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アナログシンセの銘機がiPadでよみがえる!「KORG iMS-20」前編

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by [2012年10月29日]


 今回取り上げるアプリは、「iKaossilator」「iELECTRIBE」でもおなじみの楽器メーカー「KORG」がリリースする「iMS-20」です。このiMS-20は、ニンテンドーDS用ソフト「DS-10」をプロデュースした株式会社DETUNEと共に作り上げられた、強力な音楽制作ツールです。今回より前後編にわけて、iMS-20による音作りの実際を解説していきます!
※この記事はDTMマガジン2011年3月号掲載の「iOS&Web Musician」と同じ内容です。iPhone/iPadやパソコンを使った音楽制作をもっと知りたい方はこちらへどうぞ!
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まずはアナログシンセの仕組みを知ろう
前編:基本構成&パッチング

 このiMS-20は、1978年にKORGから発売されたモノフォニック・パッチシンセ「MS-20」に、同時期に発売されたアナログシーケンサー「SQ-10」を上に乗せたレイアウト。基本構成は、メインとなるMS-20と、6トラックのアナログリズムマシン、ミキサー、ソング・パターンシーケンサーと豪華なモノ。さっそく各機能を見ていきましょう!

基本構成

MS-20(シンセ)セクション

 iMS-20を起動すると現れる、MS-20のシンセ部分です。波形を選択するオシレーターや、ハイパス・ローパスフィルター、パッチングなど、iMS-20のシンセサイズを行なう心臓部です。音源部は、現在ダウンロード販売されているPC用のソフトシンセ「KORG Legacy Collection※」のMS-20と同じエンジンを採用しており、触ったことのある人ならわかると思いますが「新品の」MS-20の音がします!
※KORG Legacy Collection・・・コルグ往年のハードシンセ「MS-20」「Polysix」「Mono/Poly」「M1」「WAVESTATION」らをソフト音源化し、エフェクト「MDE-X」を追加したPC向けバンドルパッケージ(1万9,800円)。MS-20単体でも販売中(4,980円)。

1 SONG/PTN(ソング/パターン)

 キーボードやカオスパッドで入力したパターンを、ソングとして組んだり、リアルタイムにパターンを切り替えながらライブ演奏させることができます。白いTR-808のようなボタンが配置されているところがソング・セクション1-1、パターン番号の書かれたパッドがパターン・セクションです1-2。パターン隣の「SEQUENCER SETTINGS」ではテンポ、スウィングの設定も可能です。さらに、SONG/PTN内にも「MIXER CONTROL」が配置され、パターンをリアルタイム演奏する際に、ドラムやシンセの抜き差しを行なえるようになっており、よりアグレッシブに演奏を楽しめます1-3。

2 ANALOG MIXER(ミキサー)

 MS-20とANALOG DRUM MACHINEの系7チャンネルを制御できるミキサーです。各チャンネルには、LEVEL、SOLO、MUTE、PAN、EFFECT MIX、EFFECTが並び、MASTER EFFECTではディレイやコンプレッサーなどの各種エフェクトが選択できます。MASTERの上に配置された真空管は、MASTER EFFECTで「VALVE FORCE」を選択することで、GAINの値により光ります。その他に、マスターレベルを表示するUVメーターがレトロな雰囲気を醸しだしています。また、ALL MUTE/SOLO OFFをうまく使う事でDJ的な使い方もできそうです。

3 ANALOG DRUM MACHINE(ドラムマシン)

 6パート、16ステップのドラムマシンです。ドラムマシンとはいえ、強力なシンセ・エディットとシーケンサー・エディットにより、6台分のシンセとしても使えます。豊富なサウンドプリセットが用意され、そのプリセットから音を作り替えたり、一から音を作り出したりと、MS-20とほぼ同じシンセサイズができるため、かなり自由な使い方ができます。パターン作成は、パッドを叩きながらのリアルタイム入力にも対応し、カオスパッドを使ってトリッキーな入力も可能です。

4 SQ-10(シーケンサー)

 MS20セクションのつまみがない部分をタッチし下にスクロールすることで出てきます。ノートやボリューム、シンセのパラメーターなどを設定できる、16ステップのアナログシーケンサーです。オリジナルのSQ-10では12ステップという半端なステップ数だったのに対し、iMS-20版のSQ-10では16ステップまで入力可能です。このようなタイプのアナログ・シーケンサーは、シンセのパラメーターをコントロールする役割が大きかったので、シンセの一部と考えることもできます。なお、iMS-20ではこれらのパラメーターもカオスパッドなどで直感的に入力できるようになっています。

5 SESSION/SOUND PRESET

 セーブしたソングやパターンなどをブラウジングできる「SESSION BROWSER(左図)」や、自作のシンセの音色やプリセットをブラウジングできる「PRESET BROWSER(右図)」などがあり、感覚的で、円滑なファイル管理を行なうことができます。

6 GLOBAL(グローバル)

 ここでは、iMS-20のオーディオ設定や、エクスポートなどの設定を行なうことができます。例えば、ノブの回り方のクセやカオスパッドのポジションなどが設定できます。「Audio Export」では、ソングを書き出す「Bounce Song」と、パターンで設定したSTEP GRIDの範囲を書き出す「Bounce Pattern」があり、用途によって使い分けることができます。さらに「Real-Time Recording」スイッチをオンにすることで、「REC」ボタンと時間表示パネルが表示されるので、「REC」ボタンを押すことでパターンを演奏したそのままを書き出せます。

iMS-20のシンセ部分を理解してパッチングに挑戦してみよう!

 次に、基本となるMS-20のコントロールパネルを確認してみましょう。シンセの細かいパラメーターは難しそう…なんて思っている人は、まずはツマミを回してみてください。きっとシンセの音作りが感覚でわかってくると思います。では、各パラメーターの働きや効果を見ていきます。

MS-20-CONTROL PANEL(コントロールパネル)


1 VOLTAGE CONTROLLED OSCILATTOR(VCO)1、2
 2つの独立したオシレーターの波形を選択するセクションです。OSCILATTOR 1には三角波、ノコギリ波、矩形波(パルス幅可変)の他、ホワイトノイズが搭載され、ドラムのスネア音などを作る際に重宝します。その下の「PW」ノブでは、パルス幅を調節するノブで、矩形波の表情を変えることができます。さらにその下の「SCALE」ノブでは、32′-4’の範囲で音程の調節を行なうことができます。OSCILATTOR2にはノコギリ波などの他、リングモジュレーターが搭載されています。下のノブは「PITCH」となっており、-12~+12の範囲でピッチコントロールを行なえます。OSCILATTOR 2の「SCALE」では、16’~2’の範囲で音程を調節できます。

2 PORTAMANE/MASTER TUNE
 PORTAMANEノブでは、ポルタメント・タイムを0~10の範囲で指定できます。ポルタメントとは、トロンボーンの演奏のように、徐々に音程を変えながらスライドするように移動する効果のことです。MASTER TUNEのノブでは、全体の音程を-5~+5の範囲で音程を調節できます。

3 VCO MIXER
 2つのVCOレベルを調節できる、VCO MIXERです。

4 FREQUENCY MODULATION/MODULATION GENERATOR
 VOLTAGE CONTROLLED OSCILATTOR 1、2のピッチに適用するMODULATION GENERATORの深さを設定します。MODULATION GENERATORでは、KEYSYNC、TEMPO SYNCの設定の他、波形や周波数の設定が可能です。EG1/EXTでは、ENVELOPE GENERATOR 1からのピッチに適用するモジュレーションの深さを設定できます。ENVELOPE GENERATOR 1での設定項目は、トリガーがかかってからの効果を設定するノブが並んでいます。

5 VOLTAGE CONTROLLED HIGHPASS FILTER/LOWPASS FILTER
 HIGHPASS/LOWPASS FILTERのCUTOFF FREQUENCYノブでは、ハイパス/ローパス・フィルターの周波数を設定することができます。また、下に配置された「PEAK」では、低域を持ち上げます。これは、シンセサイザーでよく使われる「レゾナンス」と同じ効果と考えて良いでしょう。

6 CUTOFF FREQUENCY MODULATION
 MG/T.EXTは、ハイパス/ローパス・フィルターの各カットオフ周波数に作用するモジュレーションの深度を設定できます。EG2/EXTはMODULATION GENERATOR 2で設定したエンベロープの深度を設定します。

7 EFFECT
 シンセ用のエフェクトを適用できる「EFFECT」ボタンです。このエフェクトボタンはドラムマシンのサウンドエディットセクションにもあり、個別にエフェクターを使ってのサウンドメイクが可能です。

MS-20-PATCH PANEL(パッチ・パネル)

 MS-20の最大の特徴である、パッチパネルです。パッチングの世界は奥が深いので、全ての説明はできないのですが、KORG のWEB サイト(http://www.korg.co.jp/)から当時のセッティングマニュアルがダウンロードできます。パッチングを使ってさまざまなサウンドを作るセッティングチャートが掲載されているので参考にしてみてください。次ページでは、テクノやエレクトロで多用されていた代表的なパッチングを紹介しますので、ぜひ試してみてください!

Challenge 01 サウンドにサチュレーション効果を与える

 図のように「SIGNAL OUT」から「EXTSIGNAL IN」へつなぎます。すると、内部でフィードバックが起こり、歪んだようなサチュレーション効果が得られます。シンセのパッチングで作った歪みサウンドは、エフェクターの音より電子的でカッコイイですよ!

Challenge 02 サンプル&ホールド

 次に、鍵盤を押すごとにランダムで音階が鳴るパッチングを紹介します。まずは「NOISE GENERETOR」の「PINK NOISE(ピンクノイズ)」を「SAMPLE&HOLD」の「IN」に接続します。次に「KBD」の「TRIG OUT」を「SAMPLE&HOLD」の「CLOCK」へ接続します。最後に「SAMPLE&HOLD」の「OUT」を一番左上の「TOTAL」へ接続しましょう。効果がわかりやすいように「ENVELOPE GENERATOR 2」の「SUSTAIN LEVEL」を全開にし、オシレーター側の「FREQUENCY MODULATION」の「MG/T.EXT」を全開にします。この状態で鍵盤を連続して押すと、音階がランダムに鳴り、テクノなFXサウンドとなります。

Challenge 03 ベンドによるモジュレーション制御

 鍵盤の左に付いているベンドホイールを機能させるパッチングは次の通りです。「MODULATION GENERATOR」の「OUT」から「VCA」の「IN」に接続します。「MODULATION GENERATOR」のOUTは2つありますが、ここではどちらに接続してもよいです。次に「VCA」の「OUT」から左上の「TOTAL」へ接続します。そして「VCA」上にある「CONTROL IN PUT」を右下にあるベンドのアイコンが書かれたソケットへ接続します。接続したら、「FREQUENCY MODULATION」の「MG/T.EXT」や「CUT OFF FREQUENCY MODULATION」の「MG/T.EXT」を適当な位置まで上げ、「MODULATIONGENERATOR」の「FREQUENCY/TIMES」を適当な位置まで上げてください。この状態で鍵盤を押しながらベンドホイールを上げていくと「ウニュウニュ」とモジュレーションがかかるはずです。

Tips パッチングの裏技!

 このiMS-20では、パッチの「パラアウト」ができるようになっています。1つのアウトプットから、いくつもアウトが出せるので、実機ではあり得ない凶暴なサウンドを作ることも可能です。実機を持っている人も、これは気になる機能ではないでしょうか?!

次回予告
 今回は、iMS-20のキモであるシンセ部分に焦点を当てて紹介しました。次回はいよいよ曲づくりに挑戦します。

text by KOVACS
コヴァックス●ストレンジ・ユニット「Petit Mit」を始め、多数のユニット名で活動中。数々のアーティストにリミックスや楽曲を提供しており、DJイベントなども手がける。

アプリ基本情報

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KORG iMS-20

配信元:KORG INC.

iOS価格:3,000円

  • 備考

    条件: iPad 互換 iOS 4.2 以降が必要

※記事内の情報はすべてレビュー時(2012年10月29日)の情報です。

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