CEATEC 2013 シャープブースメインステージではIGZOの利点を前面に押し出した紹介が行われていた。

CEATEC 2013レポート ~ソニー・シャープ編~

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by [2013年10月09日]

10月1日から5日まで千葉県の幕張メッセで開催されていたCEATEC 2013。

この展示会で、今年も各社が最新技術や最新製品の展示発表を行っていました。

今回はその中からスマートフォンに関わる展示を幾つかご紹介しましょう。

Xperia Z1の実機展示のあったソニーブース

CEATEC 2013で展示のSONY Xperia Z1
このような形で可動実機が多数展示されていた。

まずは開催初日時点でNTTドコモのブースで「Xperia Z1 SO-01F」として今秋の発売が公表された(※開催中にauからも「Xperia Z1 SOL23」として発売されることが発表されています)、Xperia Z1の可動実機を多数展示していたソニーから。

Xperia Z1については既にご紹介したとおり、現在のAndroid搭載スマートフォンでは事実上最新最強の統合プロセッサであるQUALCOMM Snapdragon 800(クアッドコア 2.2GHz駆動)とフルHD解像度の5インチ液晶を搭載した、Xperiaシリーズのハイエンド機種です。

前作Xperia Zがガラスを背面にも使用した斬新なデザインで高評価を得られた反面、エッジ部分の形状の関係で持ちにくい、という不評も一部で出ていたのですが、その後継となるこの機種ではそのエッジの部分の形状が改善されています。

しかも、実機を手にとって持ってみると、そうした形状面の改善による効果以上に持ちやすくなっていることに気づかされます。

そこで説明員氏に質問してみると、Xperia Zでは重量配分の関係で手に持ったときのバランスが良くなかったが、このXperia Z1では部品配置を見直し、重心位置が偏らないように配慮して設計したとの返答でした。

言われてみると、重心がほぼ中心に来るような感じで、縦に持ったときに上が重くて落としそうになる、あの嫌な感覚はほとんどありません。また、エッジを握って持った際に筐体がしなるということもなく、剛性感の高さが指先から伝わってきます。

このあたりはカタログスペックでは数値にできない=定量的に評価できない部分なのですが、筆者の感想としては、実に持ちやすくなった、という印象を受けました。

CEATEC 2013で展示のSONY Xperia Z1用外周フレーム部の加工工程
右端のアルミ板が削り出しによって順に精密加工され、左から2番目の状態で部品が完成する。

この実機展示の後ろでは、筐体の強度・剛性を負担する外周のエッジ部分の部品について、各加工工程ごとの部材を並べて展示してあったのですが、それはありがちな樹脂成形品ではなく、アルミ合金製の板材からの複雑かつ高精度な削り出し加工を施した、一体成形の枠状部品でした。

なるほど、これならば剛性感の高さも納得が行きます。

ちなみに質問に答えて下さった説明員氏、ヘッドフォン出力のステレオミニジャック端子がキャップレスの防水構造になったことを盛んにアッピールしておられたのですが、マイクロUSB端子は他社製品でキャップレスやってましたけどこれはキャップレスじゃ無いんですね、と突っ込んだら、それはまだなんですと途端に弱気になってしまわれました(苦笑)。

筆者愛用中のHTC J butterfly(※防水対応)でもマイクロUSB端子のキャップが割れたり剥がれ落ちたり、およそロクな事になっていないので、この部品のキャップレス化状況には注目していたのですが、こうした声が伝われば、いずれ次世代か次々世代位の機種ではきっとマイクロUSB端子もキャップレス構造になっているのではないでしょうか。

Xperia Z1のメインカメラの真価

CEATEC 2013 ソニーブース
デジカメや液晶テレビの技術がスマートフォンやタブレットといったモバイル機器に落とし込まれていることが、デジタル一眼レフの分解モデルなどを用いて展示されている。

一方、同じソニーブースでも別のセクションではこの機種の大きなセールスポイントであるメインカメラにフォーカスしたデモも行われていました。

これは暗箱の中に置かれた写真をこのメインカメラに合わせて開けられた丸穴から撮影し、その撮影時プレビュー画面と実際に撮影された画像を比較する、というもので、さすがに現行最新の積層型の裏面照射型CMOSセンサーを搭載しただけあって、プレビューの段階でも写真に写った人物が判別できる、という暗視センサーと見まごうような高感度の画像が得られています。

この段階ではかなりのノイズ混じりで、細部は判然としなかったのですが、いざ画像を保存し、それを表示させてみると様相が一変しています。ノイズが激減し、プレビューでは見えていなかった細部のデティールが再現されているのです。

このセクションにいた説明員氏に尋ねると、「プレビュー画面ではExmor RSセンサーの素の画像を表示しているため、画像にノイズが乗っているが、実際に撮影された画像では高精細画像処理エンジンBIONZ for Mobileで画像処理(※ノイズリダクションなど)を行ってから保存されるため、大幅にノイズ低減される」とのことでした。

要するに、PhotoShopなどの画像処理ソフトのフィルタ処理のような高度な画像処理を行わせる機能が、それも内蔵されているレンズやセンサーの特性に最適化されたものがカメラ機能そのものに標準搭載されている、ということで、これもまたカタログスペックでは優位性の現れない、しかし実用上は非常に「使える」機能です。

正直、高精細画像処理エンジン、といってもそこまで大したことはやっていないのではないか、と思っていたのですが、こうした極限状態に近い環境での撮影結果で実例を示されると、素直に脱帽するほかありません。

Xperia Z1のメインカメラ部
従来機種と比べて、一目でわかるほど大口径のレンズが組み込まれている。大口径のレンズを用いればセンサーが受け取れる光量が増えるため、撮影される画像のS/N比が向上し、暗い場所でも撮影が可能になる。

ただしこのBIONZ for Mobile、優れたカメラユニットがあればこそのものであるのも事実で、CMOSセンサーのサイズ拡大やレンズ改良によるノイズ耐性の向上がかなり効いている印象です。

なお、Xperia Z1ではソニーご自慢のGレンズ搭載が謳われていますが、展示実機のメインカメラを凝視してみると、確かにレンズの口径が一般的なスマートフォン内蔵カメラユニットのレンズと比較して大きくなっていて、取り込める光量が増えています。

Xperia Z(左)と Xperia Z1(右)にそれぞれ搭載されたメインカメラCMOSセンサーの比較
Xperia Z1のものの方が格段に大型化されていることがわかる。

また、Xperia ZとXperia Z1の双方に搭載されたセンサーのチップそのものも比較展示されていたのですが、これもXperia Z1の方が一目でわかるほど大型のチップになっており、Xperia Z1のカメラ部の改良が非常に大がかりなものであったことが見て取れます。

もっとも、説明員氏曰く「デジカメにはスペックで並んでも勝てるものではない」由で、やはり薄型筐体に組み込まれる(デジカメと比べれば)小直径のレンズでは、スペックで見えない部分での貧弱さは覆い隠しきれるものではないようです。

IGZOを前面に押し出したシャープ

CEATEC 2013 シャープブース
メインステージではIGZOの利点を前面に押し出した紹介が行われていた。

既発表済みの最新製品であるXperia Z1を大々的に展開したソニーと対照的に、NECカシオ・パナソニックの撤退で今や4社にまで減った国産スマートフォンメーカーの1社であるシャープは、自社の切り札とも言える最新技術であるIGZOを中心に据えた展示が行われていました。

これは昨年の展示でもそうだったのですが、違っていたのは既に採用製品が複数存在していて、それらを使ってIGZOの具体的なメリットを示す展示が行われていたことです。

CEATEC 2013 シャープブース
「IGZOの拡がり」と題してシャープだけでなく他の各社から発売されたシャープ製IGZO液晶パネル搭載製品や、応用例が紹介されていた。

そのことを最も端的に示していたのが、従来型液晶を使用したパネルと、CAAC-IGZO液晶を使用したパネルを並べて全く同じ表示をさせ、その間の消費電流量を電流計で示してIGZOの消費電力の低さを強調する、という展示です。

以前の記事でもご紹介したように、液晶では電圧をかけることで液晶を通過する光の波の向きを90°回転させてしまう(偏向させる)、という性質があって、液晶ディスプレイはこの性質を利用し、特定の向きの光以外通さない偏光板と呼ばれる部品と組み合わせることで表示のオン・オフを実現しています。

CAAC-IGZO液晶パネルの強みは、電圧をかけて「ねじれ」が生じた液晶が、徐々に電圧が低下して元の状態に戻るまでの時間が長い(※制御回路を構成するトランジスタの消費電力が低いために電圧降下で「ねじれ」が元に戻るしきい値に達するまでの時間が長く取れる)、という点にあるわけですが、この比較デモにおいても当然のようにその点を強調した展示がなされていました。

具体的に言うと、動画と静止画を交互に一定時間ずつ表示して、それぞれの液晶の電力消費状況の相違が際だつようにしてあったのです。筆者が実際に見ていた範囲では、動画表示の際には従来型・IGZO双方の液晶パネルで消費電力が160mW前後(※ただしIGZO液晶の方がごくわずかですが消費電力量が小さくなっていました)であるのに対し、静止画表示の際には従来型はそのままであるのに、IGZO液晶では30mW前後、つまり従来型の1/5以下にまで激減していました。

従来型液晶(左)とIGZO液晶(右)の同一動画表示時の消費電力量比較
動画再生の場合、ご覧の通りIGZO液晶の方がごくわずかに消費電力が小さい程度の差に留まる。

従来型液晶(左)とIGZO液晶(右)の同一静止画表示時の消費電力量比較
動画の場合と異なり、静止画表示では消費電力についてIGZO液晶に圧倒的な優位性があることが見て取れる。

これは、先にも記した電圧降下までの時間が長く取れることを利用して、静止画、つまり「動かない」画面の際には画面書き換え間隔を延ばし、単位時間当たりの書き換え回数を減らすことによって実現されたものです。

つまり、従来型の液晶だと通常、1秒間に60回の画面書き換えを常時区別なく行っているわけですが、IGZO液晶では静止画表示の場合に限ってこの書き換え回数を間引いて、その分の時間だけ液晶の書き換えを行う駆動回路を止めてしまうことで、表示内容は変えずに消費電力を減らしているわけです。

静止画だけとはいえ従来の液晶の1/5以下の消費電力で済むのならば、IGZO液晶パネル搭載スマートフォンのフル充電時連続稼動時間が従来機種と比較して劇的に伸びたのも納得です。

参考出品の13.3V型タッチパネル付きIGZO液晶パネル
2,560×1,440ピクセルの高解像度で、精細な表示を実現する。

実際の所、スマートフォンの利用において、アクションゲームなどをプレイしている時や動画を再生表示している時を別にすれば、そのほとんどが静止画表示になっているわけですから、その部分で「効く」IGZO液晶が有利になるのは当然でしょう。

これだけの性能差、さらに13インチクラスのパネルで2,560×1,440ピクセルの解像度を余裕をもって実現してしまうほどの高精細性が伴っているとなれば、それらの特徴を生かした製品が出てくるのは当然の話で、今回の展示でも、シャープ以外の各社製品を含め、IGZO液晶パネル搭載の応用製品が多数誇らしげに展示してありました。

実は4Kだらけだった今回のCEATEC

SONY 56型4K2K解像度有機ELパネル(参考出品)
このサイズ、この解像度では世界初を謳う有機ELパネル。

直接にはスマートフォンには関わらないのでここまで言及を避けてきたのですが、実は今回のCEATEC 2013、テレビやディスプレイを手がける各社のブースはどこも4K2K解像度(※3,840×2,160ピクセル)の、いわゆる4Kテレビの大合唱で、ソニーの展示でも半分がXperia、残り半分が4Kテレビ、シャープの展示でもIGZO液晶とオーバーラップする形でかなりの部分が4Kテレビの紹介に割かれているという状況でした。

その中には、世界初の56型4K対応有機ELテレビ(ソニー)や15.6V型4K IGZO液晶パネル(シャープ)など、今後のディスプレイ高精細化・低消費電力化を予告するような内容を備えた展示が少なくなく、テレビがスマートフォンと同等の解像度しかない/タブレットには解像度で凌駕されはじめている、という現状も今後ほどなく変化することになりそうです。

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