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HTML 5開発フレームワーク『Sencha』を日本語でマスターできる!株式会社ゼノフィ代表インタビュー

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by [2013年8月28日]


HTML 5先進国のアメリカで生まれた、HTML 5ベースのアプリ開発フレームワーク「Sencha」。
前回の米Sencha社のアジアパシフィック担当者へ突撃インタビューでは、アメリカで既にHTML 5ベースのアプリ開発の動きが進んでいることを受け、最近になってアジアでもその関心が高まってきているという現状が明らかになりました。HTML 5の波、来てます!

▼詳しくはコチラ:
Sencha,HTML5の普及をにらみアジア進出を強化
ネイティブ?いや、これからはHTML5!ウェブアプリ開発フレームワークSenchaを理解する

米Sencha社へのインタビューの際、2013年4月より今後日本の開発者向けにSenchaを使いこなし方を日本語で解説するプログラムを実施していくという公式パートナーの株式会社ゼノフィをご紹介いただきました。
代表取締役を務める小堤一弘(こつつみ かずひろ)氏は2012年10月に、次世代フレームワークSenchaユーザーのための「 (Japan Sencha User Group) 以後、Sencha UG」を発足。毎月一度のSencha勉強会を開催し、この勉強会を通してSencha TouchやSencha Ext JS、Sencha Architectなどの様々な製品を紹介してきたそうです。
4月より公式のパートナーとして、Sencha社が提供しているトレーニングプログラムと同様の公式カリキュラムを日本語にローカライズして提供しているそうです。

というわけで、気になるそのトレーニングプログラムについてさっそくお話をうかがってきました!

元々は独自にコンテンツを提供
そこからSencha社のオフィシャルパートナーに

──株式会社ゼノフィがSencha社のオフィシャルトレーニングパートナーとなったことで、日本の開発者のみなさんにどのような影響を与えるとお考えですか?
 私たちは、独自にトレーニングを提供していた時代から、コンテンツには自信を持っていました。また、それらのコンテンツが実際に開発の現場で役立っているのは間違いないです。ですが、やはりトレーニングパートナーとしてSenchaと「公式に」契約したことにより、トレーニングを受講するカスタマー側からの信頼度が高まったのでは、ということがあります。
もうひとつは、オフィシャルのトレーニングプログラムを提供できるようになった、ということです。つまり、トレーニングの受講者は、世界中の技術者が受けているものと同じ水準で学習ができる、ということになります。そういう環境は、今まで日本にありませんでしたから、そこが大きい点と思っています。

── 独自のものから、オフィシャルのものになったことで、提供するトレーニングコンテンツにも見直しや変更はありましたか?
 これまでも、ゼノフィ独自のコンテンツではありましたが、Sencha ExtJSの最新版にあわせたトレーニングプログラムを日本語で提供していました。そして今年の4月に、Sencha社のほうと契約をし、トレーニングパートナーになりました。その際に、Sencha社のつくった世界標準のトレーニングと、従来のゼノフィ独自のトレーニングのコンテンツを突き合わせてみました。その結果、7割は同じ内容、という感じでした。
 そこで、異なっていた部分や、最新の部分をきちんと取り入れ、USのSencha本社が作成したコンテンツに適合したトレーニングプログラムを作成しました。これを九月からのトレーニングで提供していきます。

── トレーニングを受講することで、ユーザーはどういった学習効果を享受できるでしょうか?
Senchaの学習曲線、つまり、学び始めてから作れるようになるまでの線のことですが、これをグラフで表すと、最初は遅いです。最後に上がる。一通り色々なことがわかってはじめて急上昇する。
一方、JavaScriptでいえばjQueryなど他のライブラリを使う場合は、サンプルとかコピーを使用することで、ある程度まではバッと上がる。しかし、ある程度までいくと頭打ちして止まってしまう。
ビジネスで使用しようと思った場合、Senchaの学習曲線は遅いです。なので、トレーニングでは、この学習曲線を補うために、5日間しっかりと学んでいただく。つまり我々は、学習曲線で最後の方で上昇するはずのところを前にもってくるための手助けをする、ということです。

日本にはSenchaを学ぶ環境が整っていなかった

── 長年Senchaのトレーナーとして活躍されている小堤社長ですが、Senchaの効果的な学習法とはどういったものだとお考えですか?
 Senchaも、HTML5ベースのJavaSciptでモノをつくる点では、他のフレームワークとなんら変わりは無いです。しかし、Senchaの場合、Javaなどと同様に、クラスシステムやMVCアーキテクチャなど、独自のアーキテクチャをたくさん提供します。これら独自のアーキテクチャにより、JavaScriptに備わっていない点を、Senchaがしっかり補っているのです。
 そのセオリーを、「順番に、体系的に学ぶ」ということが、非常にコストがかかります。学んでしまえば、スムーズに開発を行っていくことができます。

しかし、全体が分かっていないと、ただのタグの集まりになってしまいます。なので、jQuery技術者の作ったものが、もう触れなくなってしまうような現象が次々起こりました。せっかくSencha Ext JS / Sencha Touchが作られたのに、残念です。
さらにVisual Studioのように、ビジュアル的に開発を行うことができるSencha ArchitectもSenchaは提供しています。Sencha Architectで生成されるコードは、Sencha自身のベストプラクティスの塊でもあります。

── 逆にいえば、Windowsアプリ開発経験者であればSenchaの理解も早いですよね。
 そういうことです。ですが上記の理由により、そういった経験のないデベロッパーにとっては「体系的に学ぶ必要がある」という点で、やはり学習の進行が遅くれてしまいます。
 Senchaを6~7年教えている自分の経験から言いますと、ゼノフィの提供するトレーニングを一度、3~5日間死に物狂いでやった後に1ヶ月間自己学習した人と、2年間趣味で学習してきた人は、大体同じくらいの習熟度になります。
 結論として、仕事でSenchaを使おうと思っている場合は、やはり一度集中的に学習して、それから知識を広げていくという学習方式が良いと思います。そうすれば、Senchaのドキュメントが読めるようになるし、最新の情報が追えるようになる。
 初期段階で学習曲線が上昇しにくいことがSenchaの最大の弱みです。Sencha側からいえば、そこをきちんと補っていくことが重要になる。Sencha自身、きちんとそこを理解しています。現に、USのSencha本社では、トレーニングを専門につくるチームがあります。トレーニングに非常に注力していますね。それ程の熱の入れようですから、当然コンテンツのクオリティも高いです。

── 学習曲線の最初の位置が低いというのは、学習環境が整備されていないという点にも原因があるのですか?
それはあります。日本は、やはり遅れています。世界的にみても、日本はデベロッパーやコミュニティの数が少ないです。我々がSencha UGという活動を現在行っています、それでも300人集まらない状況です。加えて、これまでSenchaを学ぼうとしても、英語のドキュメントしかない状況でした。なので、少しでも裾野を広げるため、我々で書籍の出版も行ってきました。
 自費出版形式ですが、『実践開発ガイド』という名前の書籍です。Sencha Ext JS 4を扱った1冊目と2冊目は私が書きました。先日出版した3冊目はSenchaTouch2を扱ったもので、弊社の公式トレーナーである中村が執筆を行いました。これについては、私は監修だけです。これらの本を読んだ後に、さら体系的に学びたいと思えば会社経由でトレーニング受講を、という導入の役割も果たせればと考えています。

ワンタイムパスワードの使用により、いつでもどこでも学習が可能に

── 私の周りにもJavaScriptを嫌がるエンジニアは少なくないです。
 とにかく体系的に学ぶ必要があります。今回のトレーニングも、実際にブラウザの中で書いて、すぐ動かしてみる、というかたちで実施します。つまり、ちゃんと手を動かしながら画面で確認するという作業を通して学べる講座になっています。5日間で800ページ以上のテキストを学ぶので、受講者にとっては結構ハードなコースになっています。
 トレーニングを開始する際に、ワンタイムパスワードのハードウェアトークンに、Senchaのストラップをつけて、受講者にプレゼントします。このワンタイムパスワードを利用することで、受講後も1年間はトレーニングで使用した教材を家や会社から参照し、学習を継続できます。
 アメリカのトレーニングでは教材のコンテンツ管理にIDパスワードを使用しています。ですが、IDパスワードだと、個人的な勉強会で共有してしまうというような問題が出てくる。そういう状態では、コンテンツは守れません。また、IP制限をつけるのも、コンテンツを守るためのひとつの方法ですが、そうしてしまうと受講者は会社のパソコンから教材を参照できなくなってしまう。IDパスワードでもなくく、IP制限でもない、「ワンタイムパスワード」を導入することで、コンテンツの保護と受講者のニーズの両方にこたえられるのです。この状態でSenchaのトレーニングを受講できるのは、日本だけです。
 また、これからのウェブシステムで、Sencha TouchやSencha Ext JSなどでモノをつくった際に、セキュリティの手段がIDパスワードのみというのは利便性に欠けるのでは、と思っています。つまり、ブレット端末を共有するときなどに不都合になるのではないか。そういう時に、IDパスワードの代替になるものとしてワンタイムパスワードが使えるのでは、と考えています。また、私たちは飛天ジャパン様のハードウェアトークンのリセールを行っているので、ワンタイムパスワードのハードウェアトークンはかなり安く出せます…(笑)。もちろん、認証サーバーは、自前で開発して用意しています。

トレーニングは東京、札幌、大阪の3か所で開催

── トレーニングスペースを東京、札幌、大阪の三か所に用意するようですね。
 私たちの拠点がある東京、札幌、大阪に一人ずつ、僕以外の認定トレーナーが常駐していて、トレーニングを実施する予定です。大阪の南森町の事務所はトレーニングにあわせ、8月1日にオープンしました。札幌には元々事務所がありましたが、トレーニング開講にあわせ、このたび移転、拡張しました。大阪と札幌の事務所については、最初からオフィスの中にトレーニングスペースを用意してあります。つまり、普段は会議室だとか勉強会の際に使う予定ですが、トレーニングやるときはそこでできるようにしてあります。東京のトレーニングスペースについてはこれから、という感じです。

── 小堤社長自身、今後もSenchaの裾野を広げていく活動を進めていかれると思いますが、これからのご予定などはございますか?
 まず今年の2月に、目黒で開催されたデベロッパーサミットの際に、私もSenchaの話をしました。Sencha UGの活動も、現在260人を超え少しでも情報提供ができればよいと考えています。
我々の拠点がある東京、大阪、札幌で、月に一回くらいのペースで開催しています。ここには、大企業から中小企業まで、エンジニアの人たちが結構来てくれています。そういう活動を通して、とにかくSenchaのユーザーの絶対数を増やして、Senchaを盛り上げていきたいです。
 2013年10月4日に、さくらインターネットさんと合同セミナーを企画しています。「さくらのクラウド」というクラウドサービスがあるのですが、そこにSencha製品を合わせて、どういったものができるのか、というビジネスセミナーです。一回限りではなく、定期開催を予定しています。また、東京だけでなく大阪や札幌でもやろう、という話になっています。
Sencha Touchもクラウドも、カスタマー側からみると、それを使ってなにをできるのか、ということをイメージしにい商品です。なので、ダイレクトに啓発していく必要があります。Sencha Touchで何ができて、どんなアプリケーションが作れて、どこにのせて動かせばいいのか。また、それがいくらなのか、というような具体的なところです。
 技術者たちがただ「Sencha Touchは面白い」といっているだけでは、お金は出てきません。だから、もうちょっと上のマネージャーや経営者の層のひとたちに、Senchaを使って、開発効率をあげ、しっかりとしたベースの上でうちの会社はモノをつくっていく、と思ってもらう。そういうふうに意識を変えてもらうためのセミナーをこれからやっていきます。


ありがとうございました!

これまで、日本は米国よりHTML5の情報や技術が遅れて伝達している感じが印象的でしたが、これから世界と同じ水準でトレーニングが開始されると言うことは、国内のHTML5への意識を大きく変えるものだと感じます。
東京で第1回目となる、Sencha Touchのトレーニングは9月23日~9月27日の5日間行われ、iPhone、iPad、Android、とBlackberry 6+のプラットフォームでアプリの開発を学習できます。

詳しくは、ゼノフィのトレーニング一覧を確認下さい。

次回は、「Senchaのこれから」についてお届けします。

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