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【ad:tech tokyo 2013】スマホ抜きには語れない!「モバイル時代の消費者行動変化」

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by [2013年9月20日]

9月18日、19日に国際フォーラムで行われたアドテック東京2013。世界トップクラスのマーケターが集結した本イベントで、「モバイル時代の消費者行動変化」をテーマとしたセッションを聞いてまいりました。彼らが考える最先端のマーケティングについてお届けします。

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登壇者(左より、以降敬称略)
司会:川上 慎市郎氏(グロービス経営大学院 准教授)
篠崎 功氏(株式会社D2C ドコモメディア事業本部 本部長)
河野 奈保氏(楽天株式会社 執行役員 楽天市場事業編成部部長)
沖本 裕一郎氏(クックパッド株式会社 買物情報事業部 部長)
鈴木 知行氏(セレゴ・ジャパン株式会社 マーケティング ディレクター)

スマホによって何が変わったのか?


川上 スマホによって大きく変わったは3つあって、インプットとアウトプットとその途中のプロセスですね。スマートフォンに変わったことで、インプットはボタンからタッチパネルに、アウトプットは文字中心から画像・音声中心に、コミュニケーションの方法もLINEやTwitterというコミュニケーションプラットフォームになったというのが一般的に知られている変化だと思います。
次にユーザーの価値観の変化を考えてみると、スマートフォンの特性、ユーザーの行動変化、ユーザーの価値観の変化の3本の軸で考えられると思います。

まずスマートフォンの「常時ネット接続」「定額制料金」「大きな画面」「かわいくない絵文字」「文字の打ちにくいタッチパネル」という特性が、それぞれユーザーの行動変化「すぐに確認、検索」「頻繁なアクセス」「なんでも発信、受信」「写真の撮影、共有」「文字入力の減少」へとつながっていくわけですね。そこから考えられるキーワードは「即時性の重視」「感情の共有」「情報の強い選別」「文字より視覚コミュニケーションの重視」です。このあたりまではどなたも感じられていると思います。そのさらに先について、今回は各分野の最先端のマーケティングに携わっている方々にお話を伺いたいと思います。

スマホによる意思決定時間の減少



篠崎 まず消費者目線のお話をさせていただきます。スマホが出てきたことによって、購入までの意思決定時間が減ったと思われます。スマホがどんどん増えていった中で30%の人がスマホを通して新しい情報を得るというデータがあります。

何かを購入する際に情報収集するときもやはり3分の1以上の人がモバイルから始まっています。店頭でもほとんどの人が情報検索したことがあるというデータも。スマホは常時接続だから、購入を検討しようとした時にすぐに情報検索ができるわけです。スマホの登場する前とした後では格段に意思決定のスピードが上がっているんです。

業種業界別に見ていきますと商材によってまったく変わってきます。生活用品などの消費財系は値段が低いためあまりスマホで情報が検索されることなく購入されていますが、逆に自動車や不動産、家電など値段の高いものはスマホで情報を集めた上で購入されがちです。そして購入した後も、SNSを使ってその商品の情報を発信していくわけですね。リアルタイムで商品の情報が発信されていくんです。消費者が新しい商品を生み出すということがリアルタイムで起こりやすいということです。

川上 こうしてみてると、純粋な「広告」が入り込める隙間がどんどん狭まっている感じがするんですが。

篠崎 どんどん情報に触れる時間が少なくなってきてますから。一番最初に成功した形でやってかないと、後から追い付けなくなってしまうんですね。Yahooなどのメディアを含めて、一番上は困らないと思うんですけど、2番目3番目が辛い時代になると思います。

PCで有名な楽天市場でもスマホシェア拡大中


河野 楽天市場のケーススタディということで、現状をお話します。楽天市場におけるスマートデバイス(スマートフォン+タブレット+フィーチャーフォン)のアクセス数はすでに50%を超えています。楽天市場では楽天スーパーセールというものをやっているんですけど、夏休みやお盆や年末年始、長期休暇などはさらにこのアクセス数があがります。アクセス数に対してどれぐらい購入されているかというのを表すのが流通額なんですが、こちらは30%になっています。年末までに42%、来年には5割を超えることを目標にしています。楽天市場の中にはPCを見ながら買い物をしたいというお客様もいらっしゃるので、今の時点ではこのように差が出ています。


ECから見たスマートフォンに関して3つのキーワードがあります。まず1つ目がファーストタッチデバイス。外出先、移動中にスマートフォンを使ってショッピングの商品検索をするという方が40%です。しかし実際に外出先、移動中に、スマートフォンを使って実際に商品を購入した人は15%どまりです。実際にスマホでアクセスしたけれど、PCで買う、というのが一番多い状況です。最終購買の方法が違うわけですね。それでも、もしスマホがなかったらPCだけの数字もここまで上がってきてないかもしれないので、スマホとPCの連携が大事です。楽天はPC発、PCのおかげで伸びた会社なので、まだまだスマホのシェアがないんですよね。先ほどの40%と15%のギャップを埋めていくのが私の仕事かなと思っています。

2つ目はリッチコンテンツです。楽天でスマートフォンに最適化したページを作り始めたのが3~4年前です。その時にはとにかくシンプルな設計をしました。楽天市場はショッピングモールなので、私たち楽天社員が作っているページもありますが、中には店舗様にページをお渡しして、直接ページを編集してもらう場合もあります。その結果、4万店舗あるんですが、4万店舗分の違う顔が見られるというのが楽天のビジネスになっています。PCではそれぞれナビゲーションが異なってくるんですね。しかしそれはスマートフォンではちょっと難しいかなと思っていたんです。

まず図のビフォアのようにシンプルにテンプレを作ったんですね。そしてそれを店舗さんにお渡しして編集してもらったんですけど、結果的に流通がとても上がっているという状態です。成功した店舗さんの例を他の店舗さんにもお伝えして、今ほとんどの店舗さんがこのような感じで編集されています。

写真を活用してビジュアル化していくことで転換率が上がっているという例もあります。動画を使って商材の作り手のストーリーを添えて売ることができるというのが強みですね。

ロング(縦に長い)ページも「リッチコンテンツ」の1つの形態だと思っています。商品に関する情報をその情報を必要としているお客様にちゃんと届けたいという思いがあるんです。なるべく簡潔にして見てわかるようにしています。ただ読めばいいだけではなくて、調理イメージとか、割引情報など、こういったものも入れています。その結果購買転換率が上昇しました。


最後のキーワードリアル連携です。せっかくなのでアプリを紹介します。まずアプリを立ち上げると、カメラがすぐに起動します。バーコードをかざすと、一瞬にその商品の検索結果を見ることができるようになっています。利用頻度はまだまだ低いんですけども、利用された方が購入される確率は高いです。

こちらはこれから年末にかけてやろうとしているサービスです。海外では多いのですが、日本では浸透していないようです。商品をカメラで撮ると、バーコードを読みとらずに、そのまま商品検索するというサービスです。

商品画像のみならず、交通広告などプロモーション方面にもつなげていこうかなと考えています。吊革などを写真で撮ると、そのままキャンペーンページに誘導することができます。これがいわゆるスマートフォンとリアルの連携かなと思います。

川上 楽天アプリってちなみにどれくらいダウンロードあるんですか?
河野 楽天市場ではWebとアプリの割合で言うと、半々というほどでもなく、アプリの方が少ないですのでまだこれから伸びる余地はあると思っています。女性の方がWeb、男性の方がアプリ寄りかなと思っています。アプリ利用者の数は少ないんですが、アプリを使用されている方の年間の客単価は高いんですよ。今後はWebを使っている方にもアプリを促進して顧客育成をしようとしています。アプリだけのキャンペーンなどもやっていますし、バーコードの機能などもからめて今後もやっていきたいと思います。

クックパッドはレシピと買い物をオンライン化へ


沖本 「レシピ」と「買い物」は店頭で決定するといわれています。圧倒的な数字で、80%以上といわれているんです。これが、将来はオンラインで「レシピ」と「買い物」を決定する人が50%近くまで達するのではないかと見ています。

神奈川県逗子市の逗子銀座商店街ではクックパッドが活用されています。各店舗さんが毎朝商品の情報をクックパッドを使って投稿しています。現在このサービスを使っている方は月間で15万ユーザーですね。食の購買行動にスマホが一貫して関連している例ですね。

現在はPCよりもスマートフォンが逆転をしている状態にあります。ユーザーはクックパッド上で特売情報をレシピと一緒に見ることができ、例えばゴーヤを探すとゴーヤチャンプルというレシピが出てきます。さらにゴーヤチャンプルに必要な材料の卵などの情報も出てきます。このレシピ情報からの買い物情報への誘導は他の広告などに比べて圧倒的に成功しているんです。ちなみにこの効果はスマホとPCで比べるとスマホの方が高くなっていますよ。

スマホを持っている方と持ってない方を比べると、持っている方の方が意思決定に時間がかからないので、よく行くスーパーの軒数も少なくなる傾向にあります。

スマホを利用した方の行動がどう変わったのかというと、来店頻度なども増えているということですね。

我々はもともとレシピをやっていたのですが、まず食べるためには、作るものを買わなきゃいけないわけですよね。小売り側の商売活動も変えていくと思います。小さな商店街もスマホ1つで変わっていくわけです。どうやって自然に広告を差し込んでいくかが今後重要だと思いますね。

川上 アプリの滞在時間は減っていくんですよね?

沖本 店頭の滞在時間は減っていきますが、アプリの滞在時間は増えていきますね。

篠崎 顧客満足度が増えていきそうですよね。商品を購入するために複数のスーパーを回ること自体が時間の無駄なんですよね。
沖本 やはり買い物は晩ご飯のためが多かったりするので、何を食べたいかを決めてから買い物に行った方が効率的ですよね。

インターネットを通して、情報を気体のように流通させる


鈴木 僕はお三方とは違って「実際にはそんな変わっていないんじゃないか」という話をします。モバイルを「オンラインへの入り口」として考えると、うちもみなさんと同じようにセールスはバッと増えています。


コミュニケーションのあり方が変わってきているなぁと思っています。例えるならば「固体から気体」です。インターネットを通して、気体のように情報を流通させることができるようになったと思います。固体から気体という矢印が新しい時代のコミュニケーションの形なのではないかと思います。

うちの会社のサービスでiKnow!※というものがあるんですけど、すごい良いサービスなんですがあまり知られていないんですよ。このiKnow!が「気体」として、このサービスを広めるための物理的な「固体」として「同時通訳レシーバー」というものを代替品として作りました。同時通訳レシーバーというものは、本来英語をしゃべれない人が使うものなんですね。うちのサービスは英語の教材なので、このレシーバーを知ってる人はお客さんということになるんです。
※スキマ時間を活用して単語から英会話を身につけられるサービス。

配られたビラのデザイン

同時通訳レシーバーのようなイベント企画をやって、事前にビラなどを配ってネットに流しこめれば、OOH※など広告を使わなくてもみなさんの知らないサービスを広めることができちゃうわけです。それが新しいコミュニケーションの変化の仕方なんじゃないかなと思います。
※out of home=交通広告、屋外広告など家庭以外で接触する広告のこと。

つまりリアルと体験がますます重要になってくるんです。今思っているのはもしかしたらモバイルが入り口なんじゃなくて出口かもしれないということですね。
メーカーさんみたいな、リアルなものを持っている方が強いんじゃないかと思います。お客様にとって、手触りのあった方がいいかもしれません。その手触りを体現していること自体が大きな意味を持っているんです。最終的にはお客様の中での我々のプロダクトの熱量を上げていきたいわけなんですが、お客様の声をいきなり詰め込んでも入らないんですよ。すごい生活に便利なアプリを作ったら、それからどうやってうちの場合だったら英語に結び付けていくか? それが固体から気体へ、ということだと思います。

質疑応答


―もし楽天じゃない会社だったらどんなHPをつくりますか?
河野 情報量の多いページの方が売れると思いますので、ベタに置いた方が結果も出てると言ったところですね。

―パソコンの中の画面を追っていく感覚がスマホの中にも持ち込まれているということですか?
河野 そうですね。パソコンの場合上の方ほど重要な情報を載せたりするんですが、スマートフォンの場合、パソコンよりもユーザーの方がちゃんと下の方まで見てくれるんですよね。だから指が止まるところが重要だったりしますね。上から順に重要なものを載せていくのではなくて、どこまで間を置かせるかが重要だと思います。

―感覚的なホームページを作っているように見えても実はレビューテストでちゃんと考えられたホームページを作っているんですね。
鈴木 うちみたいにアプリをダウンロードして作ってもらおうとすると、AppStoreの中で完結しちゃうんですよね。ブランド名が検索されることがあまりないので、精神的な強さが必要とされると思います(笑)。
河野 PCとスマホのコンバージョンページってよく比較されますけど、PCユーザーに比べてスマホユーザーはこまめに増えるんですね。訪問数はスマホの方が多いんですけど、コンバージョンベースに考えるとスマホの方がはるかに少ないんですね。そうするとスマートフォンの媒体としての価値が低く見られてしまう。これはどうにか変えていきたいと思っています。スマホで情報収集するけど最終的にPCでアクションする人をみたときに、広告面だと単一デバイス内だけの広告効果になってしまいがちなので、時系列で、もっと長いタームで効果が見えるように多分来年の課題ですね。

―楽天さんやセレゴさんなどはサービスがWebなので、スマホユーザーの数が上がってくる瞬間が全く見えないと思うんですけど。
鈴木 クックパッドさんなんてお店との接点が見えてるから、初めてつながったなぁという感じですね。
沖本 ご飯って一回きりじゃないですよね。10年20年その地域に住んで、関係性を作っていくわけなんで、そういうところに差が出てくる。それがクックパッドのケースなのかなぁと思います。

―店側とのリレーションが初めてここでつながったということですね。

いかがでしたでしょうか? 各社がマーケティングにスマホを活用することで、私たちの生活が文字通り“スマート”になっていることがお分かり頂けたことと思います。このad:tech tokyoに参加している企業は、広告業界でもトップを走っている会社ばかりです。そのためその恩恵に与る人もまだ一部かもしれません。ここで培われたノウハウが他の業界へ波及することで、生活のスマート化が加速していくことを期待して、本稿を締めさせて頂きます。

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