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SteinbergのマルチタッチDAWアプリがメジャーバージョンアップ『Cubasis 2』

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by [2016年11月02日]

 場所を選ばないポータブルミュージックプロダクションシステムとして定評のあるiPad用のマルチタッチDAWアプリSteinberg社のCubasisがバージョン2となりました。今回はバージョン2で追加された新機能について紹介していきましょう。文:内藤 朗(有限会社FOMIS)

Cubasisとは?

 CubasisとはiOS 32/64ビット対応、無制限のオーディオ/MIDIトラック、Core Audio、Core MIDIデバイス、MIDI over Bluetooth LE等に加え、Audio Unit※1、Inter-App Audio、Audiobusに対応したマルチタッチDAWアプリです。また、PC版の Cubase(Mac & Windows)で読込可能なプロジェクト書き出し機能も装備していますので※2、自宅の制作環境でCubaseを使用しているユーザーのモバイル用サブシステム的な用途としても活用できます。もちろんMIDI、オーディオ編集に必要な機能は十分揃っていますので、iPadを核としたポータブルDTM環境のメインDAWとした音楽制作にも活用可能です。Cubaseの主な機能や使用法などは本サイトの拙著の連載を参考にして頂き、ここでは省略させて頂きます。※1:Audio Unit 機能はiPad mini 2、iPad 4かそれ以降の機種でのみ動作します。※2:Cubasisで書き出したプロジェクトをCubaseで読み込むにはCubase Pro 8/8.5、Cubase Artist 8/8.5、Cubase LE/AI/Elements 8以降、CubaseへのCubasisプロジェクトインポーターのインストールが必要。

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Cubasis バージョン2.0のメイン画像。GUI上の大きな変更点はないが、魅力的な新機能が追加された

バージョン2.0の新機能

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フォルマント修正機能を備えたピッチシフトは上部メニューボタン中のTRANSPOSEボタンをタップすることで設定することができる

 それでは早速バージョン2.0の新機能について簡単に紹介しましょう。メーカーサイトでも告知されている通り、iOS 10への対応や、使いやすく改良・刷新されたユーザーインターフェースを始め、バージョン2.0では以下のような新機能が追加されています(ウェブより引用)。

  1. オーディオのテンポを曲のテンポに簡単にスナップする“リアルタイムタイムストレッチ”機能の追加
  2. トラックのキーを簡単に変更し、音色を調整可能な“フォルマント修正付きピッチシフト”(上図)
  3. 全てのチャンネルにチャンネルストリップを搭載
  4. DJスタイルのブレイク/ストップ/スタッター“Spin FX”
  5. 1960年代の代表的なサウンドを再現する“MicroSonic TAPE instruments”
  6. “Micrologue”に最新のプリセットを76種追加(下図)
  7. 付属のオーディオループをどんなテンポでも使用可能にするオーディオループのテンポマッチ機能の追加
  8. MIDIトラックの録音時にビートにスナップさせるMIDIオートクオンタイズ機能の追加

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Project上にMicrologueを表示させた状態

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こちらはプリセットを選択している状態。新規プリセットは(NEW)となっているので、識別しやすい

 今回のバージョンアップでは、これらの追加機能によって、より本格的かつイマドキのサウンドメイクに必須となるオーディオ編集がCubasis上で可能になったことが大きなポイントと言えるでしょう。
 続いて、実際に追加された新機能の使い勝手を試してみましょう。

バージョン2.0で作曲してみた

 魅力的な機能追加がなされたバージョン2.0ですが、主な機能を実際の曲作りを行ってチェックしてみました。
 まずはリアルタイムストレッチからですが、非常に音質的な違和感が少ない自然な変化で、実用性は十分あると言えます。操作方法も簡単で、右上のボタンをタップしたら選択しているトラックのオーディオデータを左右にドラッグすることで自由なテンポ合わせが可能です。

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オーディオトラックにループ素材を読み込んだ状態

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上部メニュー右にあるタイムストレッチ機能をオンにした状態

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タイムストレッチを適用して曲のテンポに合わせた状態

 続いて新装備のエフェクト“Spin FX”ですが、これは非常にトリッキーな効果を得られるエフェクトで、リアルタイムで変化させることができるフィルターに加えて、DJプレイに欠かせないブレイク効果を手軽に得ることができます。これによってCubasisで作成したトラックにリアルなサウンド変化の演出を加えることができるでしょう。

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Spin FXは、リアルタイムでサウンドを変化させるため、トラックのサウンドを変化させながら演奏したい場合などに非常に有効だ

 そしてMicroSonicに追加されたTAPE instrumentsは、サンプリングシンセサイザーの祖として有名な名機のサウンドを彷彿させるクワイアやストリングスなどのサウンドです。DAW内蔵の音源ながら、ライブ演奏における音源として使っても良いでしょう。

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MicroSonicに新たに追加されたサウンドTAPE instrumentsは名機さながらのサウンドが特徴的で、60年代サウンドの再現のみならず、70年代のプログレやハードロック系のサウンドテイストが欲しい時にも有効だ

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インストゥルメント上にサウンドを読み込んだ状態。新規サウンドはこのようにプリセットリスト上に表示される。

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実用的な改良点となるMIDIオートクオンタイズ機能は、上部メニューの右上にあるクオンタイズの分解能を設定するボタンをクリックして表示される設定項目のAutoQuantizeをオンにすることで有効となる

 また、リアルタイム入力でMIDIを録音する場合、多くのPC版のDAWの機能に備わっているMIDIの入力に対して設定したクオンタイズをかけてくれる機能が不可欠で、使用しているユーザーも多いと思います。この有無によって作業効率が格段に変わってきますので、これまでのCubasisではその点で不満があったのですが、オートクオンタイズ機能が装備されたことによってPC版のように作業可能になり、MIDI編集を多用する人には待望の機能追加と言えます。

 このバージョンアップによって、PC版のDAWによる制作環境へより近づいたと言えるでしょう。今回は、新機能の全てを紹介することはできませんでしたが、別の機会に改めて新機能を使用した制作Tipsなども紹介したいと思います。

アプリ基本情報

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Cubasis 2 - Mobile Music Creation System

配信元:Steinberg Media Technologies GmbH

iOS価格:6000円

  • バージョン iOS:2.0

※記事内の情報はすべてレビュー時(2016年11月02日)の情報です。

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