SHARP AQUOS SHOT SH-03D2011年12月発売のNTTドコモ向けフィーチャーフォン。今季の「ガラケー」新機種はこの時期の「ガラケー」各機種からの機種変更を行うユーザーが主な対象となる。

ガラケーは確かに生きている ~各社発表データに見るガラケーの現状~

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by [2013年10月31日]

SHARP AQUOS SHOT SH-03D
2011年12月発売のNTTドコモ向けフィーチャーフォン。今季の「ガラケー」新機種はこの時期の「ガラケー」各機種からの機種変更を行うユーザーが主な対象となる。

先日のガラケーは未だ死なず ~各社新モデルに見るフィーチャーフォンの傾向と対策~でもご紹介しましたが、今季の通信キャリア大手3社は揃ってフィーチャーフォン、つまりいわゆる「ガラケー」の新機種を各社2機種ずつ発表しました。

現在の携帯電話市場が実質的に端末のライフサイクルを2年周期としていることから考えると、これらは2011年秋冬に機種変更を行ったユーザーに対する代替機種の提供が主目的となります。

2011年秋冬といえば、NTTドコモが初のXi、つまりLTEに対応する音声通信端末であるGALAXY S II LTE SC-03Dなどを発売した時期で、スマートフォンの普及が本格化し始めた時期でした。

つまり、この時期にスマートフォンでは無く「ガラケー」をわざわざ選択・購入したユーザー、特にハイエンド機種を購入した人は、なにがしかの理由があってスマートフォンを避け、意識して「ガラケー」を選択したのだ、と断言してもよろしいでしょう。

サムスン GALAXY S II LTE
2011年11月に発売された、NTTドコモでは初のXi(LTE)通信に対応したスマートフォン。この機種以降、スマートフォンと「ガラケー」のデータ通信速度には決定的な差が生じることとなった。

そうした、言わば「筋金入り」の「ガラケー」ユーザーの多いこの時期の端末を所有するユーザーに対しては、キャリア各社の本音としては昨今積極展開しているスマートフォン乗り換え優遇施策を利用し、さっさと「ガラケー」から最新スマートフォンへ機種変更して欲しい筈です。

にもかかわらず、キャリア3社がわざわざ2機種ずつ新機種を用意し、再度「ガラケー」へ機種変更できるようにしたことから、この時期の「筋金入り」の「ガラケー」ユーザーたちがスマートフォンにほとんど乗り換えようとしていない、という状況が浮かび上がってきます。

コマーシャルベースでのアプリなどの販売実績を見る限りは、スマートフォンの勢いが圧倒的なのは最早疑う余地も無いのですが、キャリア各社が新機種を2機種ずつ用意してまで「ガラケー」ユーザーの乗り換え需要に配慮する状況を見ると、今この時、「ガラケー」は本当にただ衰退の一途をたどっているだけなのだろうか? と疑いたくなってきます。

そこで今回は、キャリア各社の発表する平成26年3月期 第1四半期決算短信から、「ガラケー」の「今」を探ってみることにしましょう。

au

「平成26年3月期第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」としてauが公表しているデータをみると、平成25年(2013年)3月期のau端末販売台数実績が、通期で合計1108万台、その内スマートフォンが811万台で、この時点で既にauから販売代理店に出荷される端末総数の約74パーセントがスマートフォンで占められていて、しかも各四半期単位で見るとスマートフォンの出荷台数が漸増しています。

このことと、auの契約数は全体で3560万~3770万程度で増加傾向にあることも合わせて考えると、少なく見積もっても2012年4月から2013年3月までの1年の間、auにはそれでもなお1000万を大きく超えるガラケーユーザーが契約していたと推測できます。

auがスマートフォンの提供を本格的に開始したのが2010年初夏でしたから、わずか3年ほどの間に全体の半分を大きく超える数のユーザーが「ガラケー」からスマートフォンへ移行したと推測できますが、それは裏返すとそのような状況でもなお、年間300万近いユーザーが機種変更でスマートフォンでない端末を選択・購入した、ということです。

そして、この購買傾向は現在に至るまで継続しています。

さすがに、漸減傾向にあるとは言え、このような年間300万もの大きな需要を無視して放置するのは商業的にできない相談で、この点でauには毎年「ガラケー」の新機種を複数発表するに充分な動機があることになります。

NTTドコモ

「平成26年3月期 第1四半期決算短信〔米国基準〕(連結)」としてNTTドコモが公表しているデータを見ると、auとは若干表記法などが異なるため同一条件での比較にならない部分もあるのですが、少なくとも1四半期の間にスマートフォン端末が335万台販売され、事実上スマートフォンのみが使用するLTEサービスの契約数がこの期間に1420万に達したことが明らかにされています。同期間のNTTドコモの携帯電話契約数の総数が6162万とのことですから、この時点でなお、およそ4700万以上もの3G端末の契約が存在していたことになります。

さらに、「ガラケー」以外の端末の存在する可能性が事実上ないiモードの契約数が同期間中で3069万となっていることから、この時点でNTTドコモの携帯電話サービスのユーザー総数のおよそ半分が、未だ「ガラケー」ユーザーであった訳です。

ちなみに、同時期の端末販売実績で見ると、携帯電話端末の販売総数が1四半期間で539万台、このうちXi契約が約328万台、FOMA契約が約211万台となっています。

Xi契約はLTE、つまり事実上スマートフォンのみで、FOMA契約も事実上「ガラケー」のみですから、NTTドコモの場合はauと異なり、未だスマートフォンが圧倒的に優勢、というところまでシェア差が開いてはいなかったということになります。

この契約数を具体的に見ると、Xiは契約変更が202万で最大、次に新規契約が86万、そして機種変更が40万となっていて、FOMA契約では新規が81万、契約変更が2万、機種変更が128万となっています。

契約変更はXiとFOMAの間での変更、つまり「ガラケー」からスマートフォンへ、あるいはその逆へ、携帯電話の契約を変更することですから、この1四半期の間に202万のユーザーが「ガラケーlからスマートフォンへ機種変更を行い、逆におよそ2万ものユーザーが一旦は手にしたスマートフォンを捨てて「ガラケー」への機種変更をおこなったことになります。

一方、Xiの機種変更、つまりスマートフォンを旧機種から新機種へ乗り換えたユーザーが40万に対し、FOMAの機種変更で「ガラケー」から「ガラケー」へ乗り換えたユーザーが128万もいたということで、なるほどこれではユーザーにスマートフォンへの移行を促したいNTTドコモが危機感を抱いてスマートフォンへの乗り換え促進キャンペーンを強化せざるを得なかったのも納得が行きます。

もちろん、この数字でも前年度同期と比較すれば確実にXi、つまりスマートフォンのシェアが着実に拡大していることが確認できるのですが、1四半期で128万ということは単純計算で1年に500万以上も「ガラケー」から「ガラケー」への機種変更を行うユーザーがいる、ということで、こちらもauと同様、2機種の新モデル投入と、複数の既存機種の販売継続によるそれなりに充実した「ガラケー」のラインナップ維持が十分納得できる状況です。

ソフトバンクモバイル

ソフトバンクの平成26年3月期第1四半期決算短信
他の2社とは異なり国際会計基準を採用しているためか、但し書きばかりで具体的な数字を示すことを避けている節がある。

ソフトバンクモバイルが公表している「平成26年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」を見ると、1四半期の契約数の総数が3329万(※但しこの数字にはプリペイド式携帯電話や通信モジュールの実績が含まれます)で、同期間の端末販売数が302万台であったことが示されています。

もっとも、その具体的な内訳は公表されておらず、販売/契約の規模としてはauと概ね同程度であるものの、それ以上のことはまるで判然としない状況です。

「ガラケー」には今も大きな需要が確かに存在している

以上、キャリア各社が公表している平成26年3月期 第1四半期決算短信から、各社における「ガラケー」の現状を見てきましたが、具体的な数字の公表の無いソフトバンクはともかくとしてKDDI(au)とNTTドコモの両社におけるガラケーの健在ぶりは、筆者の事前予想を遙かに上回る規模でした。

キャリア各社にとっては、自社サービスの範疇でコントロールできるガラケーは恐らく今もそれなりに「おいしい」事業である反面、帯域が逼迫している3G回線に負担をかけるため、できればWi-Fi通信で特に負担の大きいデータ通信をオフロードできるスマートフォンに切り替えて欲しいのが本音でしょう。

それだけに、「ガラケー」の新機種追加はできれば最小限に絞ってスマートフォンへの移行をユーザーに強制したいところでしょうが、さすがに現行ユーザー数がau・NTTドコモだけでもあわせて5000万もいるとなると、短期間でそれら全てをスマートフォンへ移行させるのは無理な話で、この数ならばなるほど、NECカシオモバイルやパナソニックがスマートフォン事業からの撤退発表後、携帯電話事業については継続することを発表したのも納得できます。

5000万の「ガラケー」ユーザー全部が機種変更で再度「ガラケー」を購入することは考えにくいにせよ、追加の設備投資がほとんどなくても一定の手堅い需要が期待できるのですから、2社が「ガラケー」端末の開発製造販売について、継続を表明したのはむしろ当然の話でしょう。

また、端末だけでなく各キャリアやパブリッシャーなどが実施している有料サービス/コンテンツの観点でも、それらの継続性の問題がありますから、相応の性能・機能を備えたハイエンド端末を供給せざるを得ない、ということになります。

加えて言えば、NTTドコモでこの期に及んでXiからFOMAへ逆戻りした、つまりスマートフォンを捨てて「ガラケー」へ逆戻りしたユーザーがいて、しかもその数が前年度同期比で4倍に増えている、というのも見過ごせません。

それはつまり、スマートフォンのユーザーインターフェイスなりサービスなりに不満があって、それに耐えられなかったユーザーが少なくない、ということを意味しており、こうしたユーザーの不満を解消するには、少なくともNTTドコモは今以上に「ガラケー」の使い勝手を継承したスマートフォンの研究開発を行う必要があるのではないでしょうか。

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