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伝説のARPサウンドをあなたのiPad/iPhoneで『KORG ARP ODYSSEi』

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by [2016年12月07日]

 ビンテージシンセサイザーの名機ARP ODYSSEYがKORGによって復刻されたのも記憶に新しいところですが、今度は同社からなんとiOSに最適化されたアプリ『ARP ODYSSEi』となってリリースされました。早速紹介したいと思います。文:内藤 朗(有限会社FOMIS)

ARP ODYSSEi とは?

 ARP ODYSSEiは、ビンテージシンセサイザーの名機ARP ODYSSEYを復刻したKORGによって開発されました。

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ARP ODYSSEiのメイン画面。実機に忠実なデザインのため、ハードウェア版を使用したことがあれば、問題なくすぐに使用できる

 同社ではこれまでも、Legacy ColectionとしてPolySixやMonopoly/Polyなど数々の自社の名機をソフト音源化していますが、独自の電子回路モデリング技術であるCMTを用いるなど、同社のノウハウも活かされており、実機のキャラクターを忠実に再現すると共に、ソフト音源ならではの機能を盛り込みソフト音源化されたものです。
 実機と異なるのは、実機では発音モードがデュオフォニックであるのに対して、本アプリでは8音までの和音演奏も可能なポリフォニック発音が可能である他、自由に演奏パターンを作成できるパターンシーケンサータイプのアルペジエーターに加えて、エフェクトも装備している点です。更に鍵盤では表現が難しい演奏を可能にするX-Yパッドコントローラも装備するなどiOSの特性を活かした操作性も盛り込まれ、オリジナルの実機では得られない一歩進んだ表現力も魅力となっています。

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ARP ODYSSEiの設定画面。Bluetooth MIDIが採用されるなど、外部機器との連携も図られている

また、KORG Gadgetのガジェットインストゥルメントとしても機能する他、Core MIDI、Virtual MIDI、Bluetooth MIDIに対応しており、外部シーケンサーからMIDIクロックを受信し、LFOやアルペジエーターのテンポ同期も可能です。

アプリ間の連携に欠かせないInter-App Audio、Audiobus 2にも対応しています。本体上で演奏する際にはGUI上の鍵盤部分だと演奏し辛いですが、演奏性を向上させるバーチャル・キーボードや、パフォーマンスを行う際に効果抜群のX-Y Padなどが装備されています。

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右上の鍵盤マークのボタンをタップすると、演奏性の良いバーチャル・キーボードが表示される。オクターブ切替ボタンで演奏したい音域も設定可能だ


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バーチャル・キーボードを選択するボタンの右には、KORG社製品ではすでにお馴染みであるX-Y Padコントローラの選択ボタンが配置され、タップすると、図のような2個のパッドコントローラで構成されるコントローラ部が表示される

ARP Odysseyとはどんなシンセサイザーだったか

 参考までに本アプリの元となったARP Odysseyについて解説しましょう。
 ARP Odysseyは、アメリカのARP Instruments社が1972年に発表し、1981年までのおよそ10年に渡ってロングセラーを続けたアナログシンセサイザーであり、同社の代表的かつ、歴史的名機としてその名を残しています。本機は、多彩で自由度の高いモジュレーションによる緻密な音作りができるのが特徴ですが、中でも高域まで倍音が多く、シャープなサウンドとなるオシレータ・シンクや、多くの倍音を含んだ金属的な響きを作り出すリング・モジュレータによる音色などはその代表的なものと言えるでしょう。
 ARP Odysseyの発売された当時は、一世を風靡していたMoog社のMini Moogが発売されており、そのライバル機として、ことある毎に比較対象の対抗馬として採り上げられていました。この2機はサウンドキャラクターも大きく異なっており、Mini Moogが分厚くホットなサウンドキャラクターだったのに対し、ARP Odysseyは硬質でクールなサウンドキャラクターを得意としていたことからも、Mini Moog派、ARP Odyssey派というように好みが分かれたことの理由と言えるでしょう。また、ライバル機だったMini Moogが3VCOでモノフォニック(単音発音)だったのに対し、ARP Odysseyは2VCOながら、発音機構の違いから2音同時に発音させた場合に各オシレータが別々の音程で発音するというデュオフォニック(2音発音)仕様だった点もユニークなポイントです。

 また、およそ10年間に渡ってロングセラーとなっていた本機ですが、発売後も改良が重ねられ、生産時期によって大きく3つのバージョンが存在します。

  1. ARP Odyssey Rev1(1972~1974年)
  2. ARP Odyssey Rev2(1975~1976年)
  3. ARP Odyssey Rev3(1978~1981年)

 これらのバージョンは本体のパネルデザインによって識別することができます。Rev1は、本体が白パネルのモデル、Rev2は黒パネル、そして黒パネルにオレンジのシルクが入ったモデルがRev3となります。
 これらのバージョンは、デザイン以外にも接続端子を始め、フィルター回路などが異なっており、この音作りに一番影響を与えるセクションが異なることは、同じARP Odysseyであってもバージョンによってそれぞれが異なるサウンドキャラクターであることも大きな特徴と言えるでしょう。
 なお、ARP Odysseyを使用していたアーティストは非常に多く、様々な作品でもそのサウンドを聴くことができるのですが、中でも細野晴臣や坂本龍一などがYMOのワールドツアーやレコーディングで使用していたのを始め、ハービー・ハンコックやクラフトワークなどが使用していたのは有名です。

ARP ODYSSEiを早速試奏してみた

 続いて本製品を試奏してみました。まずはプリセット音色をひと通りチェックして、サウンドの傾向を確認しましたが、やはり実機の復刻を行っているだけあり、実機を彷彿させる出音は好印象を受けました。特に実機の個性でもあり、個人的にも一番気に入っている独特なオシレータシンクによるシンセリードなどは、期待どおりのサウンドだと思います。
 このプリセット音色には、アルペジエーターを使用してパラメータをオートメーション的に動かし、モジュレーション的な変化を加えたものなど、実機では得られない機能が使われて作成されているものが含まれています。これらはオリジナル音色作成の際の参考になると思いますので、最初にひと通りチェックして見ることをオススメします。

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実機にはない本アプリ独自の機能である、アルペジエーターとエフェクトの設定画面。アルペジエーターは特定のパラメータの動作設定も行えるため、パラメータオートメーション的に使用することもできるのが嬉しい。エフェクトも主要なエフェクトは全て揃っており、多彩なサウンドデザインが本アプリ上で行える

 実際に使ってみると、iPadならではの操作性を活かしたX-Y Padコントローラを使用しての演奏が新鮮に感じました。出てくる音はARP ODYSSEYでありながら、最近のシンセサイザーのような複雑な音色変化を伴ったサウンドで、クリエイティビティを喚起してくれるように思います。
 また、同社のKORG Gadgetのユーザーであれば、ガジェットのインストゥルメントとしても活用できますし、外部シーケンサーからMIDIクロックを受信し、LFOやアルペジエーターのテンポ同期も行えます。
 試奏感を総括すると、本アプリはソフトシンセサイザーとしてのクオリティが非常に高く、演奏性も申し分ない機能を備えていますので、ARP ODYSSEYをiOSデバイスで十分楽しめるアプリだと言えるでしょう。

▼参考リンク
ARP ODYSSEi

アプリ基本情報

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ARP ODYSSEi

配信元:KORG INC.

  • バージョン iOS:1.0.2

※記事内の情報はすべてレビュー時(2016年12月07日)の情報です。

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