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連載『bitcoinに迫る!』第5回 ~bitcoinはどこで使えるのか~

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by [2013年12月17日]

前回の記事ではbitcoinの普及・流通がもたらすものについて考えました。今回はbitcoinがどこで使えるのか、について考えてみたいと思います。

リアルで使える店はまだ少ない

coinmap.orgで表示した日本周辺のbitcoin利用可能店舗の登録状況(2013年12月17日現在)
韓国で5店舗、台湾でも4店舗といった状況で、日本の11店舗はむしろ多い部類に入る。いずれにせよ実店舗でのbitcoin利用が過不足無く行えるというにはほど遠い。なお、日本の九州に2店舗表示があるが、これは共に日本円との交換所であり、通常の店舗ではない。

2013年末の現時点で、実店舗レベルで買い物などの支払いにbitcoinを利用できる店舗は残念ながら多いとは言えないのが現状です。

日本国外では1,925店舗でBTCの利用が可能となっているとされますが、世界の国の数が200弱であることを考えると、機械的に平均すると1カ国あたり10店舗強といったところで、これを「多い」と言い張るのは流石に無理があります。

日本の場合はcoinmap.orgで表示されている範囲で現時点で11店舗登録されています。

ただし、その内の5つはB-Chineseなる中国語教室チェーン(しかもbitcoinの対応は実質1校のみ)で、残る6つの内1つはWebコンサルティング企業、1つはエステサロン、1つは柔術道場、1つはレストランバー、1つはワッフルの店、そして最後の1つは登録されているアドレスにあったはずのWebサイトが閉鎖されているため実態不明、という状況となっています。

さらにワッフルの店(ワーフルハウス)はWebサイトで確認できる範囲では通販での利用についてしか記述がなく、現場で気軽に支払い可能なのは六本木のレストランバーと京都府のエステサロンの2店舗のみということになりそうです。

The Pink Cow
東京都港区六本木に店を構えるレストランバー。「日本で初、唯一のビットコインを導入しているレストランです! 」と自店サイトで謳う。

YOSA PARK 祝園(ほうその)西店
京都府相楽郡精華町にあるエステサロン。公式ページでスマートフォンからQRコードを読み込ませることでbitcoinでの支払いが可能となったことが案内されている。

Wafelhuis(ワーフルハウス)
兵庫県神戸市の阪急六甲駅近くにあるオランダ伝統のストロープワッフルの店。bitcoin決済では10パーセント割引が適用になることが告知されている。

中国語教室B-Chinese
飯田橋・池袋・新橋・新宿・神田と東京都内の概ねJR山手線沿線に展開する中国語教室。bitocoinでの支払いは神田校が代表窓口となっていることが案内されている。

筆者はもう少し日常的に使えるものかと思って調べていたのですが、予想以上の厳しい状況に正直驚いています。

それでも、ここ1ヶ月ほどで利用可能店舗数が倍増(※世界的に同じ傾向となっています)しており、今後急速に利用可能店舗数が増大することは期待できます。とはいえ、現在の「おサイフケータイ」サービスのような形で気楽に利用できるとは言えないわけで、そればかりかbitcoinの入手が「bitcoinを使う上で一番難しい」などと指摘される有様ですから、来年中に全国のスーパーマーケットやコンビニなどで利用できるようなレベルまで普及するか?と問われれば、それは難しい、と答えざるを得ません。

ネット上では少しずつ対応するサイトが増えている、

一方、元々低コストなネットワーク決済の手段として提案された、という経緯もあってか、インターネット上ではbitcoinでの支払いや寄付を認める事例が徐々に増えています。

これは、bitcoinがオープンソース(※自由な再頒布ができること、ソースコードを入手できること、派生物が存在でき、派生物に同じライセンスを適用できること、といった条件を満たすソフトウェア開発ポリシー。つまり、ソフトウェアを構成する各要素に秘密が一切無く、全て公開する、という方針を採ること)というスタンスを取っていることもあって、いわゆるBSD系UNIX互換OSであるOpenBSDやブログソフトウェアのWordPressなどのオープンソース・ソフトウェアの開発団体などが寄付の受付でこれまで多用されてきたPayPalに加えてbitcoinに対応するケースが特に目立って増えており、bitcoinの理念、あるいは開発思想に対する共感・共鳴、といういかにもハッカー文化的なスタンスでの普及が進んでいます。

OpenBSD Foundationがbitcoinでの寄付を承諾する決定をしたことを伝えるOpenBSD公式サイトの記事


WordPress.com日本語ブログ
WordPressの有料アップブレードをbitcoinで購入できるようになったことを案内している。

それでは、こうしたいわば身内あるいはシンパに相当するような団体などに属さない、通常の営利企業の場合はどうでしょうか?

アメリカでは自動車のランボルギーニ・ガヤルドやテスラモータースの電気自動車テスラ・モデルSの購入代金をbitcoinで支払った人が現れた、というニュースが出ていますが、通常の商取引でbitcoinが利用されるケースは、それこそSilk Roadのようなアングラ系で足が付かないことが重視されるようなケースを除くとやはり少数派です。

海外だとAndroid OSベースの家庭用小型ゲームマシンのOUYAの開発元が、製品(つまりOUYA本体など)の通販でbitcoin支払いに対応することを表明していますが、日本国内の物販系サイトでは、海外通販サービスを展開するRAKUNEW.comが11月28日にbitcoinによる決済サービスを開始したことを発表し、「国内企業のネット通販の支払いにbitcoinを使う」ことがようやくできるようになりました。

これが、自社のポイントサービスなどのしがらみの多いYahoo!や楽天ではなく、今年3月にベータサービスを開始したばかりの海外通販サービスであるRAKUNEW.comが先陣を切った、というところに国内在来企業のbitcoinに対する対応の鈍さが見て取れますが、先日の中華人民共和国政府による国内流通禁止決定で急落するなど、bitcoinにはレート変動の極端さという問題が表面化しており、現状では大手ほど導入に踏み切れないのも無理ないことかも知れません。

OUYA 公式ブログ
Android搭載家庭用小型ゲームマシンであるOUYA本体などの通販について、bitcoinでの決済に対応することを公表した。

RAKUNEW.comプレスリリース
海外通販サービスを行っているRAKUNEW.comは2013年11月28日に当日より商品代金の支払いにbitcoinが利用できるようになったことを発表した。

いずれにせよ、現状では満足に使えない

先にも述べたように、そもそもbitcoinそのものの入手が難事となっている現状では、オンラインでもオフラインでも、bitcoinを財やサービスの代価として使用するのは大変です。支払い以前の話として、そもそも払うべき通貨の入手に難渋するようでは、通貨そのものの普及など夢物語同然の話です。

中国で今月5日に政府が金融機関などに対し「人民元の法的地位を保障しマネーロンダリングのリスクを防ぐため」と称して事実上bitcoinの利用を禁じる通知を出した、というニュースがありました。ここしばらく中国国内でbitcoinが人民元に取って代わるほどの勢いで人気急騰したのは、ひとえにこの新しい通貨が資金流出を恐れる中国政府による極端な外国為替規制の影響を受けず、自由に海外と金のやりとりができた(=政府による規制の抜け道となった)ためでした。別に、北京のスターバックスでコーヒー代の支払いにbitcoinが使えるようになったために、中国人民がこぞってbitcoinに手を出したのではなかったのです。

恐らくここ数年で一番ヒートアップしていた中国でさえそのような状況でしたから、他国の状況は言わずもがなでしょう。最近話題になっているbitcoinのブームについては、そうした要素も十分検討する必要があります。

次回はbitcoinの使い方について考えてみたいと思います。

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