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ベストセラー・リズムマシン『ELECTRIBE・R』を手のひらで~KORG iELECTRIBE for iPhone

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by [2015年9月10日]

 直感的な操作性でトラックメイキングが行えるコルグのELECTRIBEシリーズから、ついにiPhone用のアプリ『iELECTRIBE for iPhone(以下、iELECTRIBE)』がリリースされました。
 iPad版は、初代iPad登場時から本格音楽アプリとしてリリースされ、今日に至るまで健在ですが、iPad版との違いなども含めつつ、紹介していきましょう。文:内藤 朗(有限会社FOMIS)

iELECTRIBE for iPhoneについて

 まず、本アプリの元となったELECTRIBEシリーズについて簡単に紹介しましょう。
 初代ELECTRIBEシリーズは、リズム、SEなどのアナログ・ビートメイキングに特化した『ELECTRIBE・R』、アナログシンセサウンドに特化した『ELECTRIBE・A』がリリースされ、2000年4月にサンプラー機能を盛り込んだ『ELECTRIBE・S(Rhythm Production Sampler)』、続く2001年6月にドラム、シンセ波形を搭載した『ELECTRIBE・M(Music Production Station)』と続いてリリースされました。その後、2003年にELECTRIBE A、R、SのmkIIが本体デザインをリニュアルしてリリースされ、ELECTRIBE MX、ELECTRIBE SXと続きます。このMX、SX両モデルは2010年に内蔵プリセットパターンがリニューアルされると共に、作成したデータの保存メディアがスマートメディアからSDカードに仕様変更されながら長期に渡って販売されました。このことからも両製品は多くのユーザーの支持を得たモデルだったことがうかがえます。また、同じ2010年にはiPadのリリースに合わせた形でiELECTRIBE for iPadがリリースされ、iOSベースでのトラックメイキングが可能となりました。
 このような変遷を経て、本アプリがリリースとなったワケですが、本アプリの元となったのは、同社サイトの製品紹介に“「当時のハードウェア筐体をそのままiPhoneに搭載する」をコンセプトにELECTRIBE・Rの音源やデザインを忠実に再現”とあるように、シリーズ最初の製品としてリリースされた「ELECTRIBE・R」をベースに開発され、GUIデザインも実機を模したものになっています。しかしながら、iELECTRIBE for iPad非搭載の新機能、最新プリセット・パターンなども加えられており、単なる復刻や焼き直しではなく、新たな製品として進化している点も見逃せません。

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iELECTRIBE for iPhoneのメイン画像

 ちなみにiPhone版とiPad版は両者ともELECTRIBE・Rの音源を継承したエンジンですが、iPad版の方はGUIデザインがELECTRIBE R mkII系のデザインであること、ファクトリープリセットがiPad版専用プリセットパターンであること、パターン数※が異なります。この他、iPhone版に装備されているリング・モジュレーション機能をiPad版は装備していないこと、逆にiPad版に装備しているVIRTUAL VALVE FORCE(真空管シミュレータ回路)はiPhone版には装備されていない点などによって、得られるサウンドのバリエーションは多少異なるものとなっていますので、後述のWISTを使用して両者を同期演奏させる場合には両者のプリセットの組合せを変えるだけでも、得られるパターンのバリエーションは大幅に増えると言えるでしょう。

※iPad版パターン数:160パターン

  1. 32プリセット x 2バンク(FACTORY)
  2. 32テンプレート x 1バンク
  3. 32ユーザー x 2バンク

本アプリの機能をチェック

 続いて本アプリの機能を紹介しましょう。
 同社ウェブサイトに、“iPhoneならではの使い心地を活かしてELECTRIBEの直感性を最大化した、まさに「iELECTRIBE mkII」と呼べるものを目指しました”とあるとおり、iPhoneに最適されたELECTRIBEに仕上げられています。
 公式サイトにある基本仕様を見ると、本アプリは前述のELECTRIBE・Rをベースに開発されていることがわかります。これまでのELECTRIBE製品と大きく変わってはいませんが、実際の操作感はiPhoneの使い勝手が考えられたものになっています。
 各セクションについて補足すると、パート数は8パート中、パーカッション・シンセサイザー・パートがキックやスネア、タムなど皮モノ系音色、PCMシンセサイザー・パートは主にハイハット、シンバルなどの金モノ系音色ととらえるとわかりやすいでしょう。PCMパートにはそれらに加えてスネアやハンドクラップ音色も含まれています。

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パート選択ボタン部分。これらをタップするとパートを切り替えることができる

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エフェクトセクション部分。実機同様にユニークなエフェクトが揃っている

 エフェクトセクションは、マスターエフェクトが1系統ながらステップごと、パートごとのオンオフが可能ですので、特定のパートにのみエフェクトをかけることや、あるタイミングだけエフェクトをオンにするといったトリッキーな設定もできます。

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モーション・シーケンスの動作を選択するスイッチ。

 動作の核となるシーケンサー機能は最大で64ステップまでのパターンを作成することができ、オートメーション機能であるモーション・シーケンスでは、マスターボリューム以外のパラメータの動きを記憶することができます。
 SMOOTHを選ぶとパラメータが滑らかにサウンドが変化し、TRIG HOLDを選ぶとパートの発音タイミングでモーション・シーケンスのノブの値を持続して発音するモードとなる。なお、オフの状態でモーション・シーケンスは無効となる。

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オーディオ書き出しを行っている状態。MENUボタンをタップして、黄色の枠線部分をタップすると書き出しが行え、書き出したファイルはiTunesのファイル共有経由でパソコンに取り込むことが可能

 また、作成したパターンは32個が保存できるバンクを4個備えているため、トータルで128パターンを保存することが可能です。なお作成したパターンは16bit / 44.1kHzステレオフォーマットのWAVファイル形式でオーディオ書き出し可能で、作成したパターンをパソコンのDAWソフトなどでの音楽制作にも活用できます。

 この他、WIST、Inter-App Audio、Audiobusへの対応など他のアプリとの連携も柔軟に対応できる仕様となっています。

iELECTRIBE活用法(基本編)

 実際に本アプリでパターンを作ってみました。
 本アプリは、特にパターン作成モードなどに入らずに、トップパネル上の変更がすぐに反映されるため、プリセットパターンをエディットして使いたい場合などは非常に便利だと思います。

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INITボタンはSHIFTボタンをタップしないと表示されないので注意しよう

 もちろん1からパターンを作ることもできます。その場合はトップパネルにあるSHIFTボタンをタップして表示されるINITボタンをタップすると、キックの4分打ちのみが入力されているデフォルトパターンの状態になりますので、その状態から始めると良いでしょう。

 INITボタンをタップした後は、パートボタンをタップして選択し、画面下部にレイアウトされているステップセクションの16個のボタンを意図する演奏となるようにオンオフするだけでオリジナルのパターンを作ることができます。しかし、ELECTRIBEを使う醍醐味はモーション・シーケンスをいかに使うかでしょう。マスターボリューム以外はピッチ、フィルターの他、エフェクト変更など含めて全て演奏中にオートメーションで動かすことができるため、8パートながらも、複雑かつ多彩なリズムアンサンブル演奏を作成することができます。また、ハードウェアのELECTRIBEやiPad版を使ったことのある人であれば、特に違和感なく同様の操作性で本アプリも使うことができることも付け加えておきたいと思います。

iELECTRIBE活用法(応用編)

 iELECTRIBEは、Inter-App Audio、Audiobusに対応していますので、Audiobus接続でGarageBandにオーディオ録音するなど、他アプリとの連携もバッチリです。

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Audiobusで接続した状態

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iELECTRIBE上にAudiobusのメニューが表示された状態

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GarageBandに録音した状態

 実際に試奏してみて、一番オススメだと感じたのはWIST(Wireless Sync-Start Technology)を使った同期アンサンブル演奏でしょう。WISTとは、2台のiOSマシン上で動作するシーケンサー、リズムマシンアプリなどをBluetoothを使用して接続し、同期演奏を行うための規格です。同期させるデバイスは2台のiPhone同士でもiPhoneとiPadなどでも良いので、2台のiPhoneを使用してiELECTRIBEの2台同期演奏や、iPadを使用してiELECTRIBE for iPadと同期させるなど様々な組合せが考えられます。
他にもWIST対応のアプリは同社のKORG Gadget、iMS-20、iPolysixなどの他、PropellerheadのReBirth for iPadなど多々ありますので、色々試してみると思わぬ効果が得られて新鮮です。
 今回はiPhoneでiELECTRIBE for iPhone、iPadでiELECTRIBE for iPadを立ち上げてWIST同期させてみたところ、どちらをマスターで同期させても2台がシンクロして演奏され、重厚なリズムアンサンブルが奏でられました。ただし、パターンを切り替えた時に違うテンポ設定になっている場合には、テンポ変更に追従しないため、リズムがだんだんズレてしまいます。マスターとして動作させている場合は、テンポを変更しないように設定メニューでTempo Lockをオンにしておくのがポイントです。ただ、マスター、スレーブの関係を変更する頻度が多い場合には、いずれのアプリでもテンポ変更しないように設定すると良いでしょう。

iELECTRIBE_for_iPhone_10

WISTを使用してiPhone版とiPad版のiELECTRIBEを同期演奏させている状態

▼参考リンク
KORG iELECTRIBE for iPhone MOBILE RHYTHM MACHINE

アプリ基本情報

アイキャッチ画像

KORG iELECTRIBE for iPhone

配信元:KORG INC.

iOS価格:2400円

  • バージョン iOS:1.0.1

※記事内の情報はすべてレビュー時(2015年09月10日)の情報です。

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