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耳コピ、フレーズ練習に最適! ヤマハのiOS向け無料アプリ『Kittar(キッター)』

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by [2015年11月17日]

Kittar_phrase_edit バンドマンそしてあるときはゲームミュージッククリエイターでありながら、過去のコラムで楽器演奏系のアプリが己のスマートフォンに皆無であることが露呈した私ですが、この度フレーズ練習アプリ『Kittar』をインストールいたしましてレビューを書かせていただきたいと思います。

練習効率向上の必要性

 素晴らしい作品に触れると「ああ、僕もやってみたいな」とこう、自分の中にある「たぶん良い部分なんじゃないかな」的な場所に火が点く感覚、あると思います。音楽に限らずスポーツや絵画、道行くカップル達のデート。人間のあらゆる創造的な営みに対して。

  1. 「カッコイイところ見せてモテたい」
  2. 「あわよくば、ギターがうまい=俺 みたいな周囲の評価につなげたい」
  3. 「少なくとも2組の軽音のチャラ男、あいつの評判は奪いたい」
  4. 「付き合ってすぐ振るとかありえねーだろチャラ男め」
  5. 「俺のこの好き具合をチャラ男に欠片ほどでもわけてやりたい」
  6. 「ひとさじ抱えるや否やその重みに跪くほどのこの好きさを」
  7. 「喋ったことないけど」

 楽器演奏に関しては、自分の中にある明らかに悪い部分に、その灯火は移り熱を生み出していきます。その炎を絶やさず指先に込め楽器に情熱を注ぎ、我々は上達していくのです。焚き木として焼べた煩悩は燃え尽きて灰となり、あとにはチャラ男の眼中にも、もちろん意中のあの娘の眼中にも入らなかった己を省みて「うん、違ったよね。ベクトル。違った」みたいな切なさと、あと、素敵に弾けるようになったお気に入りの一曲が残ります。
 僕は燃料には困らない多感な青春を送ってきたので未だに楽器を情熱的に弾きますが、十分な煩悩が無くお困りの方もいらっしゃるかと思います。
 そこで注目すべきは効率の良い練習方法です。苦手な部分を集中的に繰り返す。それにより上達の快感、良き感情をモチベーションとするワケです。そういった健全で効率的な練習をサポートするのがこの『Kittar(キッター)』ということです。

シンプルな操作で自分の楽曲ライブラリを練習用に

Kittar_artist_list 一曲の中で集中的に練習したい箇所を抽出できる、というのがこのアプリの推しどころのようです。さっそくインストール。
 アプリを起動するとアーティストリストが。まさかとは思いましたが僕のiPhoneに入っている楽曲ライブラリが反映されていました。そうですよね! 今時はきっとそうだと思いました! 嬉しい!
 CD/MDプレイヤーにディスクを滑らせて曲を再生しながら「今だ!」とばかりにAB間リピートを指定して練習をしていた20世紀の頃とは大違いです。

Kittar_song_list 通常音楽再生アプリで楽曲を聴くように曲を選びます。

Kittar_import 練習する曲を選んだら解析開始。

Kittar_phrase_list 楽曲がフレーズ毎に自動分割されました。
 歌が入るまでのイントロ部分、Aメロ、Bメロ、サビ……といった具合に楽曲が分割されています。イントロから歌入り、サビから間奏の部分は完璧に区切られていて驚きました。
 それだけにAメロの折り返しで『A’メロ』のような扱いになる部分の手前のフレーズで、分割が惜しいところは気になりましたが、その辺りの編集もこのアプリの推しどころのようですね。

Kittar_phrase_edit 「あと2小節あとまでをひとくくりにしておきたいな」というような箇所はそのフレーズを選択して、フレーズの開始地点と終了地点を指定します。波形をツツツ…と触っていくと簡単に編集できました。
 「歌が終わって、このドラムのタカドン!のあと…」というような細かい部分を、再生しながら波形上の地点を移動して探せます。フレーズを再生、停止、と繰り返す手間が無くてお手軽です。

Kittar_phrase_play そして指定した箇所のフレーズを再生。再生画面もシンプル。ありがたい。
 この再生画面で、フレーズの再生スピードを変えられます。原曲スピードの30%から200%までの再生速度が設定可能です。ギターソロの速弾きや譜割りの細かいフレーズをコピーする時に重宝する機能です。
 僕は15年くらい前に、マルチエフェクター(ギターの音を電気的に加工する機械です。ライブとかでギタリストが足で操作しているアレです)付属のこの機能を使ってヴァン・ヘイレンやイングヴェイ・マルムスティーンのギターソロをコピーしていました。CDプレイヤーをエフェクターに接続して、ヘッドホンを装着。CDプレイヤーの再生ボタンをポチっと押してエフェクターに向き直り、ギターソロで録音ボタン! そして抽出したそのフレーズを半分の速さに落として再生するのです。たしか録音が30秒までしかできなかった記憶があります。苦労しました。
 当時の速度変換機能は、テンポダウンしたフレーズの音質劣化が激しく、結局85%くらいの速度で聞き取るのが一番早いんじゃないかと思いましたが、Kittarは50%まで落としても、ベースのフレーズまでちゃんと聞こえました。僕の耳が当時より精度アップしたと信じたいのですが、おそらくテクノロジーの進化故でしょう。当時の僕の苦労は全てカットされまして、すぐに目的の箇所のフレーズ抽出ができるワケです。練習に集中できますね。
 でも、今思えば机の上にケーブルだらけのエフェクターを置いて汗だくでギターソロの音符を拾っていくのも楽しい時間でした。少しずつ、少しずつ音を集めて何度も弾いて。昨日より今日、今日より明日、と毎日自分が自分の行きたい場所に近付いているような感覚を抱きながら夢中になれた時間はかけがえのないものです。今はもうやりませんけど。Kittarあるし。

ユーザーもヤマハも嬉しい無料アプリ?

 このフレーズ練習アプリ、無料です。追加課金もありませんでした。楽器の演奏をする人であれば持っていて損はないアプリです。「耳コピ(楽譜を使わず、楽曲を聞いて演奏をコピーし身につける事)」に大いに効果を発揮することでしょう。
 でもコレ、YAMAHAが無料で配っているのは何か訳があるのでしょうかね。訳が無ければ出しませんよね。考えてみましょうか。完全に僕の個人的な考えなんですけど、パッと思いつくのは二つです。

  1. 1. データ収集
  2. 2. 周辺サービスの下地作り

 1. データ_収集 については、このアプリは練習する楽曲を、個人の端末にある音楽ライブラリから取得しています。ですので『楽器を演奏する人が選ぶ一番人気の曲』などもわかるようになっていると考えられます。
 そして読み込んだ楽曲のフレーズ毎に『最終再生日』という項目があります。スクリーンショットをご覧いただくとわかるように、2015年11月11日 20時頃に『タイムマシン』という曲のフレーズを再生している人がいた、という情報が残るのです。
 どの時点でどんな曲のどんな箇所が、楽器演奏者に多く再生されているのか、というデータは、楽譜の出版やスクールの運営も行っているYAMAHAにとっては価値のある情報だと思います。

Kittar_EULA 気になってアプリ起動前に表示される『ソフトウェア利用許諾契約』なるものを改めて眺めてみたのですが、やはりそんな内容の事が記載されていました。
 こういう利用許諾なんたらという画面は、保険の約款の如き読ませる気が無いんじゃないくらいの小さな文字で大切な事がさりげなく書かれている印象だったのですが、結構読みやすかったので、ここに関してはYAMAHAさんの「期待しててね!」の意味なんじゃないかと前向きに捉えています、僕。データをグループ会社間で共有したり、外部に公表したり、という事は何かしらの協業開発の可能性があるはずです。

 2. 周辺サービスの下地作り に関しては、フレーズトレーナーとして優れたソフトだから、自分が弾いた楽器の音もイヤホンから一緒に出したいな、と使ってみて感じました。ギターやキーボードを接続する付属品は別売りで用意してますよ!という追加サービスのお知らせが来たら熱心なプレイヤーはスマートフォン用のオーディオインターフェースなども買って練習するのかなと思います。
 あとは1.に関連しますが、収集したデータによるマーケティング的なものを踏まえたサービスですね。個人が所有している楽曲の解析をしているので、ある時点で人気の楽曲構成やコード進行、フレーズパターンなどが自動作曲ソフトなどに応用されたら面白いなというのは、僕の希望的なアレです。合成音声ソフトを作っちゃうくらいだから『2016年の_人気再生曲より導かれる流行の_楽曲傾向!それを踏まえた曲を自動生成!』なんて面白そうじゃありませんか。その曲をVOCALOIDが歌ってリリースしちゃう、とか。
 そしてその曲の演奏者が、Kittarユーザーから選出されるようなコンテストイベントがあったりなんかして。夢が広がりますね。なんか大半が、僕の思い出話と夢物語になってしまいましたね。Kittarは、そんな楽しい夢想のきっかけもくれたアプリでした。

▼参考リンク
Riverside Creature(入間川氏が所属するバンド)

アプリ基本情報

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Kittar - フレーズ練習アプリ(キッター)

配信元:Yamaha Corporation

iOS価格:無料

  • バージョン iOS:1.0.1

※記事内の情報はすべてレビュー時(2015年11月17日)の情報です。

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