タイムギャル  仮想ジョイパッドを画面手前に表示するようにした状態ナビゲーターを購入して有効にしているため、操作指示が表示されている

強烈なる80年代テイスト~タイトー「タイムギャル」を遊ぶ~後編

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by [2017年6月12日]

前編では主に1980年代に一瞬だけ存在したLDゲームについてご紹介しました。

後編ではそのLDゲームの代表作の1つとして知られ、今回タイトークラシックスの第1弾としてリリースされた「タイムギャル」についてご紹介しましょう。

容量は1.9GBオーバー!

タイムギャル iOS版製品紹介ページご覧のとおり2017年4月のリリース開始直後の段階ではファイルサイズは1.71GBだった

タイムギャル iOS版製品紹介ページ
ご覧のとおり2017年4月のリリース開始直後の段階ではファイルサイズは1.71GBだった

この「タイムギャル」がiOS・Android向けに移植されると聞いて筆者が真っ先に心配したこと、それは「事実上LDの映像と音声を直に再生しているだけだった動画部分はどのように再現するのだろう?」※注1ということでした。

※注1:この種のゲームの例に漏れず、オリジナルのLDゲーム版ではスコアなどの各種情報表示は動画にオーバーラップさせる形でLDの制御を行うコンピュータのグラフィックス出力を利用していました。

元はLDの盤面に、当時のテレビよりはマシというレベルのアナログNTSC信号で記録されている映像ですが、それでも少なく見積もってもLD 片面1枚収録の動画※注2となるとそれはそれで結構な容量を必要とします。

※注2:チャプタのアクセス制御を考えると、長時間収録に適したCLV(線速度一定)記録ではなく、CAV(角速度一定)記録、つまり回転数を固定した状態での記録方式での再生を行っていたと考えられ、その場合LDの規格から映像の収録時間は30分未満となります。

しかし、それはこの動画パートをキャプチャし現行の適当な圧縮CODECで圧縮してやれば、このゲームにおけるゲーム本体のビジュアル的な部分の諸問題はほぼ全て解決してしまうということでもあります。

問題は、その動画の圧縮率と画質です。

ダウンロードコンテンツだから回線に負担をかけないように、と容量削減を優先し圧縮率を大きく上げて画質を下げてしまえば、そもそも一体何のための移植だと言われてしまいますし、かと言って画質を最優先してファイルサイズを青天井で大きくしてしまうと、速度や利用可能なデータ量に厳しい制約のある低価格通信サービスを使用し、内蔵ストレージ容量が8GBとか16GBクラスの端末を使用しているユーザーから大きすぎると苦情が殺到しそうです。

しかし、TAITOはやってくれました。発売開始直後の時点でファイルサイズ1.71 GB。5月末に行われたバージョンアップ後でファイルサイズ1.92 GB(ダウンロードコンテンツを除く)とこの種のアプリとしては破格の巨大アプリとして「タイムギャル」がリリースされたのです。

アプリのプログラム本体部分のファイルサイズは他のアプリの実績から類推してせいぜい数十メガバイトから多くとも数百メガバイトの範囲と考えられます。

つまり、恐らくは少なく見積もっても1.5 ~ 1.6 ギガバイト程度が動画データに割当てられていると推定でき、実際の動画再生画質や再生時間、それにLDの収録時間の制約などから判断するとMPEG 4/h.264系の圧縮コーデックを利用して動画圧縮を行っている可能性が高いと言えます。

さて、肝心の画質ですが、元がアナログ映像収録のLDであることやその色調などを勘案すると、若干抑え気味ながら元の味わいを殺さない絶妙なチューンとなっていると言え、この画質・色調共にまずまずの出来と言えます。

タイムギャル  仮想ジョイパッドを画面手前に表示するようにした状態ナビゲーターを購入して有効にしているため、操作指示が表示されている

タイムギャル 仮想ジョイパッドを画面手前に表示するようにした状態
ナビゲーターを購入して有効にしているため、操作指示が表示されている

また、少なくともiPhone 7 Plusにてプレイしている限りは、画面上に表示される仮想スティックコントローラの方向スティック(仮想)やメインボタンの配置などはよく考えられた、シンプルながら実用性の高いレイアウトとなっています。

特に、画面左下に表示された十字方向キーがゲーム本来の画面より手前に表示されるか、それとも奥に表示されるかという優先順位(Priority)をプレイ中いつでも切り替えられるよう、画面左上にそのアイコンを本来の画面と重ならないよう表示してあるのは大変ありがたいことです。

このあたりはやはり方向キーを仮想ジョイパッドで使用するシューティングゲームでもしばしば議論になるのですが、この種の表示が有無を言わさず常時一番手前で表示され続けるよりも、必要に応じ優先順位を変更できた方がより望ましいのではないかと筆者は考えます。実際、ステージによってはパッドがそのステージ上を見渡せないことがプレイヤーの不利益につながるというケースがあり得ます。

ちなみに画面外側の右下にはメインボタンが置かれ、右上には課金アイテムであるナビゲーション機能の表示枠が用意されています。

この馬鹿笑いして大口を開けているオッサンこそがルーダ、諸悪の根源たる大悪党であり、レイカが追い求めている最終目標でもある

この馬鹿笑いして大口を開けているオッサンこそがルーダ、諸悪の根源たる大悪党であり、レイカが追い求めている最終目標でもある

かつてオリジナルの「タイムギャル」を遊んだか見ていた方ならご存じかと思いますが、このゲームは操作のタイミングなどが結構シビアで、少しでも気を抜くとゲーム本編に埋め込まれた選択ガイドの黄色い表示を見落としてあっという間に、それこそ秒殺でデフォルメされたレイカさんがルーダのオッサンに高笑いされることになってしまいます。

そのため、タイミングや仮想パッドの位置関係などを身体で覚えるまではこのナビゲーション機能を買って有効化し、模範タイミングを表示してもらった方がよろしいでしょう※注3

※注3:なお、筆者は120円を支払ってこのナビゲーション機能を購入しましたが、この機能で操作タイミングを案内するようにしてもなお、実際のタイミングが合わず操作をミスすることが多々ありました。これはオリジナルの「タイムギャル」の操作系タップ判定が相当厳しく設計されている上に、タッチパネルと実際の操作位置に微妙なずれがあったことが原因のように思います。

なお、ナビゲーション機能は難度設定と連係動作するようになっており、例えば高難度設定でしかも同時にプレイしているのにナビゲーション有効だと、手を抜いてずるをするな、と言わんばかりに後から自動でナビゲーション機能が無効化されるようです。

ただ、画面上に表示される仮想パッドは筆者が使っているiPhoneのタッチパネルの個体差もあるかもしれませんが、今ひとつ感度が良くなく、タイミングを外してしまうこともすくなくありませんでした。

現状ではこのあたりの感度は調整できない仕様ですが、できればタッチパネルの感度調整は欲しい感じです。

実際に遊んでみる

さて、それでは実際に「タイムギャル」を遊んでみるとしましょう。

このゲームのストーリーはタイムマシンを奪って逃走した大悪党ルーダを追って「タイムギャル」ことレイカが様々な時代にタイムジャンプ、行く先々で襲いかかる様々な敵に対処し、やがてルーダと対決する、というごくシンプルな追跡ものです。

キャラクターデザインや作画は担当したのが本人かどうかは明言されていませんが、明らかに80年代中盤当時の「うる星やつら」や「ダーティペア」で活躍したアニメーター、土器手司の強い影響下にあったものの1つと言え、その一方でアクションシーンなどを中心に、当時一部で流行していた、伝説のアニメーター金田伊功(かねだよしのり)の特徴的なパースのかかった作画※注4や独特のアクションを模倣したと思しきカットも出てくるなど、良くも悪くも1980年代のテレビアニメやオリジナル・ビデオアニメーションの流行が色濃く伝わってくる作画となっています。

※注4:あまりに歪みに歪んだ、他例のないような極端なデフォルメのかかった、けれども独特の迫力のある作画で、「無敵超人ザンボット3」「無敵鋼人ダイターン3」「銀河旋風ブライガー」といったいわゆる巨大ロボット物の作品群で勇名を天下に轟かせたものです。

二頭身になってコミカルにひどい目に遭うレイカさんこのゲームではシチュエーションごとにこうしたシーンが多数用意されており、全部見るには大変な手間がかかる。しかしLDゲーム現役の当時、お目当てのシーンを見たいがために100円玉を湯水のように投じた猛者もいたのであった

二頭身になってコミカルにひどい目に遭うレイカさん
このゲームではシチュエーションごとにこうしたシーンが多数用意されており、全部見るには大変な手間がかかる。しかしLDゲーム現役の当時、お目当てのシーンを見たいがために100円玉を湯水のように投じた猛者もいたのであった

このゲームではレイカはプレイ中、操作ミスをするとすぐ溺れたり痺れたり吹き飛ばされたりと。およそ考えつく限りの散々な目に遭うのですが、これらのシーンでは強くデフォルメされた二頭身のギャグキャラクターになってしまいます。

このあたりのシーンでは、レイカを演じた声優、山本百合子さんのアドリブによる演技が大変に印象的です。

まぁ、こうしたユーザーの自機(相当)のキャラクターでデフォルメを基本とするも80年代のアニメ作品で盛んに見られた演出で、シーンごと、シチュエーションごとに用意されたこのデフォルメキャラによるある特定のシチュエーションでのみ使われるゲームオーバーを見たいが故にゲームセンターに通ってこのゲームをそのプレイし続けた熱心なファンがいたことが知られていました。

問題のタイムストップ状態右下に表示される制限時間内に選択肢を正しく選べば絶体絶命の窮地から脱する事ができる。ただし、間違えると即アウトである

問題のタイムストップ状態
右下に表示される制限時間内に選択肢を正しく選べば絶体絶命の窮地から脱する事ができる。ただし、間違えると即アウトである

また、ゲームのプレイ中、レイカはボタンを押せば必要に応じて「タイムストップ」と叫んで周囲の時間を止めてしまうという荒業が使えるのですが、この際に所要時間の制限つきで表示される各シチュエーションの選択肢を間違えると即アウトだったりします。

もっとも、この選択肢は物によっては間違いでもアウトにならないものがあって、LDゲーム版が現役だった当時遊んでいた熱心なゲーマー達はこのあたりの分析に大変な手間とお金を要したものでした。

なお、この作品ではボスであるルーダ以外にも登場する敵キャラが多種多様なのですが、その中には80年代当時「北斗の拳」で一気に有名になったあの「モヒカンヘッド」の暴走族風キャラまで出演しており、徹頭徹尾テンプレでお約束な彼らの行動や台詞を楽しめます。

ちなみに、レイカのタイムジャンプ先は最後のルーダがいるA.D.4001年にたどりつくまでは、ランダム指定となっており、16-1=15の異なった時代に飛ばされるため攻略法を見出し、それを全部覚え込むのはなかなか大変です。

これを1回200円、しかもどのステージも初見殺しの要素山盛りのこのゲームでやっていた先達には素直に頭が下がります。

A.D.1941ステージ時代が時代なので日本軍の航空機が多数出演する。各機のプロポーションやアンテナ線の張り方など、結構マニアック

A.D.1941ステージ
時代が時代なので日本軍の航空機が多数出演する。各機のプロポーションやアンテナ線の張り方など、結構マニアック

その移動先にはB.C.70,000,000、B.C.65,000,000年といった恐竜が登場するクラスの途轍もなく「古い時代」がある一方で、1941年、1990年、2000年、2010年など比較的今に近い、1941年以外はLD版リリース当時は近未来だった時代が偏って登場します。

その1941年は第二次世界大戦中の航空機による戦闘シーンがこれでもかと言わんばかりに描かれており、これだけで満足したという方がおられるかも知れません。

逆に、「1985年当時のアニメーター達が考え描いた未来像」である1990年・2000年・2010年では、既に過ぎ去ってしまったそれらの「未来像」からはそこはかとないおかしさや香ばしさが目立ち、比較的近い時代の未来像を予測し描き出すという行為の抱える難しさを痛感させられます。

まぁ、この種の未来予測は普通にやっても色々厳しい面があって、それが外れたからと言ってこの作品の価値が減じるわけではありませんが。

この作品が作られた1985年頃と言えば、ちょうど「北斗の拳」のアニメ版が放送開始されて間もない頃で、ああいった荒廃した未来観がコミックスやアニメの分野で流行っていた時代でありました。また、当時放映されていたSFロボットアニメ「蒼き流星SPTレイズナー」が視聴率不振のテコ入れで、それまでのハードSFの香り高い世界観から突如一変、「ヒャッハァァァァ!」な無法者が出てくるような荒廃した世界観に激変して視聴者が唖然としたのもちょうどこの頃の話で、この「タイムギャル」の各時代、中でも未来のやたらそんな感じの敵だらけなのも、当時のそういった流行が反映されたものと言えるでしょう。その観点で、この作品は80年代という時代の空気・流行を見事に切り取った「タイムカプセル」のような存在であると言えます。

原作に忠実な移植

以上、「タイムギャル」の移植版を見てきました。

これはとにかく1980年代のオタク文化の果実をもぎ取ってその場でぎゅっと絞ったような、あの時代のアニメ作品としても有数の動画パートを画質を落とさず収録したと言うだけでも万鈞の価値があると言える作品です。

しかし、だからといって他の部分が良くないというものでは無く、プレイ感は上々で、LDゲームだと避けられなかったチャプター移動の待ち時間が殆どないことなどもあって、画面タップに関わる問題を除くと操作性も良く、なかなか良い出来であると言えます。

欠点があるとすれば、何も知らないでナビゲーターも購入せずにいきなり遊ぶと、ほぼ100%プレイ開始直後に瞬殺されてしまう、容赦ない初見殺しが炸裂する難易度設定ですが、これはナビゲーターを購入すればほぼ解決する問題なので、「話に聞く「タイムギャル」でも遊んでみるか、どれどれ」と言ったノリで購入される方には、併せてナビゲーターへの課金を忘れずに行って頂きたいと思います。

これがあれば、途中手が慣れるまで追いつかなくて何度か同じ所を繰り返しプレイする必要があるかも知れませんが、少なくとも話の結末が見られるところまでは行ける様になるはずです。

実際、筆者はサクサクプレイが進んでゲーセンでは拝むことさえ叶わなかった結末を見ることができたことに、深い感動を覚えたものでした。、、

タイムギャル ムービーシアター選択画面中央上の「MISS」の文字に注目。自力でクリアする必要があるが、これがまとめて観られるのが、最大の魅力かもしれない

タイムギャル ムービーシアター選択画面
中央上の「MISS」の文字に注目。自力でクリアする必要があるが、これがまとめて観られるのが、最大の魅力かもしれない

また、今回の移植ではあの時代のゲームにはなかった※注5、ムービーシアター(プレイで順次開放)や開発資料ギャラリー(課金アイテム)やトレーニングモードまで充実していて、筆者などはこれだけでも感涙を禁じ得ません。

※注5:ただし、ムービーシアター相当の機能はPlayStation版で実装されていたようです。

これは1980年代の日本のSFアニメをこよなく愛する人にこそ遊んで欲しい、素晴らしい移植作です。

なお、開発元であるタイトーでは今後、縦スクロールシューティングゲームの名作「レイフォース」に始まり「レイストーム」「レイクライシス」と続いた「レイ」シリーズがタイトークラシックスとして移植発売されることが発表されています。

RAYFORCEタイトークラシックス第2弾。1990年代中盤にリリースされ、「ロックオンレーザー」という大発明とゲームの最初から最後までステージが一切途切れずに進行するという衝撃の演出で熱烈な支持を集めた

RAYFORCE
タイトークラシックス第2弾。1990年代中盤にリリースされ、「ロックオンレーザー」という大発明とゲームの最初から最後までステージが一切途切れずに進行するという衝撃の演出で熱烈な支持を集めた

この内「レイフォース」と「レイストーム」は既にiOS版が提供されていますが、それらに対してもMFi認証ジョイパッドのサポート(!)を筆頭に追加要素があることが明らかにされており、またこれまで無かったAndroid版も提供されます。更にはこれまでPlayStation版の決して完全とは言いがたい移植しか存在しなかった「レイクライシス」の新規移植も予告されているため、同社のシューティングゲームをこよなく愛する筆者にとっては今から期待が膨らむラインナップ展開となっています。

今回の「タイムギャル」の完成度やそのファイルサイズから垣間見えるタイトーの熱意も併せて考えると、今後のタイトークラシックスは要注目です。

筆者個人としては、横スクロールシューティングの名作でありながら「RAYFORCE」と同様にあまり移植に恵まれなかった「METAL BLACK」を出して欲しいところなのですが…。

アプリ基本情報

タイムギャル  仮想ジョイパッドを画面手前に表示するようにした状態ナビゲーターを購入して有効にしているため、操作指示が表示されている

タイムギャル

配信元:TAITO Corporation

Android価格:840円 / iOS価格:840円

  • バージョン Android:4.0以上 / iOS:7.0以降

  • 備考

    アプリ内購入によりナビゲーション機能、開発資料が購入可能。

Androidアプリのアクセス内容

アプリ内購入
画像/メディア/ファイル
USB ストレージのコンテンツの読み取り
USB ストレージのコンテンツの変更または削除
ストレージ
USB ストレージのコンテンツの読み取り
USB ストレージのコンテンツの変更または削除
その他
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※記事内の情報はすべてレビュー時(2017年06月12日)の情報です。

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