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エレクトロ・ミュージックに最適な手のひらのシンセサイザー・スタジオ『KORG iDS-10』

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by [2016年3月18日]

 KORG DS-10シリーズは、ニンテンドーDS用のシンセサイザー・ソフトとしてリリースされてから早7年の月日が経ちました。このKORG DS-10シリーズがiOSプラットフォームに移植され、iPhone版のiDS-10が昨年末にリリースされたのは記憶に新しいところです。そのアプリが満を持してiPadに最適化されて先日リリースされましたので、今回はiDS-10を紹介しましょう。文:内藤 朗(有限会社FOMIS)

より高度な楽曲制作やパフォーマンスが可能に

「いつでもどこでも持ち運べるiOS用シンセサイザー・スタジオ」がキャッチフレーズのiDS-10がリリースされたのは2015年12月1日のこと。

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iDS-10 iPad版のメイン画面

 ニンテンドーDSに最適化されフレンドリーなユーザーインターフェイスを持ったDS-10をモチーフとしつつも単なるプラットフォーム移植に留まらず、最新のアナログ・シンセサイザー、ボイス・シンセサイザー、アナログ・ドラム・マシンを装備。少ない発音数で構成力をしっかりと持たせることが必要なイマドキのエレクトロ・ミュージック制作に最適な多機能iOS用アプリです。
 そして、2015年12月22日にバージョン1.1.0へマイナーアップデートが行われ、Audiobus、Inter-App Audio、Bluetoothヘッドフォンなどに対応すると共に、パフォーマンス向上が図られ、続いて2016年2月16日にバージョン2.0へと進化しました。この2.0へのアップデートによって、待望のiPad対応ユニバーサルアプリへ進化し、各種オーディオ・エクスポート機能(AudioCopy、SoundCloud、Dropbox、iTunes File Sharing)などへ対応しています。更にアプリ内課金によって大幅な性能進化を可能とする「PLUS」モードを装備。これによってシンセサイザーが通常時の2台から4台に、ボイス・シンセが1台から2台に拡張することができるだけでなく、トータルで12トラック・シーケンサーヘ進化し、より高度な楽曲制作やパフォーマンスが可能となりました。更にソング再生中の音色エディットなどにも対応するなど、性能面のパワーアップが非常に感じられます。

名機MS-20がベース

 それでは各部の機能について紹介しましょう。
 音源部は冒頭で紹介したように、2基のアナログ・シンセサイザー、ボイス・シンセサイザー、アナログ・ドラムマシンを装備し、4パートを使用した演奏を行うことができます。また、操作画面としてソング、パターン作りや演奏を行うソング画面とパターンプレイ画面、各パートのバランスや定位などを設定するミキサー機能が用意されているなど、本格的な音楽制作が可能です。

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ソング画面。作成したパターンの再生順番を設定を行う。左下コーナーにはパターンプレイボタンがある

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パターンプレイ画面。パターンを切り替えながらパフォーマンスを行える

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ミキサー画面。ボリューム、定位、エフェクト設定、ソロ、ミュートのオンオフがパート毎に行える。ドラムセクションも各打楽器で独立して調整できるのもイイ

 アナログ・シンセサイザーセクションは、同社の名機MS-20をベースにしたシンセサイザーを装備して、厳選されたパラメータのエディットによる音作りだけでなく、パッチングによる音作りも可能で、モジュラータイプのシンセのような音作りも行えます。

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ノブの設定だけでは出せないサウンド作りが行えるアナログシンセのパッチングを行うセクション

 さらに全パラメータのオートメーションが可能で、動きのあるサウンド変化を表現できるため、細部にこだわった楽曲制作を行うことができます。 また、iDS-10にはアナログ・シンセサイザーが2系統装備されていますが、各シンセサイザーには5タイプのエフェクト(ディレイ、ホールとルームのリバーブ2種類、コーラス/フランジャー、イコライザー)を搭載しています。また、オシロスコープも装備していますので、演奏されている音を目で確認できる点もユニークですね。

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iDS-10に装備されているエフェクト部分。個人的には独特のコーラス効果が得られるコーラス/フランジャーがオススメ

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黄色の枠線で囲んだ部分が演奏する度に波形表示が変わるオシロスコープ機能となる

 また、iDS-10のシンセサイザーの発音数はモノフォニックですので、1パートでは単音のみの発音となりますが、それぞれのシンセサイザーはVCOを2個装備しているため、例えばVCO2のピッチを変更することで疑似的に2つの音程を出すことができます。これを2つのシンセサイザーでやりくりすると4和音的な響きを出すことが可能で、アプリに内蔵されているデモ曲でもそのテクニックが使われていました。

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VCO2の音程を変更したい場合には、黄色の枠線で囲んだノブを調整する

続いてiDS-10の一番のオススメ機能ボイス・シンセサイザーセクションですが、手軽かつシンプルな操作でロボットボイスサウンドを楽曲に取り入れることができる機能です。

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iPadの画面表示では表示しきれないため、スクロールして実際には表示されるが、図がボイス・シンセサイザーセクションのパラメータの全体図となる

 ボコーダーサウンドを得るための方法は2通りあり、打ち込んだ歌詞をボコーダーボイス化する「テキスト入力」、一般的なボコーダーと同様にマイク入力されたサウンドを変化させる「マイク入力」があります。また、多くのボコーダー機能は専門的なパラメータが多く、使い方がイマイチわからないので、使いたくても使えない……という相談を受けることもありましたが、本アプリのボコーダー機能は、ボコーダーサウンドを手軽に得られるように厳選、最適化されたパラメータのため、初めてボコーダーを使う人にもわかりやすい設計になっていると感じました。
 そして、アナログ・ドラム・シンセサイザーセクションは、メーカーサイトの説明では「迫力あるサウンドが手軽に実現できるよう絶妙にチューニングされたアナログ・ドラム・マシンを搭載」とあるように、Kick、Snare、Hihat1/Hihat2、Tom、Percussionと基本的なドラムサウンドを得るために欠かせないドラムサウンドを6種類装備した本格的なドラムマシン機能となっています。各打楽器は、自分の好みのサウンドになるように設定可能なパラメータがそれぞれに最適化されて用意されていますので、ドラムマシンとしても十分活用できるでしょう。

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アナログ・ドラム・シンセサイザーセクションのメイン画面

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6種類の打楽器のエディット部分

 ちなみにアナログ・シンセサイザーとボイス・シンセサイザーを演奏する場合、スマート・キーボードとKAOSSモードを選んでパフォーマンスを行うことができます。
 スマート・キーボードは演奏する音階(スケール)を設定可能で、通常のピアノのように白鍵、黒鍵が半音単位で並んでいるクロマチックスケール以外のスケールで演奏することができます。スケール設定はシーケンサーのノート表示にも反映されますので、画面ごとに異なる設定で作業が煩雑になることもありません。KAOSSモードは、同社カオシレーターやカオスパッドなどでお馴染みのパッドタイプのコントローラで、キーボードでは不可能なパフォーマンスを行う際に最適です。

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スマート・キーボードを使用する際のスケール設定画面

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KAOSSモードを選択して表示される画面

 これらの機能を活用して作成した楽曲は、iTunes経由でのファイル共有を始め、SoundCloudやDropboxなどで共有することができます。

謎に包まれたミステリー・ビンゴ

 手軽にアナログシンセサウンドや曲作りが楽しめる点は、iPad版となるiDS-10でも初代DS-10と同様ですが、更にボイス・シンセサイザー機能が加わることによって、本格的な楽曲制作のツールとしても十分な製品になったように感じられました。
 個人的に一番気に入ったのは、ボコーダーサウンドが手軽に得られる点で、ちょっとした効果音作りにも活用できるように思いました。
 ちなみに操作性という点では、iDS-10はiPhoneでも使用できますが、より突っ込んだ楽曲制作を行う場合には、iPad版での作業が適しているようです。逆にちょっとした曲作りのアイディアのメモを出先ですぐにやりたい、というような場合にはiPhone版の手軽さが便利でしょう。
 それと、お楽しみのミステリー・ビンゴ機能は本アプリを使っている最中に特定の操作を行うと画面中のアイコンが実体化します。全部で25個あり、すべて揃えるとご褒美があるようですので、これをすべてそろえるのを目標に使うのも一つの楽しみ方と言えるでしょう。

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ミステリービンゴの画面。それぞれのアイコンが何を意味しているのかは謎である

アプリ基本情報

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KORG iDS-10

配信元:KORG INC.

iOS価格:2400円

  • バージョン iOS:2.0.0

※記事内の情報はすべてレビュー時(2016年03月18日)の情報です。

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