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ダンスミュージックに最適なガジェットシンセが15種類!『KORG Gadget for iPad』

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by [2015年6月30日]

 昨年1月にリリースされたオールインワン音楽制作スタジオアプリ『KORG Gadget for iPad』(以下Gadget)は、ダンスミュージックをモバイル環境で制作するための強力なツールとして使えるiPad専用アプリです。
 先月25日にコードネーム”Palo Alto”と称されたバージョン1.2もリリースされ、先日紹介したKORGのiM1 for iPadも拡張インストゥルメントとして使用可能となるなど音楽制作アプリとしての機能も一層充実しました。今回は、このアップデートされた機能を中心に紹介しつつ、本アプリの魅力を解説したいと思います。文:内藤 朗(有限会社FOMIS)

ますます機能が充実するモバイル・シンセ・スタジオ

 まず、今回紹介するGadgetは、これまでに3回のアップデートが行われています。どのような変遷だったかを簡単に紹介しましょう。
 2014年2月28日に行われた最初のアップデートは、コードネーム”Milpitas”のバージョン1.0.2で、Audiobusへの対応を始めとした、よりプロフェッショナルツールとしての機能が拡張されました。続いて2014年9月1日に2度目のアップデートが行われバージョンは1.0.3となりました。コードネームは”Santa Clara”と呼ばれ、64ビットネイティブ対応、最新のiPadとiOSへの完全最適化、サンプラー系のガジェット2種の追加などが実施され、3度目のアップデートとして2014年11月27日にコードネーム”Redwood City”というバージョン1.1を発表、KORG Moduleアプリの音源のガジェット化、MIDI over Bluetoothの搭載、ファイルエクスポート機能の強化などが行われました。
 そして、今回の”Palo Alto”がバージョン1.2のリリースとなり、M1音源のガジェット化、MIDIファイル・エクスポート機能の搭載などが行われています。
 このようにGadgetは、これまでのアップデートによって着実にモバイル音楽制作スタジオとしての完成度が向上しているようです。今後の機能拡張も大いに期待できるので、ますますダンスミュージック制作の強力なアプリとなるのではないでしょうか。

本格的なダンスミックス曲にも対応可能

KORG_Gadget_main 前置きが長くなりましたが、Gadgetは、ガジェットと呼ばれる15個のモバイルシンセサイザーやドラムマシンを収録し、自由に組み合せてダンスミュージックを制作できるiPad専用モバイル音楽制作スタジオです。使用するiPadによって、使用するガジェットや発音数によって変動はありますが、使用可能なデバイス数(トラック数)は、通常25~30トラック、CPUパワーを節約するフリーズ機能を併用した場合は35~40トラックとなっていますので、本格的なダンスミックス曲でも十分制作することが可能です。
 実際に曲を作る際には、縦に2分割された画面上半分でMIDIの打ち込み、下半分でトラックに割当てたガジェットの音色エディットというシンプルな操作性によって、スムースに曲作りを進めることができます。また、2つの操作が同時に行えるため、打ち込んでいるフレーズに合わせて、音色を調整したり、選んだガジェットの音色を即座にMIDIで打ち込んだりというように、フレーズとサウンドが一体となった曲作りができるのも本アプリのメリットだと言えるでしょう。

Gadgetでの曲作りプロセス

 それでは曲作りの基本的な流れを操作画面を参照しつつ、紹介していきましょう。
 まず1から曲を作っていく場合には左上のファイルメニューをタップして、新規を選びます。「新規」をタップするとソング名の入力を促す画面が表示されるので、曲のタイトルをまずは入力しましょう。……とはいうものの、タイトル決めに悩んで肝心な曲作りになかなか進めないこともあります。そんな時はタイトルを入力する場所の右側にあるボタンをタップしてみましょう。このボタンは、タップするとランダムに抽出された単語で構成されたタイトルが表示されるというユニークな機能を持っています。そのタイトルを使っても良いですし、その単語を手掛かりにして自分でつけてみるのでも良いでしょう。

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Gadgetを起動後、図中左上の黄色で囲んだ部分をタップし、表示されたメニューから「新規」を選ぶ

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黄色で囲んだ部分をタップすると曲名の候補をランダムに表示してくれる

 続いてガジェットの中から使いたいシンセサイザーを選んでタップすると、メイン画面上にトラックとして表示されます。例えば先日リリースされたiM1を使用する場合には表示されるガジェットのリストの中から「DARWIN」を選びます。iM1も他のオプション追加できるガジェットと同様に扱われるため、特別な設定などは不要でPCM音源シンセのガジェットとして容易に使うことができます。

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ガジェットのリスト

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DARWINを選んでトラックが表示された状態

 トラックの左側に再生ボタンが配置されているScene(シーン)という項目がありますが、Gadgetではこれが1つのパターンとなります。

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Sceneは各トラックの同じ段に並んでいるパターンが一つのまとまりとなったものと考えるとわかりやすい

 このSceneをいくつか作ってそのまま再生すると、Scene1から順番に再生され、最後のSceneの再生終了と共に曲の演奏は終了します。また、画面下に並んでいるボタンのループボタンをタップすると選択したSceneが繰り返して演奏され、演奏中に次に演奏させたいパターンを選ぶと現在のSceneの演奏が終了した後に連続して次のSceneに切り替わります。

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画面下部に並んでいるボタンの中で、図中の黄色の枠線で囲んだボタンをオンにすると選択しているSceneがループ再生される

 トラックに表示されているシーケンサー部分か、割当てているガジェットのアイコンをタップするとエディタ画面が表示されます。
 基本的にMIDIの打ち込みはピアノロールエディタ形式の画面で、特殊な作法は不要で打ち込んでいけるのですが、ガジェットの方でスケール(音階)を変更すると、それに追従して縦軸の音程配列もスケールに合わせた並び方になるというユニークな特徴を持っています。

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画面上部がMIDIデータを打ち込むピアノロールタイプのエディタ、画面下部が各トラックにアサインされたガジェットシンセの操作画面が表示される

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ガジェットシンセの「SCALE」ボタンをタップして表示される設定画面の設定に従って、ピアノロールエディタ中の縦軸(音程)の目盛りがスケールの構成音に合わせて変化する

 この機能によって音楽的に整いやすい曲を作ることができるワケです。
ちなみにガジェットの鍵盤部分は図のように通常の鍵盤配列とは異なる表示になっている場合がありますが、これは前述のスケール設定によって変更できます。

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ガジェットのChicagoを選んだ状態

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SCALEボタン(黄色の枠線で囲んだ部分)をタップするとスケールの設定画面が表示されるので、適宜設定を行う

 通常の鍵盤配列にしたい場合にはクロマチックスケールにすることでピアノと同様の状態となります。
 実際にフレーズを入力していく場合、ピアノロール上で入力したい音程と演奏タイミングでの位置でタップするとデータを入力することができますが、この状態だと抑揚のないベタな打ち込みになってしまいます。フレーズに動きや表情を付けたい場合には、画面右上のボタンをタップすると、ガジェットの表示が閉じられ、コントローラのエディットを行うレーンが表示されます。強弱やフィルターカットオフなどに変化をつけたい場合は、この部分でエディットを行うと良いでしょう。

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クロマチックに設定すると図のようにピアノのキー配列と同様の状態になる

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画面右上の黄色で囲んだボタンをタップするとガジェットシンセが閉じられ、画面下部に各種コントローラを編集するエリアが表示される

 このようにガジェットを選び、Sceneを複数作成して曲を作っていきますが、曲の演奏順にパターンを作って並べて連続再生させるだけでなく、ライブパフォーマンス的なアプローチで、ループ機能を活用してリアルタイムにパターンを切り替えたり、パートのソロ、ミュートなどを駆使した演奏構成などを変更しながらリアルタイムに曲を作っていくのも良いでしょう。

これがオススメ! ガジェットシンセサイザー紹介

 Gadgetに収録されているガジェットシンセは、どれも良くできていて全部オススメと言えばオススメなのですが、その中からいくつかピックアップして紹介しましょう。

KORG_Gadget_11Chicago(Tube Bass Machine)
 アシッドハウスでは定番のベース専用シンセサイザーをモチーフにしたガジェットシンセです。ストレートなシンセベースサウンドだけでなく、ダーティな歪み感のあるサウンドなども演出できます。このガジェットを使う時にはオシレータのGLIDEやアルペジエーターの設定がポイントとなりますので、演奏させながら十分に調整すると良いでしょう。

KORG_Gadget_12Wolfsburg(Hybrid Polyphonic Synthesizer)
 オシレータ部にアナログシンセの特徴的な波形をリサンプリングした波形を採用したアナログシンセ系ガジェットです。それぞれのオシレータの波形はデチューン可能で、1オシレータでも複数のオシレータをデチューンさせたサウンドが得られますが、2オシレータを装備しているので、いわゆるSuperSaw的なサウンドも作ることができます。トランス系のシンセサウンド作りには積極的に使用したいガジェットです。

KORG_Gadget_13Miami(Monophonic Wobble Synthesizer)
 EDMには欠かせないウォブルベースサウンドに特化したガジェットシンセで、シンプルな操作で多彩なウォブルサウンドを作り出すことができます。音色エディットのポイントは「X-MOD(クロスモジュレーション)」とフィルターの「CRUSH」の設定で、これらを変化させることで音色キャラクターが劇的に変化していきます。

KORG_Gadget_14Kiev(Advanced Spatial Digital Synthesizer)
 音源方式にベクターシンセシスを採用したデジタルシンセ系ガジェットで、4つのオシレータにアサインした音色が複雑にモーフィングするサウンドを特徴とします。中央のXYパッド部分を使用してリアルタイムに変化させれば一層複雑でスペイシーなサウンドを演出できますので、特にシンセパッド系の音色を使用した時に効果抜群です。

KORG_Gadget_15Chiangmai(Variable Phase Modulation Synthesizer)
 各オシレータでFM変調のように倍音成分の調整を設定して音色を作り出すデジタルシンセ系ガジェットです。音色的にはデジタル音源ならではの速く鋭いアタック感のあるパーカッシブな音色を得意としており、ベル系の音色が特に秀逸です。

様々な規格に対応し、拡張性も十分

これまでのバージョン遍歴からもわかるようにGadgetは様々な規格に対応していますので、他のiOSアプリや周辺機器などを活用した音楽制作が行えます。
外部MIDI機器による演奏へ対応することにより、MIDIキーボードをCamera Connection Kit経由で接続してガジェットシンセの演奏を行ったり、他アプリとの連携をとるためのAudiobus2、AudioCopyへの対応の他、WISTなどにも対応しています。これによって、GadgetをCubasisやGarage Band上で使用しつつ、更に他のシンセ音源などと組合せての制作なども行うことができます。

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Audiobusを使用してCubasisとGadgetを接続した状態

バラエティに富んだガジェットシンセを楽しもう!

 実際に使ってみると、操作画面構成がシンプルで、直に曲作りに集中できる点は非常に良いと思います。トラックを作るためのガジェットシンセが最初から15種類入っていますが、いずれも本格的なサウンドメイキングが行える性能を持ちながらもエディットのしやすさを兼ね備えているので、シンセサイザーをこれから始める人にも入門用として十分オススメできるでしょう。
 また、モバイル用のDAWとして曲作りのアイディアのメモ帳代わりに使うのはもちろんアリですが、MIDI機器への対応も十分できていますので、ガジェットシンセをちょっとしたライブのシンセ音源として使ってみるのも面白いと思います。
 このようにGadgetは、様々なシチュエーションで自由に使えるDAWとして重宝するアプリだと言えるでしょう。

KORG Gadget

アプリ基本情報

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KORG Gadget

配信元:KORG INC.

iOS価格:4800円

  • バージョン iOS:1.2.2

※記事内の情報はすべてレビュー時(2015年06月30日)の情報です。

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