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ストリングシンセサイザーの名機を忠実に再現したiOSアプリ『Alina String Ensemble』

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by [2015年10月08日]

 今回はリリースされたばかりのアプリ音源Alina String Ensembleを紹介しましょう。
 Alina String Ensembleは、ストリングシンセサイザーの名機『Solina String Ensemble』を忠実にシミュレートしたものですが、そのサウンドクオリティを徹底分析したいと思います。文:内藤 朗(有限会社FOMIS)

ストリングシンセサイザーの名機を忠実に再現

 insideout ltd.の開発したAlina String Ensembleは、1970年代にオランダのN.V. EMINENTによって製造されたSolina String Ensemble(シリアルナンバー“SERIES 22, No.0093158”)を忠実に再現したアプリで、iPadでもiPhoneでも使用できますが、GUIデザインはiPhone 6/6 Plusに最適化されています。どちらでも鍵盤部分はスクロールして演奏音域を調整可能です。

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iPadのメイン画像


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iPhoneのメイン画像

 本アプリの主な仕様ですが、内蔵音色は、実機と同様にViola、Violin、Brass、Horn、Cello、Contra Bassという6種類の音色プリセットが収録されており、この中のバス音色(Cello、Contra Bass)は最下20鍵にアサインされ、ボリューム調整が可能です。

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プリセット音色は、黄色の枠線で囲んだ部分のボタンで選択可能。図はiPadで、左の2音色がバスパートの音色で最下20鍵のみにアサインされ、右の4音色は全域で演奏可能。なお、各プリセットは独立してオン/オフが設定できる

 鍵盤部は4オクターブ、49鍵仕様でスクロールすることで演奏音域を調整することができ、iPad版では2段鍵盤仕様になっています。エフェクトセクションでは、スプリングリバーブをシミュレートしたリバーブエフェクトに加え、レートとデプスの調整が可能なビブラート(モジュレーションエフェクト)を内蔵しています。

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エフェクトセクションは黄色の枠線で囲んだ部分で、左からモジュレーションレート、モジュレーションデプス、リバーブの調整が行える(図はiPad版)

 また、クレッシェンド、サスティンという2種類のエディットパラメータを装備し、音色の音の立ち上がり方や余韻の長さの調整が可能です。

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黄色の枠線で囲んだ部分が、音色の音の立ち上がり方や余韻の長さを調整するパラメータ。左が音の立ち上がりの速さを調整するクレッシェンド、右が音の余韻の長さを調整するサスティンとなっている(図はiPad版)

 この他、アプリ全体のピッチ調整機能によってチューニングを行えるなど、実機のサウンドを再現する十分な機能を備えています(図6a、b参照)。

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iPadでのチューニング

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iPhoneでのチューニング

 また、CoreMIDIを始め、AudiobusやInter-App Audio、Bluetooth MIDIにも対応していますので、他アプリやMIDI機器などとの連携も柔軟に行えます。

ストリングシンセサイザーとは?

 さて、Alina String Ensembleの元となったSolina String Ensembleは、一般的に「ストリングシンセサイザー」と呼ばれる種類のシンセサイザーです。今日のPCM音源シンセサイザーでは様々なストリングスサウンドを使用することができますが、その源流となっているのは、ストリングシンセサイザーであると言って良いでしょう。
 このストリングシンセサイザーは、まだシンセサイザーが単音発音のモノフォニックシンセサイザーが主流となっていた時期に、和音演奏を行う際によく使用されていたキーボードで、バイオリンやチェロなどの弦楽器音色が主にプリセットされており、和音演奏が可能なポリフォニックシンセサイザーの登場以前にストリングスの代用としてよく使用されていました。
 これらの多くのモデルに収録されていた音色は、シンセサイザー波形のノコギリ波を元にして作成された弦楽器系の音色に、内蔵された多相コーラスエフェクトなどの空間系エフェクトなどがかけられるものが多く、そのエフェクトと相まって、独特のうねりと厚みのあるアンサンブルサウンドを演奏することができる特徴を持っていました。しかしながら、ポリフォニックシンセサイザーの登場やエフェクターの進化などもあり、そのサウンドが取って代わられ、今日に至っています。また、ストリングシンセサイザーは基本的にアナログシンセサイザーですので、その出音からはリアルさはあまり感じられないのですが、バンドアンサンブルの中で使用すると他のパートとの親和性が良好だったので、主にストリングスの代わりとして多用されました。代表的なモデルには本アプリの元となっているSolinaやKORGのΔ(デルタ)、RolandのRS-202 Strings、RS-505、更にボコーダー機能を加えたVP-330などがあります。
 ちなみにストリングシンセサイザー以外に、KORGのPE-2000、Σ(シグマ)、Λ(ラムダ)などのように弦楽器以外の音色がプリセットされている同様の製品がありますが、これらは「ポリフォニックアンサンブルキーボード」などのように呼ばれています。

気になるサウンドを徹底チェック!

 続いてAlina String Ensembleのサウンドや試奏感などについて紹介しましょう。
 確かに実機のようなアナログシンセサイザーによるストリングスサウンドが出音から感じられると共に、バスパートの音色は、音域は低域のみに限られますが、各音色とも低域から高域までバランス良く調整されて仕上がっていると思います。特にバスパートのボリューム調整がマスターボリュームと別に調整できるため、最適な低域の厚みやボリューム感を得られる点が好印象で、個人的には中音域(ピアノの真ん中のドの鍵盤付近)で和音を押さえた時の厚みや音色が特にいいなと感じました。実際に曲中で使用する場合には、曲のテンポや曲調によって音の立ち上がりや余韻をアタックタイムやリリースタイムで調整することが必須ですが、本アプリではクレッシェンド、サスティン両パラメータで十分意図するサウンドに仕上げられるので、汎用性にも長けているでしょう。
 また、ビンテージサウンドの演出に欠かせないエフェクトについても、スプリングリバーブをシミュレートしたリバーブエフェクトとモジュレーションエフェクトを装備していますので、当時のような質感を演出したい場合にもニーズを十分満たしてくれると思います。
 加えて、冒頭で紹介した通り、本アプリはAudiobusやInter-App Audioに対応していますので、GarageBandやCubasisなどで使用してみたところ、特に問題なく使用することができました。ストリングスのサウンドを強化したい場合に導入するのも十分アリでしょう。

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例えばiPhoneでもAlina String Ensembleの演奏をGarage Bandに録音することができる

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Cubasis上では、Inter-App Audioを利用して、Alina String Ensembleをインストゥルメントとして起動し、使用可能

アプリ基本情報

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Alina String Ensemble

配信元:insideout ltd.

iOS価格:360円

  • バージョン iOS:1.0

※記事内の情報はすべてレビュー時(2015年10月08日)の情報です。

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