アイキャッチ画像

100万円超えのMoogサウンドをiOSアプリで『Model 15』

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

by [2016年7月15日]

 ここ数年、モジュラー型アナログシンセサイザーが巷で盛り上がっています。今回は、モジュラー型アナログシンセサイザーが本格的に再現されたアプリMoog Musicの『Model 15』を紹介したいと思います。文:内藤 朗(有限会社FOMIS)

iOSに最適化されたMoogのModel 15

Model_15_01a

MODEL15のメイン画面。細部まで実機に忠実なGUIに仕上げられ、クオリティの高さが感じられる

 Model 15は、Moog社のモジュラー型シンセサイザーであるModel 15を今日におけるMoogの本家とも言えるMoog Musicが再現したアプリです(図1a参照)。

Model_15_01b

iPad上ではスクロール表示で全体を表示させることはできないが、モジュール部分の全体はこのようになっている。一番下のモジュール部分がディレイやMIDI Bridge、Audio Bridgeなどのセクションで、標準的な実機にない部分となる

 実機のモジュール構成を忠実に継承しつつも、ディレイエフェクトやMIDI Bridge、Audio Bridgeの設定を行うモジュールが加えられるなど、アプリ独自の機能が追加されると共に、操作性の面では3D TouchとApple Pencilに対応するなどiOSに最適化されているのも大きな特徴です(図1b参照)。
 Moog Musicは実機の復刻版の“Model 15”も販売していますが、価格は何と10,000ドルもしますので、そう簡単に購入というワケにはいかないかもしれませんが、こちらのアプリは29.99ドル(日本円で3,600円)とリーズナブルな価格になっていますので、これからシンセサイザーを勉強しようと考えている人やシンセサイザーは使っているけどモジュラー型シンセサイザーにもトライしてみたいという人などにも最適だと言えるでしょう。

Model_15_01c

GUI右上部にあるSETTINGボタンをタップすると、各種設定が行え、CONFIGURATIONタブの中に左手操作用の設定を行うメニューがある

 その他Ableton Linkを始めInter-App Audio、Audiobus、AudioCopy、AudioPaste、AudioShareなどにも対応するなど、他のアプリや周辺機器などとの連携も十分に図られているため、様々な用途で活用できます。また、左利き専用のUI機能もオプション設定できるなどユニークな機能も備えています(図1c参照)。

和音演奏、様々なコントローラー群

Model_15_02

プリセットを選択する画面。GUI左上部に表示されているプリセット名の部分をタップすると表示される

 それでは更に細部を見ていきましょう。
 ハードウェアのモジュラー型アナログシンセサイザーの場合、その多くはモノフォニック(単音)発音となっているため和音演奏ができないのですが、Model 15は最大同時発音数4音となっていますので、和音も演奏することができます。同様な点では、ハードウェアの場合は作成した音色を保存しておくことができないものが多いのですが、本アプリの場合は自身で作成した音色を保存できるだけでなく、160種類のプリセット音色が最初から収録されていますので、音作りが始めてという人でも本格的なサウンドを出せるなど、アプリならではのメリットを備えています(図2参照)。

 続いてパフォーマンス面を見ていくと、一般的なキーボードコントローラに加えて、同社のAnimoogにも採用されているAnimoogコントローラ、Moog 1150を再現したリボンコントローラー、更に8ステップまでパターンレングスが設定できるアルペジエーターも装備していますので、様々なアプローチによるシンセサウンドのパフォーマンスが可能です(図3~7参照)。

Model_15_03

キーボードコントローラ

Model_15_04

Animoogコントローラ

Model_15_05

リボンコントローラー

Model_15_06

アルペジエーター及びその設定

Model_15_07 これら各コントローラーの表示、非表示はGUI右側にあるボタンをタップして行います。

Moogらしいニュアンス

 実際にアプリを試奏してみたところ、最初に感じたのは、やはり実機の特性を熟知しているからということもあると思いますが、出音の質感がいかにもMoogらしいサウンドであることです。特に発音設定が単音の音色の場合、レガート演奏によるフレーズの発音ニュアンスが実機のMoogらしいニュアンスになるように思います。
 それに加え、音色エディットを行う際にノブをドラッグして各モジュールのパラメータを動かしてみると、かなり細かく数値が調整できるようになっているため、サウンドの微妙なニュアンスの変化の違いも十分出せると感じました。
 ちなみに本アプリには音色作りの仕組みを理解しやすいようにチュートリアルパッチや音色設定のテンプレートなどのプリセットがあります。音色を白紙の状態から作る上で、これらのプリセットを活用すると各モジュールのパラメータの関連性も理解しやすいでしょう。その際、パッチングを行っていくと当然接続に使用しているパッチングケーブルが増え、接続状態がわかり辛くなりますが、ケーブルの色を自由に変更できるので、接続を識別するための自分なりのルールを各色で決めておくと、視認性が向上して作業効率も良くなります(図8、9参照)。

Model_15_08

パッチングケーブルの色を変更したい場合は、端子部分をタップしながらホールドしているとカラーパレットが表示される

Model_15_09

カレーパレットで変更したい色を選ぶとケーブルの色が変更される

 また、プリセットを選んで演奏を行っている時にはiPad上で十分演奏できるのですが、音色を作成している最中は、MIDIキーボードを接続して、iPad上のキーボードコントローラを非表示にしておくとモジュール部分を表示させるスペースが広くなって作業しやすいでしょう(図10参照)。

Model_15_10

キーボードコントローラの右上にあるスイッチをタップすると表示・非表示が切り替えられる

 Model 15アプリは、ハードウェアのモジュラー型アナログシンセサイザーを使用している人はもちろんそのノウハウを活かせますし、いずれは使ってみたいが、どんなものなのか試してみたいという人の入門版としても十分オススメできるアプリです。

▼参考リンク
Model 15(Moog Music)

アプリ基本情報

アイキャッチ画像

Model 15

配信元:Moog Music Inc.

iOS価格:3600円

  • バージョン iOS:1.0.4

※記事内の情報はすべてレビュー時(2016年07月15日)の情報です。

PageTopへ