アイキャッチ画像

ダンスミュージック・クリエイター必携のDAWアプリ「FL Studio Mobile HD」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

by [2013年1月18日]


 ダンスミュージック・クリエイターにはおなじみのDAW「FL Studio」のiOS版「FL Studio Mobile HD」! 見た目は「FL Studio」の質感に近いようですが、今や数多くのDAW系音楽アプリが溢れる中、果たしてその実力は?!
 今回は、ユニバーサル版※を使用し、各機能とシーケンサーでの打ち込みを中心に解説していきます! ※iPhone/iPod touch専用の「FL Studio Mobile(価格1,300円)」もリリースされています。

FL STUDIOとは?
 ベルギーにあるImage-Line社が開発するWindows専用のDAWで、その直感的なステップシーケンサーや独自の音源で、エレクトロ系楽曲を制作するのに最適な製品。Windows版の最新バージョンは10で、ピッチ補正も可能になるなど、DAWとしての機能も強化されている。

※この記事はDTMマガジン2011年9月号掲載の「iOS&Web Musicians!」を、アプリの最新バージョンにもとづいて加筆・修正したものです。iPhone/iPadやパソコンを使った音楽制作をもっと知りたい方はこちらへどうぞ!
作曲と音楽制作の月刊誌「DTMマガジン」

Keyboard、Drum Padsタブ

 大きめに配置された鍵盤が印象的なKeyboardです。鍵盤上部の各種ボタンをタップすることで、鍵盤の設定等を変更できます。また「Instruments」や「Tracks」でドラム音源を選択した場合は「Keyboard」タブが「Drum Pads」に変わり、ドラムパッドでの演奏が可能になります。スライスされたLoopを選択した場合でも、スライスごとにアサインされます。

  • 1 Keyboardを全画面表示/標準表示と切り替えるアイコンです。パフォーマンスに重点を置く場合は全画面表示での演奏が便利です。
  • 2 指をスライドさせ、スクロールしていくことにより、音域を移動できます。さらに、ピンチすると鍵盤幅のサイズを変更できます。自分のクセなどに合わせた鍵盤にカスタマイズしましょう。
  • 3 加速度センサーを利用したピッチベンド効果を与えることができます。デバイスを手前に傾けるとピッチベンドを下げた状態に、反対に奥に傾けると上げた状態になります。これはライブパフォーマンスなどで活躍しそうな機能ですね。
  • 4 テンポのガイドとなる、メトロノーム音を出力します。リズムがない状態でキーボード入力する場合、タップしてメトロノームをガイドに入力できます。
  • 5 鍵盤に音程ガイドを表示できます。
  • 6 鍵盤を上下2分割できます。

 鍵盤を2分割にすると、プレイできる音程の範囲が広がるので、リアルタイム入力やパフォーマンスでの利便性が上がります。

 大きくて演奏しやすいパッド。スライスされたLoopを選択した場合でも、スライスごとにアサインされます。

Instrumentsタブ

 133種のサンプルから選択可能な「Instruments」です。ここで選択した音色は、「Tracks」で選択したトラックに割り当てられます。ここでは各トラックのミキサーとしても機能していますので、パラメーターなどを確認してみましょう。

  • 1 タブ分けされたカテゴリから選択できる音色タブです。プリセットはピアノやギターなどの、主に生楽器を中心とした「Instruments」アナログシンセやシンセベースなどが収録された「Synths」、アコースティックからテクノ系まで網羅したドラムキットが収録された「Drum Kits」、スライスされたループ素材を選択できる「Loops」とカテゴリ分けされています。音色の名前に合ったアイコンも表示されます。
  • 2 「PAN」は、そのトラックの音の定位を設定するスライダーです。「VOL」はその音色の音量を設定する物です。いずれにしろ、楽曲が完成した時点で調整していく方法をとった方が楽曲全体のバランスが取りやすいので、作曲の段階ではあまり動かさなくても良いでしょう。ちなみに「Tracks」タブ内でも調整できます。
  • 3 それぞれの音色に「ATT(アタック)」と「REL(リリース)」が設定できます。
  • 4 「Preview」をタップすると、選択した音色を試聴できます。タップするごとに音程が1オクターブずつ上がっていくので、低音と高音のニュアンスを簡単に確認することができます。「Default」は設定をデフォルト設定に戻してくれます。
  • 5 「+」をタップすると、キットの保存ができます。カートをタップするとアプリ内課金で追加音源を購入することができます。

 FREEの音色は即ゲットしておこう! 有料のものは85円~500円程度。

Tracksタブ

 楽曲制作の要となるのが、この「Tracks」タブです。この「Tracks」にはサウンドを打ち込むために必要なツールや、サウンドをエディットしていく上で重要なウインドウにすぐにアクセスできるグラフィカルなアイコンが配置され、迷うことなく使えるようになっています。

 左から「Track Editor」「Bar Editor「」Piano roll(またはStep Sequencer)」の順で並んでいます。シンセなどのメロディ系インストゥルメントが選択されている場合「Piano roll」のアイコンが表示され、ピアノロール画面にジャンプし、ドラム音源が選択されている場合は「Step Sequencer」アイコンが表示され、ステップシーケンサー画面にジャンプします。

 新規プロジェクトを立ち上げて「Tracks」タブを選ぶとデフォルトでFLの代名詞とも言えるステップシーケンサー画面が現れます。

 「Instruments」でドラム音源以外が選択されているトラックのときに現れる「Piano roll」。

Track Editor

  • 1 左から「Mute」「Solo」「FX」の順にボタンが並び、トラックごとに設定できるようになっています。
    Mute:トラックをミュートし、音の出ない状態にします。
    Solo:そのトラックだけ音が出る状態にし、他のトラックをミュートします。
    FX:「Effects」タブで設定したエフェクターのオン/オフを切り替えます。
  • 2 左から「Edit」「Duplicate」「Delete」の順に並んだボタンは、トラックの複製や削除などが行なえます。
    Edit:選択したトラックのピアノロール(ステップシーケンサー)画面を呼び出すことができます。
    Duplicate:打ち込んだトラックと全く同じ物を別のトラックに複製します。
    Delete:選択したトラックを削除します。
  • 3 「Instruments」タブにある「PAN」と「VOLUME」の設定ができます。

ステップシーケンサーでの「Velocity」「Pitch」などの設定
 グリッドで入力するステップシーケンサーでは、各インストゥルメントごとにベロシティやピッチの設定ができます。設定方法は、ステップシーケンサー画面で各インスト名をタップすると出現する設定画面の右下にある3本のバーが並んだアイコンをタップします。

 すると、「Velocity」「Pitch」を設定する画面が現れるので、グリッドに配置された場所にベロシティバーが表示されているはずです。ここでベロシティを設定していきます。なお、ピッチも同様に設定できます。

トラックや小節の追加方法

  • 1 シーケンス上にトラックを追加する場合はこのボタンをタップします。ピアノロールを追加する場合「PIANO」、ドラムのステップシーケンスを追加する場合は「STEP」をタップします。
  • 2 一回のタップでシーケンサーの尺を1小節追加します。

ピアノロール編集ボタンの機能一覧
 「Keyboard」画面などでリアルタイム入力した場合、トラックにはその入力したノートが表示されているはずです。ここでは、その入力内容を編集したり、ピアノロールに直接ノートを書いていくことができます。一番最初に戸惑うところが、このピアノロール画面ではないでしょうか。クセのある操作なので、よく読んで理解しましょう。

  • 1 左側のボタンをタップしてノートをドローすると、そのノートが選択されます。ピアノロール上をダブルタップすると、ノートの全選択になります。その右となりのボタンは、複数選択です。複数のノートを細かく選択する際に使用します。
  • 2
    Move:タップし選択した箇所をドラッグするとノートを移動できます。
    Duplicate:選択した箇所を複製します。
  • 3
    Volume:選択したノートに対し、ベロシティの設定が行なえます。
    Length:選択したノートの長さを、左右にドラッグすることで変更できます。
    Q:選択したノートにクォンタイズをかけることができます。リアルタイム入力などのタイミングのズレなどを修正できる画面がポップアップされるのでノートの長さを指定して適用します。
    Delete:選択したノートを削除できます。
    Draw:ピアノロールにノートを書き込むことができます。

ピアノロールでの入力はココがポイント!
 「Draw」ボタンをタップし、ピアノロールでノートを配置する→ノートの長さと音程を決める→「Draw」ボタンをタップし、配置する→配置したノートをドローすることで次のノートがスライドしてくるので、最初の手順を繰り返し、メロディを完成させ……という流れで打ち込みを進めていきましょう。

「Draw Mode」ボタンの機能一覧
 「Draw」ボタンをタップすることにより、「Draw Mode」になります。ピアノロール画面内をタップするとその音階の音が鳴り、ノートが配置されます。

  • 1 ピアノロールに配置したノートの長さを指定する各音符ボタンが並んでいます。希望の長さのボタンを押します。
  • 2 クォンタイズ・ボタンはデフォルトでONになっていて、先ほど決めたノートの長さの間隔で移動します。逆にOFFにすると、自由にノートを配置できます。
  • 3 このピアノロール画面で一番戸惑うポイントである「ノートの配置」を決定する「Draw」ボタンです。ピアノロール画面で音階やノートの長さを決定したら、まずこの「Draw」ボタンをタップします。すると、ノートが配置されるのですが、次のノートを入力しようとピアノロール画面をタップしても反応しないはずです。ではどうするかというと、ピアノロール画面を横にドローしてみてください。配置されたノートから、同じノートがスライドして出てきます。

「Bar Editor」ボタンの機能一覧
 「Bar Editor」とは、ピアノロールやステップシーケンサーで入力したパターンをコピーしたり入れ替えたりしながらソングを構築していくセクションです。各ボタンの役割を覚えれば、ソング作成がスムーズに行なえます。「Tracks」タブ内の「Track Editor」ボタンの隣にあるボタンが「Bar Editor」ボタンになります。

  • 1
    Move:選択したバーの移動ができます。
    Duplicate:選択範囲を任意の小節に複製できます。
    Repeat:選択範囲の次の小節へコピーし続けます。
  • 2
    Transpose:バー全体のオクターブを変更できます。「Transpose」ボタンをタップすると、「Octave(音程)」と「Semitone(半音)」のポップアップが出現します。ベースラインなどのコード変更など、一括で行なう場合に便利です。
    Quantize:ノートの長さやタイミングを、バー単位で一括クォンタイズが行なえます。
    Delete:選択箇所を削除
    Edit:バー単位でのピアノロールによるエディットが可能Bar Edit:バーの任意の場所にスペースを作ったり、逆に詰めていったりすることが可能です。

Effectsタブ

 FL Studio Mobile には「Limiter」「Reverb」「Delay」「EQ」「Amp」「Filter」と、6種類のエフェクトが搭載されています。エフェクトはトラックごとではなく、バスに送られるタイプのものなので使い方に少しコツが必要です。「Filter」には、オートメーションでカットオフとレゾナンスを設定できます。Filterをオンにすると、「Track Editor」に「Filter Track」が追加されます。そこで、「Keyboard」タブの「Rec」をタップし、FilterのX/Yパッドにてオートメーションを書き込みます。
 トラックにエフェクトを適用させるには、「Track Editor」で、各トラックの「FX」ボタンをタップしてオンオフを切り替えます。
 エフェクトがオフの状態。

 エフェクトがオンの状態。

 各エフェクターの「Limit to FX tracks」がオンになっているエフェクターのみをバイパスします。


 「Limit to FX tracks」がオフ=消灯(左)している場合は、全てのトラックにエフェクトが掛かります。逆にオン=点灯(右)している場合、図15のようにかけたいトラックにのみ選択的にエフェクトを適用させることができます。また、「Limiter」に関しては、FXのオンオフに関係なく通ります。


Limiter(左)、Reverb(右)

Delay(左)、EQ(右)

Amp(左)、Filter(右)

Projectタブ

 ソングを管理する「Project」タブです。作成したソングを保存したり、WAVに書き出したりできます。

  • 1 NEW:新たにソングを作成する際にタップします。
  • 2 Load:「fl m(FL Studio Mobile Project)」「fl ml(FL Studio Mobile drumloop)」「WAV」「midi」を読み込むことができます。iPad内にデータを送るには、iTunesからドロップします。
  • 3 SAVE:プロジェクトを保存します。
  • 4 Delete:選択したファイルを削除します。
  • 5 Export:MIDIやWAVフォーマット(44kHz/16bit)に書き出します。書き出したファイルはiTunesに接続し、取り出すことができます。
  • 6 Info:ファイル情報を表示します。

Setupタブ

 レイテンシーやポリ数の設定、キーボードやピッチベンドの設定などを行なえます。「Core MIDI」の設定もここで行ないます。「Core MIDI」を使用すれば、外部MIDI 機器からコントロールできるようになるので、サウンド作りの幅が広がります。ヘルプもこの「Setup」にあるので、操作に迷ったら参考にしてみてください(英語です)。

まとめ

 発売前には、さまざまな場所で話題になっていた「FL Studio Mobile」ですが、機能やアイデア的にはわりと普通だな~と言う印象でした。
 しかし、FL Studioと名前が付いているだけあって、収録されたサウンドはエッジの立ったそれらしい音をしています。簡単にレベルの高いダンスミュージックが作れるでしょう。
 「Xewton Music Studio」のデベロッパーが開発に関わっているということで、GUIはソックリですが、逆にMusic Studioユーザーの方は操作には迷わないでしょう。
 あとは、ライブラリをもうちょっと増やしてくれたらなー、と思っちゃいました。今後のアドオンでのライブラリ追加やバージョンアップに期待ですね!

FL Studio Mobile公式サイト

アプリ基本情報

アイキャッチ画像

FL Studio Mobile HD

配信元:Image Line Software

iOS価格:2,000円

  • 備考

    条件: iPhone、iPod touch および iPad 互換 iOS 4.2 以降が必要

※記事内の情報はすべてレビュー時(2013年01月18日)の情報です。

コメントは受け付けていません。

PageTopへ