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Mouse on Marsが監修したEDMに最適なドラムマシンアプリ『Elastic Drums』

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by [2015年6月02日]

 今回は、ドイツのエレクトロニック・デュオのマウス・オン・マーズ(Mouse on Mars)も開発に関わっているシンセドラムに特化した本格ドラムマシンアプリ、O-G-SUSのElastic Drumsを紹介しましょう。なお、Elastic DrumsにはiPhone版とiPad版がありますがここではiPad版を元に解説を行っています。文:内藤 朗(有限会社FOMIS)

こだわりの電子系サウンド

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Elastic Drumsのメイン画面。シンプルな操作性ながら自由度の高いドラムトラックが作成できる

 O-G-SUSのElastic Drumsは、6つのドラムサウンド、ステップシーケンサー、4つのFXチャンネルを使用してドラムトラックのサウンドメイクが行えるドラムアプリです。マウス・オン・マーズが監修していることからも、電子系サウンドにおけるシンセドラムのトラックメイキングへのこだわりが十二分に感じられます。
 Elastic Drumsは、6種類のドラムサウンドを使用して16ステップのパターンシーケンサーでドラムパターンを作成し、そのパターンを並べて1曲分のドラムトラックを作るアナログリズムマシンタイプの手法を採用しているため、視覚的、直感的かつ容易にドラムパターンを作成できるのが大きな特徴です。また、ドラムサウンドのパラメータやエフェクトはオートメーションによる動作も行えるだけでなく、XYパッドによるエフェクトのリアルタイムコントロールが行えるなど、ドラムマシンとして不可欠な機能は一通り装備し、充実した仕様となっています。また、Audiobus、Inter-App audio、MIDI Syncに対応しており、他のアプリと組合せた使用や、外部デバイスとのMIDIシンクなど拡張性も備えていますので、様々に活用できるのも本アプリの魅力といえるでしょう。
 それでは、本体の各部について紹介しましょう。

ドラム音色以外のサウンドも作成可能な音源部

 Elastic Drumsにはユニバーサルアプリですが、iPadの場合はinstr、arrange、effectsという3つの操作画面で構成されています。iPhoneではこれらの操作画面が本体の形状に適したレイアウトとなっているため、若干見た目は異なっていますが、基本的にできることは同じです。
 まず、instr画面では、6トラックのパターンシーケンサーと各トラックのサウンドの設定を行うことができます。

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instr画面。右側に配置されている数字の振られたパッドボタンにドラムサウンドをアサインすると、その列で打ち込んだパターンが演奏される

 各トラックに割当て可能なドラムサウンドを作り出す音源部はシンセ音源ですので、TR-808に代表されるアナログリズムマシン風のサウンドだけでなく、EDM的なサウンドテイストを持ったパターンを作成することができます。ドラムサウンドの割り当ては、トラックを選択後、画面左下部のリストから選びます。

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4トラック目にドラムサウンドをアサインしている状態。黄色で囲んだ4トラックのパッドボタンを選び、矢印の先の黄色で囲んだ部分をタップすると音色リストが表示される

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表示されたリストは左列が楽器のカテゴリーで、右列がプリセット音色となっている

 ここではキック、スネア、ハイハットといった基本的な打楽器音色だけでなく、Square / FM / FM4op / Wobble / Grainなどのカテゴリーが用意されていますので、音程感のあるシンセパーカッションやFXサウンドによるシーケンスも作成可能です。特にFM4opのカテゴリーにはFM音源独特の金属音系サウンドが秀逸で、FM音源ならではのパーカッシブサウンドも豊富にプリセットされています。

 また、Elastic Drumsのパターンシーケンサーは16ステップ固定なのですが、6トラックそれぞれのステップ数と演奏のテンポ比率が設定できるユニークな仕様になっているため、設定次第では変拍子的なパターンや1小節パターンを繰り返しながらも数小節使用して作成したようなロングループのパターンを作成することができます。

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黄色で囲んだ部分が各トラックのステップ数とテンポ比率を設定するパラメータ。テンポ比率はtimeで設定し、0.5、1.0、2.0、4.0が選択可能。例えば1.0に設定された他のトラックが2小節演奏すると2.0で設定されたトラックのパターンが1周することになるため、実質的に1小節のパターンでも2小節パターン相当の演奏が作成できることになる

リアルタイムパフォーマンスにも活用可能なアレンジ画面

 続いてアレンジ画面では各トラックのバランスやパンなどを調整するためのミキサーとパターン編集、マスターエフェクト設定が行えます。

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右上のarrangeをタップすると表示されるアレンジ画面。左側がミキサーセクション、右側がパターン、マスターエフェクトの設定を行うセクションとなっている

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パターンをコピーするのは非常に簡単で、黄色の○印で囲んだパターンがコピー元のパターンで、これをタップして選択した後、下部のcopyボタンをタップする

 この2つの機能はタブ切替によって切り替えて設定を行います。パターン編集は、arrange patternタブを選択して行い、ここではパターンコピー、削除など作成したパターンの管理が行えるだけでなくリアルタイムの切替を行うパッド的に使用することもできるため、パフォーマンスを行う際にも活用できます。

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コピー先のパターン部分をタップするとパターンコピーが完了する

 マスターエフェクト設定はmaster effectsタブを選択するとXYパッド状のコントローラが表示されます。このXYパッド上で指を動かすとパターン全体に影響するエフェクトやパラメータ等をリアルタイムで変化させることができます。

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master effectsタブをタップし、XYパッドを表示させた状態。ここではフリーズ、ディレイ等のオーディオエフェクトの他、リズムをハネさせるスゥイング機能やパラメータのコントロールも行える

 なお、ミキサーで行う各トラックの調整は、instr画面での設定と同一ですので、いずれかの画面で設定を変更するともう一方の画面を開いた時にはその変更した値が反映された表示となります。

トリッキーなサウンド変化をリズムパターンに加えるエフェクト画面

 Elastic Drumsでは作成したパターンのサウンド変化を多彩に演出するエフェクトも充実しています。エフェクトは4系統ありますが、fx1と2は歪み系、フィルター系などモノラルエフェクト、fx3と4はコーラス、リバーブなどのステレオエフェクトが用意されています。
 前述のinstr画面とarrange画面で設定していた各トラックにかけるエフェクトはfx1と2、fx3と4のかかり具合のバランス調整を行いますので、例えばオートメーションで異なるエフェクトサウンドをモーフィングしたような効果を得るのに適しています。それに対してeffects画面でのエフェクトコントロールは、fx1から出力される信号に対してかかるfx3のかかり具合、fx2から出力される信号に対してかかるfx4のかかり具合が変化し、6つのトラック共通の設定となっているのがポイントとなります。

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右上のeffectsをタップすると表示されるエフェクト画面。右側部分でfx1~4にアサインするエフェクトを設定し、選んだエフェクトのパラメータが左のXYパッドでリアルタイムコントロールできる

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黄色で囲んだ部分がオートメーションのオンオフボタン。この状態がオートメーションオフとなる

 また、effects画面では大きなXYパッドによるコントロールが行え、オートメーションのオンオフの切替も可能です。

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ボタンをタップしてオートメーションをオンにした状態

 パターンの演奏に反映させたい場合にはオートメーションをオンに、リアルタイムで変化させたい場合にはオートメーションをオフにすると良いでしょう。

エレクトロ、EDMに最適

 一通りElastic Drumsを使ってトラックを制作してみたところ、特にマニュアルがなくても基本的な操作はできるGUIになっていると思いました。唯一わかり辛いと感じたのはベロシティの調整方法でしたが、velocityスイッチをオンにしてターゲットをタップすれば良いので、音量を変化させたい場合であれば、velocityスイッチをタップした後にvolumeノブをタップする、という流れになります。

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velocityスイッチをタップすると、黄色で囲んだベロシティ調整のパラメータが表示され、ベロシティで調整するパラメータが選択可能な状態となる

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音量をベロシティで変えたいので、ターゲットとなるvolumeノブをタップすると、ベロシティコントロールが可能となる

 実際に試奏してみると、白紙の状態のパターンを再生させながら、ドラムサウンドを選び、必要なトラックを揃えつつ、その過程で音色をエディットしたり、エフェクトをかけたり、というようにページを移動しながらの煩雑な作業でも各画面の操作がわかりやすいため、パターンを作ってから、音色を決めて、エフェクトをかけて……というような手順を気にせずにトラックメイキングできる点は非常に評価したい点です。
 もちろん、音源部がシンセドラムですので、いわゆるPCM系のリアルなドラムサウンドを求める場合には不向きですが、エレクトロ系のドラムサウンドには最適ですし、EDM全般で幅広い用途で使えるように感じました。
 また、1曲のソングとしてトラックを作成する場合も、パターンを1番目から順番に再生するだけですので、比較的簡単に1曲分のトラックを作成できますし、パフォーマンスの場合にはソングとしてパターンを並べなくても、パターン切替もリアルタイムで行ってトラックを作っていく、というのもアリでしょう。トラックメイカーにオススメしたいアプリです。

Elastic Drums
MOUSE ON MARS

アプリ基本情報

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Elastic Drums

配信元:O-G-SUS

iOS価格:1200円

  • バージョン iOS:1.5.3

※記事内の情報はすべてレビュー時(2015年06月02日)の情報です。

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