500-IPLM017AにAKG K240DFのステレオミニプラグと純正Lightning-USBケーブルを接続した状態ご覧のとおりLightningコネクタが下に傾いている

iPhone 7最大の難点を解決~MFi認証済み充電ポート内蔵ライトニングオーディオ変換アダプタ~後編

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by [2017年2月08日]

前編ではiPhone 7/7Plusでの本体内蔵ヘッドフォン端子廃止の対応策としてサンワダイレクトから発売されたMFi認証済み充電ポート内蔵ライトニングオーディオ変換アダプタ「500-IPLM017A」のハードウェアやソフトウェアについてご紹介しました。

後編では実際の使用感などについてご紹介したいと思います。

……確かに充電と音声出力が両立する

SONY MDR-EX800ST筆者が日常的に使用しているヘッドフォンの一つ。今回は音質確認などのメインとして使用した

SONY MDR-EX800ST
筆者が日常的に使用しているヘッドフォンの一つ。今回は音質確認などのメインとして使用した

それでは、ここで実際にアナログ接続のヘッドフォンや外部バッテリーなどをつないで、この「500-IPLM017A」の実際の動作状況がどのようなものかを確かめてみることにしましょう。

なお、接続を試す端末本体は筆者が現在常用中のiPhone 7 Plus 256GBとiPad mini 4 16GB、接続するヘッドフォンは同じく筆者が常用中のソニー MDR-CD900ST・同 MDR-EX800ST(ケーブルは断線発生でやむなくMDR-EX1000用に交換)・AKG K240DFの3機種で、外部バッテリーなどと接続するためのLightning―USBケーブルはiPad mini4同梱のApple純正品を利用することとします。

まずはiPhone 7 PlusとMDR-EX800STの組み合わせで手持ちのUSB接続をサポートした外部バッテリーをLightning―USBケーブルを介して接続し、標準のミュージックにてパソコン上のiTunesから転送した、AACロスレスでエンコードされた音楽CDからの楽曲再生を行ってみます。

……確かに、接続したヘッドフォンから音が出ている状況で、iPhone本体に充電アイコンが表示され充電ができています。

途中、たまたまiOSのアップデートがありましたが、それに何か阻まれるということもなく、充電しつつの音楽聴取ができています。

なお、アダプタ本体に搭載された3つのボタンはEarPodsに搭載のリモコンと互換の操作を行うことで、普通の3接点コネクタによるアナログ接続タイプのヘッドフォンでも同様にリモコン操作が行えています。

これらを総括すると、要するにこの製品のLightning―ヘッドフォンジャックアダプタとしての基本的な使い勝手は大変に良いと言えます。

気になること

ただ、機能にそれなりに満足して使い込んでゆく内に、下記のようにいくつか気になることが出てきました。

  1. 無音部分でわずかにノイズが聞こえること
  2. そもそも最大時の音量が、純正のLightning―ヘッドフォンジャックアダプタのそれと比較して2段位小さいこと
  3. ヘッドフォンジャックと電源入力用Lightningコネクタの間隔が狭すぎて細身のプラグでもかなりぎりぎりのクリアランスとなってしまっていること

無音部分でのノイズは、恐らく気にならない人は全く気にならないでしょう。ですがこれは、このアダプタに内蔵されているサウンド出力回路の設計において、ノイズへの対策が不十分であることを示します。

パソコン用のサウンドカードでもそうでしたが、この種のノイズは一般にパソコンやスマートフォン/タブレット本体から発していて、これを部品点数を増やさずに防ぐのは設計者の腕の見せ所です。

500-IPLM017Aと純正Lightning-ヘッドフォンジャックアダプタ500-IPLM017Aの方が多機能だが、純正アダプタは音質・音量の点でこれを上回る

500-IPLM017A(下)と純正Lightning-ヘッドフォンジャックアダプタ(上)
500-IPLM017Aの方が多機能だが、この小さな純正アダプタは音質・音量の点でこれを上回る

実際、純正のLightning―ヘッドフォンジャックアダプタでは、筆者の手元にあって確認できた2セットでは無音時にこの種のノイズが、少なくとも筆者が意識するようなレベルでは乗っていませんでした。このことから、この純正アダプタでは値段・コスト・音質の善し悪しに関係なくきちんとしたノイズ対策が採られている事が判ります。

そして、例え僅かでもそんなノイズが音声出力信号に乗ってしまうということは、残念ながらこの500-IPLM017Aアダプタのサウンド出力の品質については、期待が持てないということを意味します。

もちろん、自分はそこまで音質にこだわらない、バッテリの外部接続で長時間音楽再生なりゲームプレイなりが楽しめればそれだけで充分だ、という方ならばこうした問題は気にかからないでしょう。

次に音量が純正アダプタよりも2段ほど小さいことですが、これは少々厄介です。

SONY MDR-CD900ST筆者がかれこれ20年ほど使っているヘッドフォン。長年の酷使でよれよれのボロボロだが、音量等の確認の際にはこれが欠かせない。500-IPLM017Aで最大でも音量が小さすぎて使いづらかったヘッドフォンの一つとなる

SONY MDR-CD900ST
筆者がかれこれ20年ほど使っているヘッドフォン。長年の酷使でよれよれのボロボロだが、音量等の確認の際にはこれが欠かせない。500-IPLM017Aで最大でも音量が小さすぎて使いづらかったヘッドフォンの一つとなる

元々、iPhoneのヘッドフォンアンプはその基本がiPodに由来するためもあってかそれほど大きなヘッドフォンを駆動することを想定していない※注8節があって、例えばiPhone 6 PlusにソニーのモニターヘッドフォンであるMDR-CD900STを接続して音楽再生を行った場合、最大音量でも(実用上は致命的な問題ではないものの)今ひとつ大きな音にならない印象がありました。

 ※注8:iPhone 6 Plus時代から時々、(片チャネルあたりのインピーダンスが600Ωと法外に高い設計の)AKG K240DFを接続して音楽再生を行うことがあったのですが、これを繋いだ場合、電力消費が恐ろしく大きい上に音圧があまりに低く、およそ実用に足りない程度の音量にしかなりませんでした。

つまり、計測機器を使った測定を行っている訳ではないので具体的にどれだけの音量差なのかは明確ではありませんが、純正よりも音量が体感で2段ほど小さくなるというのは、そうしたこれまで最大音量でようやっと実用になっていたヘッドフォンの出力音圧あるいは音量が低下してより一層悪い方向に進み、全く実用にならなくなるという事を意味します。

これは、特に大柄な密閉型のヘッドフォンを外出時などに愛用していた人にとってはゆゆしき事態です。

AKG K240DF筆者長年愛顧の機種。インピーダンスが600Ωのため、プアな設計のヘッドフォンアンプにつなぐとおよそマトモな音圧にならない

AKG K240DF
筆者長年愛顧の機種。インピーダンスが600Ωのため、プアな設計のヘッドフォンアンプにつなぐとおよそマトモな音圧にならない

振動板の直径が大きな密閉型ヘッドフォンの場合、搭載されているスピーカーユニットの内蔵ボイスコイルの規模や振動板を前後動させる場合に利用できる電力量などから、元々iPhoneやiPad本体の内蔵ヘッドフォンアンプでは最大音量でやっと適当な音圧が得られる、といった状況の機種が少なくありません。

そのため、その状態を前提として純正Lightning―ヘッドフォンジャックアダプタを使っていた機種だと、この500-IPLM017Aアダプタを利用した場合、必然的に音圧が足りなくなります。

このあたりの状況を見ると、折角本体に電源入力用のLightning端子を別途搭載していて、外部からの電源入力に対応しているのに、どうしてそれを生かす前提で現状よりも高い性能・出力のヘッドフォンアンプを500-IPLM017Aに搭載しなかったのだろうか、と筆者は思います。

iPhoneあるいはiPad本体からの給電だけで動作しないとならないなら、純正より複雑な機能を備えた現状の500-IPLM017Aのハードウェア構成も致し方ないことですし、本体からの給電能力が変わらない以上、出力アップというのも難しいことでしょう。

しかし、外部からの電源入力のためのコネクタを搭載した機種であれば、その入力される電力を本体への給電だけでなく、ヘッドフォンの音量増幅のためのアンプ回路の駆動にも積極的に利用し、本体からの給電を利用していた場合と比較して大きな出力を実現した方が、iPhone・iPad本体からアダプタ側に給電するよりも効率が良いですし、何より本体側の電力消費量を例えわずかでも削減できることは無視できません。

実際の利用状況を観察すると、大きめの(そして耐入力が大きく消費電力も大きい)密閉型ヘッドフォンを使用しているユーザー、それもそれらをモバイルヘッドフォンとして利用する方の場合、ヘッドフォンに加えて外部バッテリーからのLightning―USBケーブルを接続して利用しているケースが大半を占めているようです。

そのため、外部からの電源入力が利用できるのならば、現行よりも充分大きな出力のアンプ回路を備えたヘッドフォンアンプを内蔵にした方が、少なくとも同条件で接続して利用した場合に純正と同等かそれ以上の音量・音圧が確保できる設計とした方が、市場では歓迎されたのではないでしょうか。

音質にこだわらない人はアリか

また、筆者が確認した範囲では、このアダプタは音量・音圧が不十分なだけでなく、肝心の音質にも少々難があるようです。

少なくとも、筆者が先に挙げた3機種のヘッドフォンを用い、念のため本体にヘッドフォン端子のあるiPad mini 4とiPhone 7 Plus+500-IPLM017Aで、CDから吸い出しAAC Losslessで圧縮した同じ楽曲を転送し同じアプリで再生※注9して聞き比べを行った範囲では、聴感上明らかな音質差があるとして良さそうな程度には、音が変化して聞こえました。

 ※注9:念のため両機種のiOSバージョンも10.2.1(14D27)で揃っている事を確認の上で、Apple純正の「ミュージック」を利用して比較を行っています。

なんというか、本来はエッジの立ったシャープな音だったはずの部分が、あからさまに丸まって鈍った音になってしまっている感じなのです。

オーディオの試聴比較はどうしても個々人の耳の状態や体調などに結果が左右されることがあるので色々難しいのですが、さしあたり筆者の個人的な感想としては、音量を同程度に設定・調整するなど条件を揃えた場合でさえ、500-IPLM017Aからのアナログ出力の方が音質的に明らかに見劣りした、と申し上げておきます。

500-IPLM017Aのステレオミニジャックと電源入力用LightningコネクタにSONY MDR-EX1000用ケーブルとLightning-USBケーブルを接続した状態この状態でもかなりぎりぎりである。アダプタ本体のコネクタ接続部だけ厚さが増えているのが判る

500-IPLM017Aのステレオミニジャックと電源入力用LightningコネクタにSONY MDR-EX1000用ケーブルとLightning-USBケーブルを接続した状態
この状態でもかなりぎりぎりである。アダプタ本体のコネクタ接続部だけ厚さが増えているのが判る

ところで、このアダプタを使う上で無視できない問題の一つとして、最後に挙げたヘッドフォンジャックと電源入力用Lightningコネクタの間隔が狭すぎて挿したヘッドフォンプラグやLightningコネクタが干渉することがあります。

筆者が実機で確認した限りでは、500-IPLM017Aのヘッドフォンジャックと電源入力用Lightningコネクタの間隔は、一番近い開口部同士の距離で測って約4mmとなってます。

この種の製品としてはコネクタが比較的薄い部類に入るApple純正Lightning-USBケーブルの場合、Lightningコネクタ(楕円形断面)部の厚さが最大5mm程度あることを勘案すると、ステレオミニプラグ側の本体外形寸法が8mm径程度のものがぎりぎり無干渉、9mm径のプラグだと挿し込んだときにLightningコネクタ側と接触、それ以上の径だと平たいLightning端子の方が傾くかそもそもLightning―USBケーブルに挿せないか、という状況になるでしょう。

なお、8mm径のコネクタというのはステレオミニプラグケーブルでも特にインナーイヤーヘッドフォンなどで使われる細身かつコンパクトなタイプで、それより太い9mm径のものでも細めの部類に入ります。

500-IPLM017AにAKG K240DFのステレオミニプラグと純正Lightning-USBケーブルを接続した状態ご覧のとおりLightningコネクタが下に傾いている。この状態を長期間続けるとLightning端子の接点部が塑性変形して接触不良の原因となる恐れがある

500-IPLM017AにAKG K240DFのステレオミニプラグと純正Lightning-USBケーブルを接続した状態
ご覧のとおりLightningコネクタが下に傾いている。この状態を長期間続けるとLightning端子の接点部が塑性変形して接触不良の原因となる恐れがある

ちなみに、主にソニーなどの日本メーカー製ヘッドフォンで多用されている、ステレオミニプラグの根本の部分にネジを切ってこれに対応する寸法の専用標準プラグアダプタをねじ込めるように作ってあるタイプのコネクタでは、そのネジ部分の最大径がだいたい8.5mm程度でプラグ本体の径がそれより1mmは大きくなってしまいます。

このため、この種のプラグを使用する場合は純正Lightning―USBケーブルで試した限り、ほぼ確実にLightningコネクタが傾いた状態で接続されることになってしまいます。

このような状態で長期間使用すると接点部の塑性変形からLightningコネクタの接点部接触不良といった故障の原因となる可能性が高いため、これは極力避けねばなりません。

いかにLightningコネクタがリバーシブルな配列設計で表裏の2接点ずつで同じ信号を扱っているため、どちらかが接触不良になっても致命的な故障とはならないとは言え、そもそも接触不良があって良い筈がありません。

少なくとも、ノイズ対策や音質対策の観点ではこうして傾いて挿されたLightningコネクタが、良いコンディションを維持できるとは筆者には到底思えません。

これらの状況・寸法関係を勘案すると、外部電源入力とヘッドフォンジャックの2コネクタが並ぶ部分の間隔についてはアダプタ本体の厚みが増えても構わないので、せめて現状より後2mm、できれば3mm以上間隔を広げて大型プラグ搭載製品の利用に必要となる余裕を確保して欲しいというのが筆者の正直な感想です。

製品としての方向性は間違っていないのだが…

以上、Lightning―ヘッドフォンジャックアダプタに電力入力用Lightningコネクタを搭載し、国内市場で市販された製品では恐らく最初のMFi認証取得機種となる500-IPLM017Aについて見てきました。

これを約1週間ほど使用した筆者個人の正直な感想は「確かに求めていた機能は備わっているが……」という事に尽きます。

もっとも、その一方でこのアダプタを使用することで筆者は改めてヘッドフォン端子のないiPhone 7 Plusの不便さを痛感することになりました。

例え粗い設計であっても、それまでの本体各種を利用する場合と比較して不足する機能が補完されるのならば、それはそれで充分利用価値があるのです。

また、普通のヘッドフォンを接続・利用していてもアダプタ部でリモコンやマイクが使えることは純正品には備わっていない便利さです。

このようにこのアダプタが提供する価値はなまじ大きなものであるだけに、その価値をより大きくする方向性で設計が行われなかったというのは、あまりに惜しくもったいないと筆者は考えます。

恐らく、今後各社から充分なマーケティングリサーチを行って開発され、MFi認証を取得したこの種のアダプタが続々と登場することになるかと思いますが、できればここまでで筆者が指摘した問題点をクリアした改良製品を速やかに出して欲しいと切実に思います。

▼参考リンク
ライトニングオーディオ変換アダプタ(Lightning変換アダプタ・3.5mmオーディオ端子・充電ポート内蔵・MFi認証品) 500-IPLM017Aの販売商品 | 通販ならサンワダイレクト
Lightning – 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタ – Apple(日本)
EarPods with Lightning Connector – Apple(日本)

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