アイキャッチ画像

さらに完成度を高めたオールインワン制作スタジオアプリ「KORG Gadget」バージョン3.0

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

by [2017年6月29日]

 iPad、iPhone、iPad Pro全てにユニバーサル対応し、場所を選ばず音楽制作できるオールインワン制作スタジオ「KORG Gadget for iOS」のバージョン3.0がリリースされると共に、Mac OS版も登場しました。今回はMac版との違いなども含めて進化したポイントを紹介しましょう。文:内藤 朗(有限会社FOMIS)

1

KORG Gadgetバージョン3.0の新規追加ガジェットを使用したプロジェクトのメインスクリーン画面

オーディオ録音とギター系ガジェットが追加

 最新のバージョン3.0の大きな特徴はオーディオ編集に対応した新規ガジェットが追加されたことです。ボーカル録音などを始めオーディオ録音を可能にするオーディオトラックガジェットのZurich、ギター録音に最適なエフェクトとアンプシミュレータ装備のRosarioが新規に追加されたことによって、本格的なDAWとしての性格が強く打ち出されたと言えるでしょう。このオーディオ録音機能に加えて、オーディオファイルのインポートも可能です。

2

Zurichを追加したトラックの編集画面。画面下部がZurichのGUI。アナログテープデッキを基調にしたデザインが非常にユニークだ

3

Rosarioを追加したトラックの編集画面。画面下部がRosarioのGUI。ギターのマルチエフェクター的なデザインでシンプルな操作性が特徴

 また、新規ガジェットとして、オーディオ機能の追加による作品制作にとって更に支援となる16個のパッドを装備したサンプル・ベースのドラムマシン・ガジェット「Recife」が追加されています。この他、Mac版とiCloudを使用した連携、Ableton Liveへのエクスポート機能など、一層の機能充実が図られています。

4

Recifeを追加したトラックの編集画面。画面下部がRecifeのGUI。的を射た少ないパラメータながら、必要十分な機能を装備して使いやすいドラムマシンガジェットとなっている

 続いてMac OS版との違いについて解説しましょう。

Mac OS版との互換性は?

 Mac OS版とiOS版の大きな違いは、収録されているガジェット数です。iOS版では現在のところ、標準装備しているガジェット数が18、オプション追加で31となりますが、Mac OS版はオプション追加で拡張できるガジェットが最初から装備されていますので、31のガジェットが使用可能なアドバンテージがあります。iOS版の標準装備されているガジェットだけでも十分なサウンドが得られますが、オプションのガジェットが最初から使用できるのでMac OS版では更なるサウンドメイクの可能性が用意されていると言えるでしょう。更にMac OS版ではプラグインとして機能する「Gadget Plug-in Collection」が付属している点も見逃せません。AU、VST、AAX、NKS※1というプラグインの主なフォーマットに対応していますので、使用しているDAW上で※2ガジェットを使用できます。iOSアプリとしてリリースされているKORG Moduleを始め、iM1、iWAVESTATION、ARP ODYSSEiをモデルにしたガジェットも標準バンドルされているなど、制作環境のシンセ音源のプラグインを拡張したい人にも最適です。この他の違いは、各OS依存の操作性による違いですので、実質的にはガジェット数とプラグイン対応の点のみと言えるでしょう。尚、Mac OS版とiOS版を両方使用する場合のデータ互換に関しては、MIDIやオーディオ書き出しでやり取りできる以外にiCloud経由でプロジェクトを同期可能です。
※1:NKSへの対応は次期バージョンで予定されている。
※2:対応DAWについては同社サイト製品ページ参照。 

追加モジュール紹介

 まずはオーディオトラックガジェットのZurichから紹介しましょう。
 オーディオ録音を行う際には、オープンリールデッキのようにテープが回転したり、入出力信号の状態に応じてVUメーターが振れるといったアニメーション動作が印象的です。
 一般的にDAWでの制作においては、ループ素材や効果音素材などのオーディオ素材をインポートして使用することも良く行われます。Zurichではオーディオファイルをインポートできますが、手段としてはDropBoxやAudioCopy、AudioShareなどの方法で行えます。
 既にiPadなどの中にあるオーディオ素材を使う場合にはAudioCopyやAudioShareで取り込むと便利です。
 この機能を応用すると、KORG Gadgetの任意のガジェットインストゥルメントをオーディオエクスポートした後に、Zurichにフレーズ素材としてインポートし、Zurichに内蔵されている多様な26種類のエフェクトを使用してエディットする、ということもできます。

5

Zurich上にオーディオインポートでループ素材を読み込む際のメニュー画面。インポート方法にはDropBox、AudioCopy、AudioShareのいずれかの方法で行うことができる

6

ZurichのGUI中央でエフェクト設定が行えるので、オーディオ素材を自由にサウンドデザインできるのもバージョン3.0の魅力の一つと言えるだろう

 また、Zurichでもエレキギターの録音はできるのですが、エフェクトとアンプシミュレータ装備のRosarioを使用すると便利です。
 こちらはアンプシミュレータが19種類、キャビネット12種類に加えてエフェクトが24種類装備されており、これらのエフェクトを組合せたプリセットが32種類用意されていますので、イメージに近いギターサウンドを手早く設定することができます。

7a

Rosario上でアンプシミュレータの種類を選ぶ位置

7b

同じくキャビネットの種類を選ぶ位置

7c

同じくエフェクトの種類を選ぶ位置。エフェクトは右2つの部分がエフェクトとなり、それぞれで別々のエフェクトが選択可能だ。

 そしてリズムマシンガジェット「Recife」ですが、Future Electronica、Future Garage、Future R&BといったFuture系のジャンルも含んだイマドキのトラックメイクに適したドラムサウンドセットが30種類内蔵され、コンテンポラリーなドラムパターンが作成できる他、各パッドにアサインされたサンプル波形はリバースやピッチの変更などのエディットができる他、音符分解能の設定によってリピート回数や速度が設定可能なリピート再生なども行え、打ち込んだドラムパターンに様々なギミックを施すことが可能です。

8

RecifeのGUI上で黄色の枠線で囲んだ部分がエディットパラメータの配置された部分となる。少ないパラメータながら、本格的なエディットが行える

完成度の高い音楽制作ツールに

 バージョン3.0に追加されたオーディオ系ガジェットは、機能としては単なる録音編集機能が追加されただけですが、これらのガジェットの追加によってトラックメイクの可能性をある意味無制限に拡張したと言えるでしょう。
 また、Mac版のリリースにより、デスクトップ環境でも作業できることから、より緻密なトラックメイクが可能となるだけでなく「Gadget Plug-in Collection」を活用することで合のDAWとの連携もよりスムースに行えるようになるなど、宅録制作派の人にも魅力的なアプリとなったのではないかと思います。まだKORG Gadgetを試したことのない方は、使用可能なガジェットやトラック数が限定された無料でダウンロードできる簡易版iOSアプリ「KORG Gadget Le」もリリースされていますので、この機会に試してみてはいかがでしょうか。

アプリ基本情報

アイキャッチ画像

KORG Gadget

配信元:KORG INC.

iOS価格:4800円

  • バージョン iOS:3.0.1

※記事内の情報はすべてレビュー時(2017年06月29日)の情報です。

PageTopへ