タイトークラシックス版「RAYFORCE」タイトル画面中央の赤い機体がゲーム中での自機である汎用型攻撃機RVA-818“X-RAY”である

タイトークラシックスから復活「RAYFORCE」前編

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by [2017年7月07日]

タイトークラシックス版RAYFORCEタイトル画面中央の赤い機体がゲーム中での自機である汎用型攻撃機RVA-818“X-RAY”である

タイトークラシックス版RAYFORCEタイトル画面
中央の赤い機体がゲーム中での自機である汎用型攻撃機RVA-818“X-RAY”である

アーケードゲームの歴史において、1970年代~1980年代がスペースインベーダーに始まるシューティングゲームの時代であったとするならば、1990年代は間違いなく対戦格闘ゲームの時代でした。

カプコンのストリートファイターII(1991年)の大ヒットに始まり、SNKの餓狼伝説(1991年)・龍虎の拳(1992年)などが続き、さらにこれらの続編がシリーズ化されてそれらもヒットした結果、この時期のゲームセンターでは並んでいる筐体の8割方が対戦格闘ゲームで、発表されたばかりの新作シューティングがほとんど見当たらない、なんて状況が当たり前のようになっていました。

※その残りも大半が脱衣麻雀ゲームや80年代末頃から流行していたテトリスを筆頭とする落ち物系パズルゲームなどで、それでさえコンパイルのぷよぷよ(1992年)のように対戦プレイという対戦格闘ゲームの要素を取り入れる状況でした。そのため、シューティングゲームはあっても1台か2台程度という店が珍しくありませんでした。

こうした状況下、1990年代になるとそれまであれほど隆盛を極めていたシューティングゲームは、このジャンルを得意分野としていた東亜プランの倒産(1994年)などもあって、急激にその数を減らすことになりました。

しかし、その数が減ったからといって、質が低下した訳ではありませんでした。

むしろ、半導体技術の進歩の恩恵を受けて基板の性能が向上した事もあって、セイブ開発の雷電(1990年)やタイトーのメタルブラック(1991年)、ビデオシステムのソニックウィングス(1992年)など、演出やシステムなどで工夫を凝らした、その後シリーズ化される作品や名作として今なお評価される作品群が、この時期に集中的に発表されました。

市場のパイが小さくなったからこそ競争が厳しくなり、どこかに新しい切り口のある、そしてより完成度の高い作品でないと生き残れなくなったのです。

実際、当時のゲームセンターでは長期間対戦格闘ゲームが稼働し続ける一方で、シューティングゲームは入荷したと思ったらろくにプレイする間もなく次の新作に置き換わっていた、ということが結構あったものでした。

冬の時代に現れたRAYFORCE

そして1994年、こんなシューティングゲームにとって冷え切った時代に、1つのタイトルがタイトーから発表されました。

そのゲームの名はRAYFORCE(レイフォース)。

ロックオンレーザーと呼ばれる攻撃面での新基軸に加え、スプライトを多用する2Dグラフィックスの限界を極めたかのようなエリア1冒頭からエリア7のラスボスまで途切れる事のないシームレスな演出、それに各エリアの演出と連動する印象的なBGMにより、これは厳しい状況であったにもかかわらず人々の記憶に残るゲームの1つとなり、以後続編が2本リリースされRAY(レイ)シリーズと通称されるほどの成功を収めました。

※所定のサイズの予め用意されたキャラクタ画像をそれ専用のビデオメモリ空間上で移動させる事で、高速かつ軽負荷で二次元空間でのキャラクタの移動表示を実現する技術。

しかし、そんな成功作であったにもかかわらず、この作品は家庭用ゲーム機やパソコン向けの移植作にはお世辞にも恵まれたとは言えませんでした。

直後の時期からアーケードゲーム機・家庭用ゲーム機の双方でポリゴン技術を基礎とする3Dグラフィックスの普及が進んだ事や先に触れた対戦格闘ゲームブームもあって、スプライトを極限まで酷使するこの世代の2Dグラフィックスによるシューティングゲームはそもそも移植の機会がほとんどなく、またポリゴンデータの3D表示に特化したアーキテクチャを備えスプライトの多重合成表示やラスタースクロールといった技術を苦手としたPlayStationやその後継機種であるPlayStation 2が家庭用ゲーム機市場を制覇した結果、不出来な移植しかできなかったりしたためです。

※これは同じくスプライトを駆使して画面が構成されていた2D対戦格闘ゲームの移植作でも決して無視出来ない問題となりました。このため、特に初代PlayStationが大きなシェアを占めていた頃にはこの種のスプライトを多用するタイプの2Dグラフィックスを使用するゲームを好むユーザーは、半ば否応なしにこれに適したアーキテクチャを備えるSEGA SATURNを購入せざるを得ない状況となっていました。また、縦スクロールシューティングゲームの場合、アーケード機ではディスプレイを縦にして表示するのを前提として画面が構成されているのが一般的であったため、横長のテレビに表示するのが基本の家庭用ゲーム機では、移植の際の画面再構成に難渋することにもなりました。

加えて言えば、それらの「次世代」据え置き家庭用ゲーム機ではNINTENDO 64を除き全てがソフトウェア供給にCD-ROMやGD-ROM、DVD-ROMといった光学メディアを使用していたこともこの種のゲームには逆風となりました。

この時期、ゲーム中のBGM再生にはCD-ROMの場合だと手間を避けてCD-DA、つまり音楽CDと同様の形で録音された音源を単純に再生する構成のものが多かったのですが、この方式では当時のアーケードゲーム機で多用されていたFM音源チップを中心とする音源デバイスによるBGMの無限ループ再生を再現できなかったためです。連続的に必要な時間分だけ無限ループで再生する音源を録音・収録しておいて、それを鳴らすという回避策もありましたが、それでもステージの継ぎ目で曲が切り替わるところでは各ステージデータの読み込みの必要もあって曲の再生がしばらく途切れていわゆる「Now Loading」状態となってしまうのが避けられず、オリジナルでタイミング良く楽曲もつながるのが演出上重要だったゲームでは、その演出が台無しにされてしまうことも珍しくありませんでした。

かくして、アーケードゲームとしての高い評価・令名とは裏腹に、家庭用ゲーム機では事実上唯一スプライト特化のハードウェアを備えていたSEGA SATURN向けの移植を除き、この時代の2Dグラフィックスによる縦スクロールシューティングゲームの大半は低評価、あるいは完全に忘れ去られてしまうようなひどい出来のものが横行することとなり、このRAYFORCEもその例に漏れませんでした。

筆者が実際に購入したRAYFORCEのWindows 95版(諸事情でLayer Section(レイヤーセクション)としてリリースされました)とPlayStation2版(タイトーメモリーズII 上巻に収録)はいずれも先に触れたような問題がことごとく悪い方向に影響を及ぼしていて、しかもWindows 95版は古いDirect X 3対応であったことからWindows 2000以降の新しいWindowsで動作せず、後年発売されたPlayStation 2版も操作遅延があまりにひどくてまともにプレイもできないという大惨事となってしまっていました。

後続のRAYSTORM(レイストーム)とRAYCRISIS(レイクライシス)は元になったアーケードゲーム基板自体が初代PlayStation上位互換機種だったことや縦スクロールシューティングゲームながらポリゴンを使用する3Dグラフィックス描画かつディスプレイも横画面表示であったことから、PlayStation版やWindows版で傑作、あるいはまずまず以上の出来の移植が得られたのと比較するとあまりに対照的で、しかも不遇であったと言えます。

ちなみに初代PlayStation版RAYSTORMがリリースされた1996年当時、開発元であるTAITOは自社で音楽レーベル「ZUNTATA RECORDS」を立ち上げて自社製ゲームのBGM集やそのアレンジアルバムを発売していて、このRAYFORCEも「RAYFORCE Rubbing Beat」という作曲者であるTAMAYO(河本圭代)氏自身が手がけたアレンジアルバムが1997年に発売されていました。

※BGM集のCDはZUNTATAレコード設立前であったため、1994年にポニーキャニオン・サイトロンレーベルから発売されていました。なお「RAYFORCE Rubbing Beat」は1996年発売のRAYSTORMのBGM集(アレンジバージョンの楽曲を含む)とPlayStation版オリジナルモードのBGMを基礎とした作曲者であるTAMAYO氏自身によるアレンジアルバムという立ち位置で翌年に発売された「RAYSTORM ~New-Tanz Mix~」の2タイトルに続く形で発売されています。

恐らく、これらの音楽CDとその印象的な楽曲でRAYFORCEというゲームを知った人も少なくなかったことでしょう。

当時隆盛を誇っていたMIDI音源によるDTMではこのRAYFORCEの楽曲が題材として取り上げられる機会が多くみられました。

特にゲーム開幕直後のエリア1に鳴り響くメインBGMである「Penetration」はその勇壮でどこかもの悲しく印象的なメロディもあって人気があり、その打ち込みデータが草の根BBSなどのパソコン通信を介して広く流通したりしました。

しかし、そうした楽曲の人気とは裏腹に、前述したような事情からこのRAYFORCEは長らくアーケード基板そのものを所有しているか、それともSEGA SATURN版Layer Sectionを持っている人でないと家では満足に遊べない、一種の幻のゲームと化していました。

※SEGA SATURN版はWindows 95版と同じ事情でLayer Sectionとして発売されたのですが、こちらは「音楽以外はほぼ完璧」と評されるほどの高い完成度で強い支持を得ており、対応ハードウェア・環境の適不適が明暗を分けた形となりました。

RAYFORCEの復活

こうして「曲は知っているけどゲームは遊んだ事がない」という、知名度の割に不遇な状況だったRAYFORCEに救いの手がさしのべられたのは2012年、オリジナルのアーケード版がリリースされてから実に18年が経った後の事でした。

「ダライアスバースト クロニクルセイバーズ」「ダライアス」シリーズの最新作で、Xbox One・PlayStation 4・Steam版などではダウンロードコンテンツ(DLC)の形で過去の(他社を含めた)シューティングゲーム各種の自機が販売されており利用できる。その中にはこのRAYFORCEの自機「X-RAY」も含まれる

ダライアスバースト クロニクルセイバーズ
ダライアスシリーズの最新作で、Xbox One・PlayStation 4・Steam版などではダウンロードコンテンツ(DLC)の形で過去の(他社を含めた)シューティングゲーム各種の自機が販売されており利用できる。その中にはこのRAYFORCEの自機「X-RAY」も含まれる

この頃、開発元であるタイトーはスクウェア・エニックスに吸収合併され実質的にブランド名を残すばかりとなっていたのですが、2009年にPlayStation Portable向けとして横スクロールシューティングゲーム「ダライアス」シリーズの最新作「ダライアスバースト」をリリース、2010年にはこれをアーケードゲーム化した「ダライアスバースト アナザークロニクル」をリリースし、さらにRAYシリーズ第2作であるRAYSTORMをXbox 360・PlayStation 3向けに高解像度化し幾つか新要素を追加した「RAYSTORM HD」としてリリースするなど徐々に復活の兆しを見せるようになっていました。

そうした中で、急速にGPU・CPU共に高性能化しつつあったiPhoneをはじめとするiOS端末向けとしてRAYFORCEがシリーズ第2作であるRAYSTORMと共にリリースされたのです。

画面中央の巨大な緑色のキャラクターが崩れ歪んでいる様に見えるがこれは画像の破損ではない。キャラクターをぶれる様にして歪ませて表示するこのラスタースクロール技術は当時の2Dシューティングゲームで一世を風靡した演出技術の1つであった

画面中央の巨大な緑色のキャラクターが崩れ歪んでいる様に見えるがこれは画像の破損ではない。キャラクターをぶれる様にして歪ませて表示するこのラスタースクロール技術は当時の2Dシューティングゲームで一世を風靡した演出技術の1つであった

かつてRAYFORCEの移植を難しくしたラスタースクロールをはじめとするスプライトなどの2Dグラフィックス描画による演出の数々は、この頃にはGPUやCPUの高性能化によりスマートフォンでも(高性能機種でのプレイが望ましいものの)再現できるようになっており、また縦画面で利用されるのが常態のスマートフォンは、この種の縦スクロールシューティングゲームをプレイするには好適な環境でもありました。

難点としては、画面上にボタンを表示する必要があって自機移動をフリック操作で行うため操作性に問題があったのですが、このiOS版ではそれ以外はほぼ完全と言って良い再現性が実現されることになりました。

もっとも、言い替えればこのiOS版RAYFORCEは(この種の縦画面シューティングゲームをスマートフォン向けに移植した作品の例に漏れず)操作性に難があったと言え、また廉価なiOSデバイスであったiPod Touchで動作させた場合、プロセッサ性能の絶対的な不足から処理落ちが起きやすいという問題もありました。

とは言え、これまでリリースされた他の移植版と比較すれば格段にまともな、素晴らしい完成度と再現性であったのは疑いなく、筆者の周囲では「これで何らかのジョイパッドに対応してさえいれば」という声があった程でした。

そしてそのiOS版リリースから約5年を経て、タイトークラシックスシリーズの1つとして、改めてRAYFORCEがスマートフォン向けに移植されました。

それも、前回はiOS版しか提供されなかったのが、iOS・Android双方での提供となり、一定の条件は課せられていますが両OSでBluetooth接続ジョイパッドに対応、更にはアレンジバージョンでステージ1に限ってメインBGMである「Penetration」の最新のアレンジバージョンを追加されるという、iOS版で指摘や要望のあった点に極力寄り添い対処される形での移植が実現することになったのです。

加えてRAYシリーズの残り2作、つまりRAYSTORMとこれまでスマートフォン向け移植版の無かったRAYCRISISについても同様の移植版提供が行われることも発表されました。

※RAYCRISISは侵食率システムと呼ばれる特殊な仕組みを備えていてステージ構成が変則的であったためもあってか、これまで初代PlayStation向けにこのステージ進行に関わるシステムやゲーム経過の記録システムなどアーケード版で決して成功とは言えなかった/時代に先駆けすぎた新要素を大幅に変更・アレンジの上で移植されたのみに留まっています。このため、今回のタイトークラシックスでの移植では特に評価が分かれた侵食率システムが再現されるかどうか注目を集めています。

iOS版は旧バージョンから無償アップデートを実施

さらにRAYFORCEとRAYSTORMについては既存のiOS版ユーザーは通常のアップデートでこの最新タイトークラシックス版へ無償アップデートされることもアナウンスされ、実際に筆者が自前で購入しiPhone 7 Plusへ事前にインストールしていたiOS版RAYFORCEはリリース開始後に正しくアップデートされています。

※これについては、RAYFORCEもRAYSTORMも元のiOS版が32ビットコードでアプリが書かれていたために今後のiOSアップデートで動作しなくなる可能性があることが予告されていて、有償で販売されたアプリである以上、何らかの対処が必要であった事も影響したようです。

ジョイパッドへの対応

PXN PXN-6603MFi認証を受けたBluetooth接続ジョイパッドの例。iOSデバイスで「RAYFORCE」をジョイパッドにてプレイするにはこの種のMFi認証パッドが必要となる

PXN PXN-6603
MFi認証を受けたBluetooth接続ジョイパッドの例。iOSデバイスでRAYFORCEをジョイパッドにてプレイするにはこの種のMFi認証パッドが必要となる

筆者が過去にAPPREVIEWで書いたシューティングゲームのレビュー記事をお読みになった方にはご記憶の方もおられるかと思いますが、筆者はこれまでそれらのタイトルで操作系の見直しを、具体的には画面上への仮想ジョイスティック/ジョイパッド表示によるフリック操作の見直しを繰り返し訴えてきました。

これはシューティングゲームの場合、タッチパネルでの自機のフリック操作が様々な問題、例えば指や仮想ジョイスティックの各ボタンに隠れて想定外の方向から行われる敵の攻撃が視認できない、あるいは自機を移動しながらショットやスペシャルアタック(ボム)が使えない/使うのが恐ろしく難しいといった問題があって、そもそもゲームにならない/「稼ぎ」の要素が潰されてしまうケースが少なからずあるためです。

※この種のゲームでは、ショットの連射とボムやスペシャルアタック、あるいはロックオンレーザーの使用などの選択によって敵機撃墜/破壊時のスコア計算が異なっていることが珍しくありません。例えばRAYSTORMだと一つの敵にロックオンターゲットの指定を上限まで集中させることでロックオンレーザーが絶大な攻撃力のハイパーレーザーに変化するシステムとなっており、途中で勝手にロックオンレーザーを撃たれてしまう「AUTO」モードとは全く異なった操作性・爽快感となっています。

これはつまり、折角の移植でもアーケードでやっていたような遊び方で遊べない場合があるということで、極端なケースでは「○○というゲームのキャラクターや背景・BGM等を使用しただけの似て非なるゲーム」という酷評を受ける一因となることさえありました。

それだけに、今回のタイトークラシックス版でiOS版においては若干の制約があるもののBluetoothで接続したゲームコントローラー(要MFi認証)を使った操作が可能になったのは、理想に一歩近づいたと言え、大変喜ばしいことです。

後編に続きます。

アプリ基本情報

タイトークラシックス版「RAYFORCE」タイトル画面中央の赤い機体がゲーム中での自機である汎用型攻撃機RVA-818“X-RAY”である

RAYFORCE

配信元:TAITO Corporation

Android価格:840円 レイシリーズ3部作連続配信キャンペーンとして第3弾のレイクライシス発売(2017年夏予定)まで600円 / iOS価格:840円 レイシリーズ3部作連続配信キャンペーンとして第3弾のレイクライシス発売(2017年夏予定)まで600円

  • バージョン Android:1.0 / iOS:1.1.1

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※記事内の情報はすべてレビュー時(2017年07月07日)の情報です。

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