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iPadとDAWアプリ『Cubasis』で音楽制作を始めよう 第3回「ドラムトラックの作成方法」

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by [2015年7月15日]

 近頃ではタブレット端末やスマートフォンで使用できる音楽アプリが充実してきましたが、その中でDAWやソフト音源などの充実度には目覚ましいものがあります。本連載はタブレット端末で動作する音楽アプリを使ってDTMを行うための様々なノウハウを紹介していこう、というコーナーです。
 今回は演奏の中味となるAUDIOとMIDIの違いについて解説すると共に、MIDIトラックへフレーズを打ち込んでみましょう。文:内藤 朗(有限会社FOMIS)

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第1回 あると便利なDTMツール
第2回 曲作りの準備をしよう
第3回 ドラムトラックの作成方法
第4回 MIDIデータを打ち込もう

オーディオとMIDIの違いを理解しよう

 今日のDAWで曲作りを行う場合、オーディオとかMIDIということを意識しなくてもそれなりに作業は進められるのですが、それでも両者の違いがわからないために、作業の進行が滞ってしまうことも少なからずあるように見受けられます。まずは両者の違いを整理しておきたいと思います。
 MIDIのデータはそれ自体が音を出すものではなく、DAWに内蔵しているソフト音源やハードウェアのシンセサイザーなどを演奏させるための情報です。そのため、音程、音価(=音符の長さ)、演奏タイミング、アーティキュレーションなどを自由に編集することができる他、ピアノの演奏データをそのままバイオリンの音色に変更して演奏させられるなど、表現の自由度は非常に高いと言えるでしょう。その反面、生楽器の表現においては、一から自分で打ち込んでいく場合、十分に打ち込むデータを調整しないと、抑揚のない平坦な演奏になるため、ある程度の熟練が必要となる場合もあります。
 オーディオのデータは、歌ったり楽器を演奏することで出される音そのもので、DAW上ではその音の情報をデジタル信号にして処理を行っています。MIDIデータのように全く異なる音色で演奏を差し替えたりすることはできませんが、実際に演奏したニュアンスがそのまま残る点が最大のメリットだと言えるでしょう。元々オーディオデータは、テンポや音程、演奏タイミングなどを修正することはできなかったのですが、技術の進歩によって今日ではテンポや音程、演奏タイミング等もある程度、自然な状態を保った編集ができるようになってきました(とは言っても編集した部分はわかる人にはわかりますが、概ね実用レベルだと言えます)。しかしながら、オーディオの場合は音そのものがデータとなるわけなので、作品の仕上がりは演奏次第ということになりますし、演奏できないことは作品に反映させることができない、というシビアな面も持っています。
 そういった場合に役に立つのが、あらかじめフレーズを打ち込んだMIDIデータやプロクオリティの演奏を収録したオーディオのフレーズ素材(集)です。最初からこういった素材が用意されているDAWもありますので、これらを活用しない手はありません。

ドラムトラックの作成方法(その1):ループ素材でラフに全体を作る

 それではCubasisを立ち上げてトラック制作を進めていきましょう。
 前回説明したとおり、「Create New Project」を選び、白紙状態のソングプロジェクトを準備します。

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Cubasisの新規ソングプロジェクトを準備した状態

 続いて曲のグルーヴの要であり、土台となるドラムトラックを作っていきましょう。CubasisにはドラムパターンのMIDIとオーディオのループ素材が用意されていますので、これを使うと素早くドラムトラックの骨格を作ることができます。「MEDIA」ブラウザの左側にある項目の中から「MIDI」を選ぶと右側にフレーズのリストが表示されます。

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黄色の枠線で囲んだ部分をタップすると右側にドラムループのリストが表示される。階層状にフレーズが分類されているので、適宜タップして階層を開いてファイルを探そう

 それぞれがどのようなリズムパターンの演奏なのかを確認したい場合には、再生ボタンをタップすると、フレーズが再生されますので、イメージに近いものを探してみましょう。

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黄色の枠線で囲んだファイルを試聴している状態。○印の再生ストップボタンをタップすると試聴できる

 「これは!」と思うフレーズが見つかったら、パターン名の左のアイコン部分のあたりをタップ&ホールドしてプロジェクト上にドラッグします。フレーズを配置したい場所で指を離すと選んだドラムパターンがコピーされ、ドラムトラックが作成されますので、再生ボタンをタップするとドラムパターンの演奏が確認できます。

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フレーズをドラッグ&ドロップして貼り付けると……


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……MIDIのフレーズと共に内蔵インストゥルメントも一緒に割当てられるので、そのまま再生して音を出すことができるため、便利だ

 トラックの演奏小節を増やしたい場合にはコピー&ペーストで後ろの小節に貼り付けていきます。貼り付けたパターンをタップして選択し、コピーボタンをタップします。次に貼り付けたい小節の先頭部分をタップして、ペーストボタンをタップするとその位置にコピーされたパターンが配置されます。

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Cubasis上でコピー&ペーストを行う場合は、コピー元のパターンを選ぶ(1)、コピーボタンをタップする(2)、◯印の辺りをタップして指定し(3)、ペーストボタンをタップする(4)

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ペーストが完了した状態

 ここまでの一連の作業を繰り返すことで、おおよそのドラムトラックを作っていくことができます。

ドラムトラックの作成方法(その2):フレーズをエディットする

 曲作りを進めていくと、フレーズを修正したい部分なども当然出てきます。その際には、キーエディタを表示させて部分的に修正を行いましょう。
 トラックの中でフレーズを修正したい小節の位置をダブルタップすると、画面下部にキーエディタが表示されます。

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エディットしたいパターンのブロックのキーエディタを開いた状態

 左の鍵盤表示部分の上を上下にドラッグするとキーエディタ表示部分の大きさを変更することができますので、作業しやすい大きさにすると良いでしょう。

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黄色の枠線で囲んだあたりをタップしたまま上下にドラッグすると表示範囲の調節が行える

 また、エディタ部分の表示だけでなく、音域や演奏範囲も任意の大きさに変更することができます。

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エディタエリア内の表示範囲はこのように自由に変更できる

 ノートを打ち込むメインのエリア内で2本の指を使って縦横にピンチイン・アウトすると表示範囲が自由に調整できますが、タブレット端末の操作に慣れていないとうまく調整できない場合もあるかと思います。そのような場合には、鍵盤表示部分を2本の指で縦方向にピンチイン・アウトすると表示する音域だけが変化しますので、音域の調整だけを鍵盤表示部分で行い、メインのエリア内では横方向に限定したピンチイン・アウトで演奏範囲を調整させる、というように役割を分けておくとスムースに作業が進めやすいでしょう。

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(1)の部分で上下にピンチイン・アウトすると音域の広さ、(2)の部分で左右にピンチイン・アウトすると演奏範囲の広さが調整できる

 では実際に編集を行ってみましょう。
 多くのPC版DAWソフトは、ツールを選択してから対象となるデータを編集する流れが多いのですが、Cubasisの多くの作業は、編集対象となるデータを選んでから編集したいツールを選ぶ、という流れが多くなります。これを最初に心得ておくのがCubasisでスムースな作業を行うポイントとなります。
 例えば下図で示されるノートデータ※の音程を変更したい場合は、ノートデータを選んだ後、DRAWツールを選択し、選んだノートデータを上下にドラッグして目的の音程に変化させます。※楽譜でいうところの音符に相当するMIDI情報で、主に音程、音価、強弱などの情報を含み、MIDIによる自動演奏において中心となる情報。
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 さらに演奏するタイミングを変えたい場合には、続けて横方向にドラッグします。タイミングはグリッド表示に沿って設定するので、細かい音符の単位で移動させたい場合には、グリッド表示を切り替えましょう。
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 なお、ツールを選ばずに、ノートデータを選択した状態で左右にドラッグするとグリッドに沿って音価を変えることができます。
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 このような編集を行うことでドラムパターンの場合であれば、違う打楽器音色への変更や、リズムの符割の変更などができるワケです。
 さて、今回はプリセットのループフレーズを元にしたMIDIデータの編集方法を紹介しましたが、次回は白紙の状態からMIDIデータを打ち込む方法を紹介したいと思います。
それと今回使用しなかった編集ツールなども併せて解説したいと思います。
 ではまた次回に!

アプリ基本情報

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Cubasis

配信元:Steinberg Media Technologies GmbH

iOS価格:6000円

  • バージョン iOS:1.9.5

※記事内の情報はすべてレビュー時(2015年07月15日)の情報です。

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