の上限とされる22KHzをサンプリング可能な周波数帯域の上限値とした結果、「耳には聞こえないが実際には音質に影響する」周波数帯域の音声信号がカットされているため、特にそうした周波数帯域の上限を定めていないLPレコードと比較して(利便性の高さは圧倒的で、読み取りが非接触方式でエラー訂正機能もあるためプチノイズが発生しにくいという大きなメリットはあるものの)音質が必ずしも良くない、と評価されています。

こうしたCDのフォーマットは開発当時の技術的な制約から定まったものですが、それでは具体的にどのような制約があり、どうやって現在の値に定まったのでしょうか?

(次回、「テレビ放送に由来するサンプリング周波数」に続く)

コメントは受け付けていません。

PageTopへ