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連載『bitcoinに迫る!』第6回 ~bitcoinはどうやって使うのか~

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by [2013年12月19日]

前回の記事ではbitcoinがどこで使えるのか、について考えました。今回はbitcoinをどうやって使うのかについて考えてみたいと思います。

まずはbitcoinの入手から

何らかの取引の際に支払い手段としてbitcoinを使用したい、と考えた場合にまず立ちはだかるのが、そもそもbitcoinをどうやって入手するか、という問題です。

GUIMiner
bitcoinのマイニングに使用されたソフトの一例。かつては、一般的な利用者の保有する「そこそこ」以上のスペックのパソコンでこうしたソフトを走らせれば、それなりの数のbitcoinを得ることができた。現在では、この種のソフトをパソコン上で走らせてもその演算に伴う消費電力に見合った枚数のbitcoinを得ることはできない。

bitcoinのネットワークが稼動を始めてすぐの2010年~2011年頃であれば、ユーザーの所有するパソコンでも(高速なCPUあるいはGPGPUとしての動作に対応する、ハイエンドクラスのユニファイド・シェーダー内蔵GPUが搭載されていれば)一定時間マイニングソフトをそのパソコン上で走らせていればそれなりの枚数のbitcoinを入手できました。

具体的に言えばマルチCPUコアかつ高速なIntelのCore i7クラスやXeonクラスなどのハイエンドCPUや、nVIDIAのGeForce GTX480・GTX580、あるいはAMDのRADEON HD5870・HD5970・HD6970・HD6990といったハイエンドGPUを1枚ないしは複数枚挿したパソコン(※一般にはそうした構成のパソコンはゲーミングPCなどと呼ばれます)を持っていれば、ある程度の電力と時間を代償として、それはそれなりに結構な枚数のbitcoinを手にすることができたのです。

これに対し、2013年末の現時点では一般のユーザーがマイニングでbitcoinを入手するのは、その計算に必要となる電力(および時間)を勘案すると不経済に過ぎますし、また計算のための専用ハードウェアを揃えるとしてもそのためのコストが大きいため、正直全くメリットがありません。

端的に言って、最早個人が自前のパソコンでマイニングしてお手軽にbitcoinをゲットできるような状況ではなくなっているのです。

Mt.Gox公式サイト
世界最大のbitcoin交換所であることを謳い、日本円での銀行口座振り込みによる入金に対応する。

そのため、自分が行いたい取引に必要な枚数のbitcoinを入手するには、所定の交換手数料は必要となるものの、確実にbitcoinを入手できる交換所を利用するのが一番の早道となります。

そして幸いなことに、日本には世界最大のbitcoin交換所であるMt.Goxがサーバを設置しており、そこでは入金手段として(公的な身分証明書などの画像送信による認証が必要となるものの)Mt.Goxの開設している銀行口座への日本円での振り込みが選択可能となっています。

銀行を介さず金のやりとりができて手数料コストが低いことがメリットの筈のbitcoinでbitcoinへ換金する際に手数料のかかる銀行振り込みに頼らざるを得ないというのも結構皮肉な感じがしますが、現状ではこれが最も手っ取り早いbitcoinの入手方法となっています。

Mt.Goxでの新規アカウント作成
bitcoinを交換するにせよ支払うにせよ、まずはbitcoinのウォレット(財布)を持たねばならない。日本円との換金を考慮すると、円との交換に対応するMt.Goxでユーザー登録するのは手っ取り早い手段の1つである。

Mt.Goxのアカウント認証ダイアログ
一般的な通貨との交換を行うには、マネーロンダリング防止に関わる法律の制約などから、登録時に表示されるこのダイアログの指示に従って個人情報を入力し、さらに公的な身分証明書(写真付き)の画像データをスキャンしてMt.Goxに送信する必要がある。

何はなくともウォレットは必要だ

前節では詳しく触れなかったのですが、bitcoinを送金するにせよ、受け取るにせよ、利用するにはbitcoinそのものの情報を保持しておくための財布、つまりウォレットと呼ばれる仕組みが必要です。

Mt.Goxの送金ページ
他のウォレットなどに入金してあるbitcoinをMt.Goxのユーザー登録時に自動作成されたウォレットに送金する手段としてbitcoinアドレスとそれを示すQRコードが表示されている。他の仮想通貨でも多用されているが、QRコードとそれを撮影するための内蔵カメラのセットは、実店舗でbitcoinを利用可能とするための重要な鍵となっている。

基本的に交換所でユーザー登録をすると、このウォレットが作成されて固有のbitcoinアドレスと呼ばれるランダム生成の長い文字コード列が各ユーザーに与えられるようになっているのですが、bitcoin交換所の公式サイトなどではスマートフォンの内蔵カメラでQRコード(二次元バーコード)を撮影すればそれでbitcoinアドレスを入力できるようにしてあるのが普通で、この長い文字列そのものは意識しなくて済むようになっています。

なお、一般的に交換所のユーザー登録の際に用いるパスワードは登録したユーザー本人が亡失してしまうと、交換所サイドでも対処できないような実装になっていて本人が忘れてしまうと、どうにかして思い出さない限り本当にどうにもならないことが登録時などにくどいくらい警告されます。

なお、他の利用者からbitcoinを受け取る場合には、その利用者に対して自分のウォレットに与えられたbitcoinアドレスを伝える必要があり、また自分がbitcoinを送金する際には逆に送金先からその利用者のウォレットに与えられたbitcoinアドレスを連絡してもらう必要があります。

bitcoinでの支払い方法について開設したYOSA PARK 祝園(ほうその)西店のページ
ご覧の通り、顧客層を考慮してかbitcoinアドレスそのものは示さずQRコードのみを掲載しており、パソコンではなくスマートフォンやタブレット上からbitcoinを支払うことを前提としていることがわかる。なお、同店では12月より予約者にbitcoinをプレゼントするキャンペーンを実施することが告知されている。

前回の記事で京都府のYOSA PARK 祝園(ほうその)西店なるエステサロンでbitcoinでの支払いが可能になっている、という話を書きましたが、同店ではbitcoinにて支払う際にスマートフォンにQRコードを読み込ませる、という手続きが用いられています。

この、「QRコードを読み込ませ」るというのが正にお店のbitcoinアドレスを受け取って、お店のウォレットに送金できるようにする、というプロセスそのものだったのです。

つまり、実店舗でbitcoinを使用できるようにするには、このようにお客のスマートフォンなりパソコンなりに店のウォレットのbitcoinアドレスを伝え、そのアドレスへ請求額を入金させて実際に入金させたかどうかを確認する、というプロセスが確実に行えるようにせねばならない、ということになります。

この部分の手続き処理に必要な時間がクレジットカードの与信確認に必要な時間と同程度で済んで、かつお客が行わねばならない操作を最低限に簡素化できれば、bitcoinの実店舗利用の普及も急速に進むことでしょう。

おつりの出ないbitcoin

さて、こうやってbitcoinを調達し、実際に支払う段までできるようになったとして、最後に残るのが、「請求額ぴったりに支払うにはどうすれば良いのか」という問題です。

そもそも、bitcoinにはドルに対するセントのような補助貨幣の単位が存在しません。

無論、一般の貨幣でも日本の円のように補助的な単位のない(※かつては「銭」が用いられていましたが、現在ではこの単位は株式取引市場などで端数計算のために慣習的に用いられているのみで、実際の貨幣としては流通していません)ものも存在しますが、その場合はその貨幣の最小単位の価値は補助的な単位の存在する貨幣の基本貨幣1単位と比較して低く設定されているのが一般的(実際に円はドルとの為替レートで現在1ドル=100円前後で取引されていて、100倍前後の差が存在しています)です。

bitcoinにはこうした補助貨幣が存在せず、またその価値が大きく変動する可能性があって今や1枚のbitcoinの価値は当初とは比較にならないほど増大しているわけですが、となると取引の際にちょうど求められた価額を支払うには、何らかの特別なメカニズムが必要となります。

2009年発表の論文「ビットコイン:P2P 電子マネーシステム(Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System)」にて示されたbitcoinの分割と結合の概念図
入力された複数のbitcoinを結合、あるいは分割を組み合わせて処理することで、適切な金額での送金を可能とする。

何事にも周到な中本論文がこの問題を見過ごすわけはなく、「価値の分割や結合」という節を設けて1枚のbitcoinを任意の必要な単位で分割可能なように設計されていることが示されています。

つまり、例えば0.999 BTCで商品を購入した際に手元に1 BTCのbitcoinしかないなら、内部処理的にその1枚のbitcoinを0.999 BTCと0.001 BTCの2枚のコインに分割して、0.999 BTCの方のコインを相手に送金すれば良い、という考え方が示されているのです。

これにより、取引の際に何の問題も無く適切な金額でのbitcoinのやりとりが可能となるわけです。

次回はbitcoinを支えるマイニングという行為とそのメカニズムについて考えてみたいと思います。

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