D-SUB 3列15ピン アナログRGBコネクタ1987年のIBM PS/2(およびそれに標準搭載されたVGA)より採用された、アナログRGBコネクタ。15ピンあるが予約ピンも多く、映像信号そのものは垂直同期・水平同期・R・G・Bの5本(およびそれぞれのグラウンド線)で事足りた。なお、この画像では後ろの緑色の基板上で配線パターンが波打っているが、これはRGBそれぞれの信号線長を可能な限り同一とし、伝送遅延で画質低下が起きるのを防ぐための配慮である。

連載:ITエロ進化論「アナログRGBで肌色を!(1)~そもそも色の数を増やさねばならなかった~」

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by [2014年3月10日]


今更取り立てて強調するような話でもないのですが、アダルトコンテンツで最も重要な要素の一つに、動画・静止画の発色があります。

わかりやすく言ってしまうと、アダルトコンテンツでは「女体の肌色が自然かつ綺麗に、できれば艶っぽく見える」ことが重要なのです。

そこで今回は、この画像の発色を司る技術とアダルトコンテンツの関わり合いについて見てみることにしましょう。

▼連載「アナログRGBで肌色を!」目次
1.そもそも色の数を増やさねばならなかった(今回の記事)
2.アナログRGBの罠
3.必ずしもエロに最適ではなかった高画質グラフィックカード
4.突出した性能は出なくとも エロ最強だったATIのRageシリーズ
5.3D最強もエロ最強ではなかった
▲連載目次▲

そもそも色の数を増やさねばならなかった

以前の記事でも少し触れましたが、黎明期のパソコンでは表示可能な色数は非常に厳しく制限されていました。

これは端的に言ってしまうとグラフィック表示に必要なメモリ(VRAM)が高価で、おいそれと搭載量を増やせなかったためです。

Canopus
Power Window 928 II LB
1990年代前半に販売されていたPC-9821シリーズ用グラフィックボード。左側にずらりと16個並んだデュアルポートDRAMによりVRAM容量2メガバイトを実現した。

同じVRAM容量の枠内では画面解像度と色数がトレードオフの関係、つまり解像度を高くすれば表示色数が減り、解像度を低くすれば表示色数が増える、という関係にありますから、初期にはカラー8色どころかモノクロ2値という機種すら珍しくありませんでした。

1990年代前半頃までは汎用DRAMのアクセス速度が遅かったため、解像度・色数を増やすにはVRAMとしてデュアルポートDRAM、つまり通常のデータ読み書きと(ディスプレイ出力のための)読み出しを同時に行えるメモリチップを利用する必要がありました。

しかし、このメモリは構造複雑で容量が小さく高価で、コストと基板面積の両面で同時発色数や解像度の向上が難しかったのです。

このデュアルポートDRAMの全盛期は1995年頃まで続きましたが、こうした理由からこの頃のパソコンではVRAMは2メガバイト搭載が一般的で、高解像度とフルカラー表示が両立しないことも珍しくありませんでした。

色数が増えると伝達方法も変わる

画面表示の色数が少なかった時代はデジタルRGB出力という形で、画像信号をデジタルデータのままCRT(いわゆるブラウン管)の回路に伝達していました。

これは原理的に今のデジタルディスプレイ接続規格の先祖に当たる技術なのですが、当時の信号伝達技術ではデジタルデータのまま8色以上の色情報を伝えるのは困難でした。

なぜなら、この時代の技術ではデジタルデータを信号のオン/オフで表すしかなく、色数が増える=信号伝達に用いる信号線が増える、であったためです。それゆえ2のn乗色表示でn本の信号線が必要となり、そうした単純なデジタル伝送のままでいわゆるフルカラー(16,777,216=2の24乗色)表示をしようと思うと計算上24本もの信号線が必要でした。

D-SUB 3列15ピン アナログRGBコネクタ
1987年のIBM PS/2(およびそれに標準搭載されたVGAカードアダプタ)より採用されたアナログRGB出力のためのコネクタ。映像信号そのものは垂直同期・水平同期・R・G・Bの5本(およびグラウンド線)で事足りた。

さすがにこれはコスト的に大変で、また色数が増えるたびにコネクタの信号線本数も増えるというのはディスプレイケーブル/コネクタの下方互換性維持の観点で問題がありました。

そこで考え出されたのが、アナログRGB信号による信号伝達への移行でした。従来オンとオフだけで伝えられていた信号を、オンとオフの間で段階的に電圧を変えることで信号線の本数を増やさずにより多くの色情報を伝えることができるようになったのです。

この方式は1980年代中盤以降、21世紀に入ってシリアル通信技術を利用したデジタルRGBへ移行するまで約20年に渡りパソコンでは標準的に利用され、現在もいわゆるVGA端子として利用されています。

(次回、『アナログRGBの罠』へ続く)

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