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ドラクエXディレクターの、「新しい」ゲーム作りへの挑戦がカッコイイ!

2013年8月21日(水)よりパシフィコ横浜にて開催されているCEDEC2013。会場では数々の著名人による講演がなされるなかで、その一部がニコニコ生放送で一般公開されていました。
私も一般解放されていた講演の中で、スクウェア・エニックスのドラゴンクエストⅩ(以下ドラクエX)ディレクター藤澤氏による講演を視聴したんですが、これがまた面白かったんです!

ドラクエシリーズ発のPC・Wii向けオンラインゲームとしてドラクエXの開発事例から、日本人ウケするMMORPGの開発のポイントが解説されていたのですが、ドラクエディレクターのこれまでのゲームの常識に囚われない、新しいゲームスタイルへ挑戦する姿勢がとても素敵だったので、ポイントだと思ったところだけ勝手に紹介してみます。


日本でMMORPGはなぜ受け入れられない?


世界的に有名な米国製MMORPG『World of Warcraft』の瞬間最大プレイヤー数が1200万人としてギネス登録されているそうなのですが、日本国内ではそれに匹敵するタイトルはまだありません。日本のゲーム市場は世界の中では14%とされているそうなので、単純計算で日本人の168万人が同時にプレイするほどのオンラインゲームがあるか、というと今のところはそんなゲームはありませんよね。2011年に発売したドラクエシリーズ初のMMORPG『ドラクエX』も、販売台数だけで累計70万本(2012年11月時点)というレベル。


何故MMORPGが日本で人気がないのかを探ったところ、3つの制約があることを発見したそうです。

  • 1.環境的制約(Wiiを持っていない)
  • 2.金銭的制約(月額課金が厳しい)
  • 3.心理的制約(よくわからないからやらないという悪い印象)

1と2の環境要因と金銭要因は、Wii版の他にWindows版を出したり、月額利用料金を一般的な1,200円~2,000円よりも安い1,000円としたり、「キッズタイム」として限られた時間帯だけ無料にするなどですぐに対策できたんですが3番めの「私はオンラインゲームはやらないんです」という心理的な問題点を突き詰めると、だいたい以下の3つの理由に分類できました。

  • 【A】なんだか難しそう。めんどくさそう。
  • 【B】人と一緒に遊びたくない
  • 【C】ゲームをやめられなくなる恐怖

なるほど、確かにオンラインゲームに踏み出せないハードルはここにありそう。

オンライン初心者でも遊べる設計をとことん追求

これまでオンラインゲームをプレイしたことがない従来のドラクエ好きの人がもつこれらのハードルをクリアする必要がありました。
そこで、MMORPGの常識やセオリーに囚われない新しいゲームデザインに踏み切ったそうです。

具体的に先ほどの心理的制約というハードルをひとつひとつクリアした結果がこちら。

【A】なんだか難しそう。めんどくさそう。
→いつものドラクエと同じように
従来型のゲーム画面に比べて、オンラインゲームのゲーム画面には1画面にいろんな情報が配置されてとても複雑になっています。そこでまず違和感を感じてしまう人が多いことから、とことん従来型のドラクエのデザインに近づけたそうです。また、オンラインゲームでは常識のストーリーに終わりがない感じ(バージョンアップでシナリオ追加する方式)を払拭するため、初期バージョンからエンディングを含む全てのシナリオを実装するなどで、「いつもと同じ」感じをなるべく再現したそうです。

見慣れたコマンドメニューを採用

コマンド操作や、テキストによるアクション履歴なども従来通りの見せ方

【B】人と一緒に遊びたくない
→ひとりでも遊べるように
リアルタイムにログインしているプレイヤー同士で一緒にプレイするのでなく、リアルタイムでプレイしていないプレイヤーのキャラをAI動作するNPCとして仲間にする仕組みにすることで、ひとりで黙々とプレイできるようにしたそうです。これなら従来型のRPGの感覚に近いですね。
具体的にはルイージの酒場で、ポイントと引き換えに時間単位で他のプレイヤーを仲間にできるようになっているようです。

【C】ゲームをやめられなくなる恐怖
→依存化しないゲームデザイン
オンラインゲームにハマって「廃人」化してしまうことを避けるため、プレイできない時間にもメリットが生まれる仕組みにしたそうです。
例えば、誰かが自分のキャラを仲間にしている間に自動的に経験値やゴールドがたまったり、未ログインの時間が「元気玉」という経験値・ゴールドが30分間2倍になるアイテムに交換できるようになっています。連続ログインボーナスなども無しにしたそうです。これなら平日忙しい会社員でも土日にガッツリ楽しめそうですね。

その他、サーバー違いによるプレイヤーの分断が起きないようにサーバー移動が自由にできるシステムを構築したり、相互に友達状態にならないと1対1でチャットできないように安心できるチャットの仕組みにするなど、従来のオンラインゲームを超えるような「遊びやすさ」を追求したそうです。

また、例えば主人公は人間でありながら、オンラインゲームっぽい人間以外の種族でもあるという設定にしてみるなどで、ドラクエらしさを残しつつ、オンラインゲーム特有の楽しさも取り入れました。
よくあるMMORPGと従来のドラクエのちょうど中間のような新しいタイプのゲームみたいですね。

運営の失敗から学んだ情報公開の大切さ

情報公開の大切さを学んだ

こうしてリリースされたドラクエXですが、運営の失敗から色々と学ぶことが多々あったそうです。
例えば、「名声値」というパラメーターが一部ユーザーだけ有利に得られるバグへの対応ミスから学んだのは、情報公開の大切さ!

バグを発見したとき、影響範囲がそこまで大きくなかったことから、最初は、これまで余分に付与されていたユーザーの名声値をそのままに、普通に正しい仕様に戻す対応をおこなったそうです。
ところが、その対応にプレイヤーからの非難が殺到!これはまずい!ということで、通常の名声値しか得られていなかったプレイヤーのパラメーターを上方修正することできちんと公平な状態にした後、プレイヤーに対して謝罪・経緯説明をする、という事例があったそうです。
しれっとバグ修正されたところで、その影響範囲や、自分の被害状況、具体的な修正方法などを教えてもらえないと、ユーザー的には不安が不満に変わってしまうということですね。

この失敗から、情報不足からユーザーが感じる「不安」を運営側がしっかり汲み取って、情報公開をしっかり行なうことの大切さを学んだそうです。

マーケティング通りにつくったところであたらない!

ドラクエだから挑戦する必要がない、というのは間違いで、ゲームは形式美を尊重する古典芸術ではないのです。
結局マーケティング通りにゲームを考えたって当たらないんですよね。開発する自分たちが本当に面白いと思うゲームを出せば、市場は反応してくれる。そして、意外と市場は寛容で、面白ければちゃんと受け入れられる。だから「新しいことをやろう!」という発言が印象的でした。

ドラクエXのオンラインゲーム開発の事例から、ゲームづくりに大切なことを色々と再確認させられました。
オンラインゲームに限らず、スマートフォンのゲームアプリ開発・運営の現場でも、同じことが言えるのではないかと思います。
開発する自分が楽しまなくては、それを遊ぶユーザーを楽しませることはできないということですね。

世界を夢中にさせる日本初の新しいスタイルのゲームがいつか誕生するといいな…!と思いました。

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